
Q1古文を読んでいると、途中から誰が何を言っているのかわからなくなる。
古文を読んでいると、一体誰のセリフなのか、誰の行動なのかがはっきりしなくて困ることが多いはず。これは、本文中では主語が省略されることが多いため。自分で主語を補えるようになればこんなことはなくなるわけだ。主語をはっきりさせるためのポイントは以下の通り。
- ①敬語に注目する。
身分の高い人ほどその行為には敬語が使われる。例えば「せ給ふ」などの二重敬語が使われていたら、帝などの身分の高い人物の行為だ。また、登場人物の間に身分の差があるときにも敬語が登場してくる。よって敬語を頼りに主体を決定することができる。 - ②助詞「して」のあとは主語が変わらないことが多い。
「~して、~して、~して」と文章が続いている場合、その行為の主体は同じであることが多い。 - ③助詞「に」「を」などのあとは主語が変わることが多い。
「~して、~に(を)、~して」と文章が続いている場合、「~に(を)」のところで主語が変わっていることが多い。
これらに注意して、主語を補いながら本文を読めば、ストーリーもしっかり頭に入ってくるぞ。
Q2敬語が苦手。「敬意の方向」なんてわからない。
敬語には、尊敬語・謙譲語・丁寧語の3種類ある。敬語を学習するときには、「のたまふ=尊敬語」のように、その語がこの3種類のうち何にあたるかをまず頭に入れること。これは重要ポイントだから、授業でも押さえておきたい。敬意の方向は敬語の種類ごとに決まっているから、敬意の方向も3パターンだけ。敬意の起点は必ず作者(話し手)だが、敬意の対象は、尊敬語なら動作の主体、謙譲語なら動作の受け手、丁寧語なら読者(聞き手)だ。
- ①尊敬語(相手を高める):作者(話し手)→動作の主体
- ②謙譲語(自分を低める):作者(話し手)→動作の受け手
- ③丁寧語:作者(話し手)→読者(聞き手)
敬語の知識をもとに文脈を押さえていけば、人物関係をつかむヒントにもなる。登場人物のうち、敬語が使われている人物と使われていない人物がいるかどうか、絶対敬語とも呼ばれる、対象が限定される敬語(例えば「奏す」は天皇に「申し上げる」場合のみ使われる)があるかどうかなど、チェックしてみよう。
Q3和歌が苦手。和歌が出てきたらわからなくなってしまう。
和歌の内容理解を苦手にしている人は多く、特に、初めて見る和歌にはどこから手をつけていいかわからないという場合もあるだろう。和歌について問われているときは、和歌ばかり見ていてもいけない。傍線が引かれているとついつい傍線部分ばかり見てしまいがちだが、現古漢を問わず、問題として問われている箇所はたいてい傍線部と他の場所との関係を読み取れているかどうかを試す問題が多い。だから、和歌もその前後を見て、誰が誰に対して詠んだ和歌なのかをまず押さえよう。そして、以下の二つのポイントに気をつけよう。
- ①読み込まれている心情(うれしいのか、恨んでいるのか、など)
- ②枕詞・掛詞・縁語・序詞などの修辞法(表現上のテクニック)
この2つを意識すれば、和歌もあとは普通の文章と同じ。和歌の前後には必ず読解のヒントが示されているはずだ。恐れることはない。