※写真はイメージ写真です。

手のひらだけでATM取引を可能にする生体認証「PalmSecure」を用いたカードレス取引を富士通が国内で初めて開発しました。「PalmSecure」は富士通が開発した世界初の非接触型の手のひら静脈認証技術です。人間の生体的特徴を利用して高精度で個人を識別することのできるバイオメトリクス(生体)認証の中でも、通常は目に見えない手のひらや指などの静脈パターンを読み取る静脈認証技術は、高精度かつ偽造やなりすましなどの不正行為に対して強堅であるという特長を持っています。

最新モデルの「PalmSecure」は、最高では本人拒否率0.01%、他人受入率0.00001%以下という非常に高い認証精度を実現し、IDカードやパスワードの併用なしに、手をかざすだけで本人を認証することが可能です。顧客先の銀行が、2011年の東日本大震災の後、キャッシュカードを使用しないATMサービスの実現を模索するなか、候補の一つとして挙がったのが富士通の「PalmSecure」でした。今回は、そのプロジェクトに関わった、営業職と技術職のお2人のお仕事内容をご紹介します。

生体認証(「PalmSecure」)を用いたカードレス取引の開発プロジェクトに関わった社員2名の仕事内容を紹介します。

お客様に手のひら静脈認証の特長を伝える

金融営業部
金井洋人さん

私たち営業は、お客様のパートナーとなり、ビジネスの全体像から捉えたお客様の真の課題を探り出し、ICTで解決する最適なソリューションを提供する仕事をしています。これまで私の手掛けた仕事の中でも、印象深かったのが、生体認証「PalmSecure」を用いたカードレス取引のプロジェクトです。

顧客先であるOKB大垣共立銀行様から、東日本大震災後、「被災地では通帳やキャッシュカードを紛失し、口座にお金はあるのに下ろすことができず、苦労された方が大勢いたため、キャッシュカードを使用しないATMサービスを実現したい」と相談を受けました。お客様は、当社の「手のひらの静脈認証技術」か他社の生体認証技術か、いずれを選ぶかで迷われていたのですが、私は手のひらの静脈の形は複雑で認証精度が高いこと、手のひらの静脈を読み取る際に手を密着させる必要がなく、利用者の心理的なバリアが低いことなどを丁寧に説明しました。ただ、会社にとっても、生体認証を用いたカードレス取引は初めての挑戦でしたので、予算や体制の交渉も経て、技術部とも相談をしながら開発を進めていきました。

手のひらだけで利用できる新しいATMサービスの反響は大きく、現在では利用できる店舗数も増え続けています。「富士通の技術を使って、世の中の役に立ちたい」と考え、富士通に入社しましたが、その想いが形になったプロジェクトでした。

お客様のイメージするサービスを形にする

金融システム事業部
服部祐二さん

私たちエンジニアは、お客様の課題を解決するソリューションを、ICTに関する知識やさまざまな知見を駆使して、具体的なシステムとして形にする仕事をしています。生体認証を用いたカードレス取引の開発は、私にとっては未知の技術で、正直、最初は戸惑いました。ただ、お客様と仕様を固めて開発し、テスト、稼動という業務の流れは、ほかのプロジェクトとも変わらないはず。むしろ、新しいことに挑戦できる期待感のほうが大きかったです。

このプロジェクトは開発期間が9か月と非常に短く、また、お客様からは「ATMとしてレスポンスの速さは絶対に確保したい。次に不正取引の防止。生体情報の漏えい対策も万全を施してほしい」と言われました。当時の「PalmSecure」の技術をもってすれば実現できる要望でしたが、誰も挑戦したことがなかったため、「期限内、予算内にできる」と言いきれませんでした。ただ、営業部が富士通社内の各技術部門やグループ会社との調整を進んで行ってくれたため、私はお客様と向き合い、開発に注力することができました。

このプロジェクトでは、富士通はシステム開発だけでなく、ATMに設置する手のひらセンサーの改良など、いくつもの業務を任されていました。システムと連携するサーバーやソフトウェアもすべて富士通製であったことは、開発チームとして本当に心強かったです。さまざまな調整がスムーズに進められるなど、富士通の総合力があったからこそ、この期間内、予算内で開発が実現できたのだと思います。

このプロジェクトで感じた富士通の魅力は、突破力があるということです。「夢をかたちに」というスローガン通り、一度決めたら真摯にやり抜く力がどの社員にもあります。これからも、そうした仲間と一緒にお客様のために新たなプロジェクト開発に携わりたいです。

※担当者の所属は、平成28年3月末時点のものです。

国内初の生体認証を用いたカードレス取引ができるまで
  1. (営業)お客様に手のひら静脈認証の特長を伝えるお客様から「キャッシュカードを使用しないATMサービスを実現したい」と相談をいただき、弊社の手のひら静脈認証サービスの良さを伝え、プロジェクトを進めました。
  2. (開発)お客様のイメージするサービスを形にする手のひら静脈認証をATM取引に導入する際、レスポンスが速いこと、不正取引の防止、生体情報の漏えい対策などがお客様からの要望として出てきました。そうした課題をクリアしつつ、プロジェクトを予算内、期間内に実現するため、メンバーと協力して仕事を進めていきました。