マナビジョンキャリアトップ業界・企業マンガで楽しく業界研究!トミヤマユキコ先生に聞く、お仕事マンガの読み方講座

マンガで楽しく業界研究!トミヤマユキコ先生に聞く、お仕事マンガの読み方講座

  • 業界・企業
  • 2017.07.31

昔からマンガには、宇宙飛行士やスポーツ選手などの華々しい職業から、銀行員や営業マンなどの身近な職業まで、さまざまな仕事が描かれてきた。大学生のころに読んだマンガが仕事選びのきっかけになった、という大人も少なくない。たっぷりと時間がある夏休み。息抜きにマンガを読んで、楽しみながら仕事や業界について調べてみては?労働系女子マンガの研究者であり、早稲田大学で助教も務めるトミヤマユキコ先生に、業界研究や仕事選びに役立つマンガの読み方を聞いた。


業界研究って、かなりハードルが高そうなのですが、マンガで仕事について学べるものでしょうか?

トミヤマ:今、仕事が描かれているマンガって想像以上にたくさんあるんですよ。大きなテーマとして「仕事」や「ビジネス」を扱った作品ではなくても、ほとんどの場合、登場するキャラクターは何らかの仕事をしていますよね。まずはそこを意識して読んでみると、好きな仕事や業界を見つけるきっかけになるかもしれません。

登場人物の仕事に興味を持ったら、その業界のインターンシップやアルバイトに参加してみるのもオススメです。どんな業界の人も、自分たちの仕事が描かれているマンガは意外と読んでいるものです。マンガは必ずしも現実に基づいて描かれているとは限りませんが、「『◯◯◯◯』というマンガを読んで、この仕事に興味を持ちました!」と言えば、話も盛り上がるかもしれませんよ。インターンシップやアルバイトは、思い描いていたイメージと違ったり、「合わないな…」と思ったら、いつでも軌道修正できるので、大学生のうちにどんどんチャレンジしてほしいですね。

なるほど。マンガで業界のイメージをつかんでから、実際にアルバイトやインターンシップにチャレンジすれば、より深く業界を知ることができそうですね。ほかにマンガを読むときのポイントはありますか?

トミヤマ:仕事やビジネスをテーマにした、いわゆる「仕事マンガ」には大きく分けて2種類あります。一つめは、「理想」タイプ。『課長・島耕作』(弘兼憲史)などがまさにその代表例で、「どんどん出世して、大成功を収める」というようなストーリーです。もう一つは、『午前3時の無法地帯』(ねむようこ)のような、リアルな仕事の現場を描いたストーリー。どちらのタイプにも作者自身の労働観が反映されているので、「理想」タイプと「現実」タイプ、どちらもバランスよく読むのがおすすめです。両方のタイプの作品を読めば、自分に合った働き方も見えてきますよ。

とはいえ、「どんなマンガから読めばいいかわからない……」という方もいるかもしれません。まずは『重版出来!』(松田奈緒子)や『宇宙兄弟』(小山宙哉)など、映像化された人気作から読んでみる、というのもアリです。やはりヒットした作品には、仕事について考えるうえでのヒントがたくさんありますよ。

なるほど、業界研究だけではなく、「働き方」を考えるうえでも、マンガは役立つんですね。

トミヤマ:ひと昔前だと、マンガに描かれるのはスポーツ選手やモデル・俳優など、「花形」の職業がほとんどでした。しかしここ20年ほどの間に、マンガに描かれる職業も細分化し、それに合わせて多様な働き方が描かれるようになりました。大手広告代理店が舞台の『サプリ』(おかざき真里)のような「バリバリ働くビジネスマン」だけではなく、仕事をしながら趣味に没頭したり、仕事と育児を両立しているキャラクターを描いたマンガもたくさんあります。例えば『プリンセスメゾン』(池辺葵)の主人公・沼越さんは、居酒屋で働きながらマンションの購入をめざしています。年収は250万円ほどですが、決して不幸には見えません。ほかにも、燻製づくりが趣味のカップルを描いた『いぶり暮らし』(大島千春)や、主人公がさまざまなアルバイトを転々とする『ハッピー・マニア』(安野モヨコ)など、プライベートの時間を謳歌するタイプの作品も増えてきています。働き方は一つではないですし、だれもがイチロー選手のように一つの道をストイックに極めていく生き方をする必要はありません。マンガを通じて、自分に合った働き方を見つけてほしいですね。

最後に、これから将来の進路を選ぶ大学生に向けて、メッセージをお願いします!

トミヤマ:普段、何気なく読んでいるマンガから学べることはたくさんあります。一見、仕事とは関係がないように思えるマンガでも、チームでのコミュニケーションの取り方やトラブルの乗り越え方など、仕事につながる考え方やメッセージが詰まっているのです。「これは、仕事に役立つかも?」と考えながら読むと、これまで読んだことのあるマンガでも、新しい発見があるかもしれません。マンガを通じてさまざまな業界や仕事を知り、ぜひ将来の仕事選びに役立ててください!

プロフィール
トミヤマユキコ
1979年生まれ。秋田県出身。早稲田大学文学学術院で助教を務め、少女マンガ研究をメインとしたサブカルチャー関連講義を担当。著書に『パンケーキ・ノート』(リトルモア)のほか、今年4月に発表した、清田隆之氏との共著『大学1年生の歩き方』が話題を呼んでいる。

編集部が選んだ!業界研究に役立つ10作品

サプリ

作者:おかざき真里
出版社:祥伝社

広告代理店に勤める女性のリアルな日常を描いた作品。見た人に幸せを与えられるCMを制作することが夢であるミナミは、仕事ができる女性である一方で、恋愛に関しては不器用。仕事と恋愛のどちらを優先するべきかという女性ならだれしもがぶつかるテーマについてリアルに描かれている。

健康で文化的な最低限度の生活

作者:柏木ハルコ
出版社:小学館

生活保護のリアルな現場を、新人ケースワーカーの主人公・義経えみるの視点から描いた作品。福祉事務所に配属されていきなり110世帯の担当を任された新卒公務員のえみるは、早々に生活保護受給世帯の実態を知らされることになる。社会問題となっている福祉について、深く考えさせられる作品。

重版出来!

作者:松田奈緒子
出版社:小学館

主人公の心は幼いころから柔道に打ち込み、将来のオリンピック日本代表選手との呼び声も高かったが、選手生命を絶つ怪我を負ってしまう。その後、子供のころに読んだ柔道のマンガに大きな感銘を受けた心は、出版社に入社し、マンガの編集に携わることに。作品全体としては、編集者・マンガ家・書店員と、さまざまな視点から、一つのマンガが作られていく過程に焦点が当てられている。

商人道 あきんロード

作者:細野不二彦
出版社:小学館

主人公の大佛晃人は、中堅商社・ヒノマル物産で、24時間フル稼働で働く熱血な若手商社マン。ある日、晃人はヒノマル物産で数々の伝説を作り上げてきた熊代常務から、次世代プロジェクトのシェールガス・チームに社内ヘッドハントされ、中国・北京に赴任することに。商社マンの成功をかけた大きな挑戦を描いた、とにかく熱いストーリー。

営業の牧田です。

作者:かわすみひろし
出版社:講談社

大手ビール会社「エルビスビール」で営業職として働いている牧田牧夫は、彼女はいないが、熱心に働くサラリーマン。しかし、そんなに牧田にも28歳になって、転機が訪れる。仕事をしても失敗続きで、恋愛にも奥手の等身大でリアルな社会人・牧田の前に、急に結婚を迫る先輩・小松さんや、年の離れた女子大生・舞ちゃんが目の前に現れる。不器用ながらも何事にもひたむきに取り組み、成長していく営業マンを描いた作品。

大東京トイボックス

©うめ/幻冬舎コミックス

作者:うめ
出版社:幻冬舎コミックス

ゲームクリエイターをめざして上京してきた百田モモは、東京・秋葉原のゲーム制作会社G3に採用されるが、出社1日目に採用が誤っていたことを知らされる。しかし、モモの企画書からゲームの企画を思いついた企画チーフ天川の後押しで、社長・月山星乃を説得し、企画見習いとして3か月間の試用期間が与えられることに。モモが想像していた業務とはかけ離れた、ゲーム業界のリアルな修行の日々を描いた作品。

宮本から君へ

©新井英樹/太田出版

作者:新井英樹
出版社:太田出版

主人公の宮本浩は、文具メーカー「マルキタ」の新人営業マン。宮本は、渋谷駅で毎朝見かける女性・甲田美沙子にアタックするも嫌われ、仕事でもライバル・益戸に取引先を取られてしまう。恋にも仕事にも不器用な男が人生をかけてがむしゃらに戦うサラリーマンを描いた物語。

ビッグウイング

原作:矢島正雄
作画:引野真二
出版社:小学館

東京国際空港旅客ターミナルビル(現:第1ビル)「ビッグウイング」の案内カウンター「ツアーデスク」に勤める吉川久美子の奮闘を描いた作品。周辺の空港利用客や空港職員の人間ドラマも描かれている。

がんばるな!!!家康

作者:魚戸おさむ
出版社:小学館

北海道からやって来た北辺家康は、ひょんなことから横浜の住宅販売営業マンに。お人よしで涙もろく、お客様のためにとことん親身になって良い家を提供しようとがんばる家康の姿が描かれた作品。

Real Clothes

©槇村さとる/集英社文庫<コミック版>

作者:槇村さとる
出版社:集英社

百貨店のふとん売場で働く天野絹恵は、突然、花形である婦人服売場への異動を命じられる。「ファッションなんて人間の表皮一枚飾るもの」と思っていた絹恵だが、新たな職場で顧客や服のプロフェッショナルたちと接するうちに、自身を見つめ直し、服に対する考えや仕事への向き合い方が変わっていく。服に関する知識を学べるだけでなく、仕事の厳しさとおもしろさ、一生懸命に仕事をすることのかっこよさが詰まった作品。

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