マナビジョンキャリアトップ働き方「エネルギー事業に人生を懸ける」3人の勇者から始まった“再エネ”プロジェクト

「エネルギー事業に人生を懸ける」3人の勇者から始まった“再エネ”プロジェクト

  • 働き方
  • 2017.07.24

2011年3月11日。忘れもしないこの日、東日本大震災が起こりました。あの震災からわずか3カ月後の6月、再生可能エネルギー事業を行う自然電力株式会社は誕生しました。

創業者は現・代表取締役の磯野謙さん、長谷川雅也さん、川戸健司さんの3名(お写真右よりご紹介)。「自分たちの未来のために、エネルギー問題を解決したい」、そんな突き動かされるような思いから同社を立ち上げたといいます。

今回は経営企画室でジェネラルマネージャーを務める古賀大幹さんに、創業に至った背景から、事業内容、今後の取り組みまでを伺いました。なかには震災をきっかけに、言葉にならないような複雑な思いを抱いた方もいるのではないでしょうか。自分自身の思いや将来の日本、生きていくために必要な資源——社会的な課題について考える、その第一歩になりますように。


「今できるのは僕らしかいない」、強い使命感から起業へ

創業者の一人、磯野さんは、大学を卒業後、新卒で株式会社リクルートに入社し、広告営業を担当していました。しかし、磯野さんは当時から「エネルギー問題」に人一倍関心が強かったといいます。

「もともと、磯野はアウトドアや自然が大好きで、休暇があればスノーボードやサーフィンに出かけていました。また、大学在学中に世界を旅するなかで地球温暖化や環境破壊を痛感したことから、環境問題に強い関心を抱いたそうです」(古賀大幹さん:以下同じ)

そんな磯野さんは入社から約2年後、環境問題と真剣に向き合いたいとリクルートを退社。さまざまな取り組みを経て、風力発電事業会社への転職を決意。そこで出会ったのが、自然電力の共同創業者である川戸さんと長谷川さんでした。そして、2011年3月に起こった東日本大震災をきっかけに、自然電力を創業するに至ります。

太陽光・風力・小水力などを再利用した「再生可能エネルギー」は、安心・安全に使えるエネルギー。しかし長期にわたり安定的に供給するためには、まだまだ多くの取り組みが必要です。まずは、再生可能エネルギーを生み出せる発電所を日本各地に増やしていかなければなりません。

「膨大な時間を要するだろう。でも、日本の各地域に適した多様な電源を活用すれば、きっとできるはずだ」。磯野さんたちは意を決して立ち上がりました。

「原発事故が起こったとき磯野は、『エネルギーは私たちの暮らしに不可欠なものである』ということを再認識したと同時に、『今このエネルギー問題を解決に導けるのは僕らしかいない!』と強い使命感を抱き起業に踏み切りました。周囲には『壮大なカン違い』と話していますが、数年やそこらでそう簡単にエネルギー問題は解決できるものではありません。並々ならぬ決意だったと思います」(同)

当時は日本の緊急事態に、あらゆる人が「何かしなければとは思うけれど、何もできない」虚しさを感じていました。しかし磯野さんのかねてからの「自然環境を良くしたい」という願いが、この事態とリンクしたのでしょう。

問題の責任を誰かに押し付けるのではなく自分ごととして捉え、日本を明るい未来へと導くためにもまさに今、自分たちの手で最良の解決方法を考えるべきなのではないでしょうか。

しかし発電所の開発にあたり早々に立ちはだかったのは、「日本に再生可能エネルギー発電所を設計する十分なノウハウがない」という根本的な課題でした。

世界的大手の1つ「ユーイ社」とパートナーシップを提携、事業を拡大

2016年6月、自然電力グループ創業5周年記念イベントにて

「大規模な太陽光発電事業が日本に広まったのは2012年以降で、それまでは、設計や建設、運営などのノウハウが市場全体を見ても十分でない状態。そこで代表3名は、太陽光発電のEPC(設計・調達・建設)事業において、当時、世界2位だったドイツのjuwi(ユーイ)社とパートナーシップを締結しようと考えました」(同)

とはいえ、ベンチャー企業が世界最大手の企業と提携するのは、そう簡単なこととは思えません。

「実はユーイ社も、1996年にたった2名で創業したスタートアップだったという歴史があります。だから、自力で日本のエネルギー供給を変えていきたいという磯野ら3名の思いに強く共感いただき、われわれの可能性に懸けてくれたのだと思います」(同)

こうして強力なパートナーを得た自然電力は、ユーイ社とEPC・O&M(運営・保守)を手掛けるジョイントベンチャーを立ち上げ、太陽光発電所事業を精力的に進めてきました。2014年には自然電力の本社を東京から福岡に移転し、地方の雇用創出にも貢献しています。

こうしてグローバル基準のノウハウやネットワークを手に入れ、質の高い発電所を設置してきたこと、ベンチャーらしいスピード感で事業を進められたことが、規模拡大の要になっているのでしょう。

どこまでも地域に寄り添い、彼らとの絆を築く

発電所を開発するにあたり、技術的なノウハウより重要になるのが、それぞれの発電所設置地域との関わり方。自然電力では、土地の権利者や国・自治体などから必要な許可を得て事業を進めるだけでなく、その地域に住む人々に快く受け入れてもらうため、積極的に交流を重ねているとのこと。

「弊社の場合、発電所をつくる地域に社員が住み込んで、近隣の方々と交流を図ることも少なくありません。住民に向けた説明会を実施するのは当然ながら、地域活動に参加したり、時には庭の草刈りをお手伝いすることも(笑)。

大きなプロジェクトになると数年間住み込むこともあります。住んでみないと分からない地域の目線もありますよね。そこで互いに信頼関係を築くことが何よりも重要なんです。『よそ者』だと思われているうちは説明すら耳に入れてもらえません。

発電所の開発にあたり、地域との関係は切っても切り離せないもの。その土地に深い思い入れがある、景観上好ましくない、安全への不安があるなど、地域住民の反対があると事業化は難しくなります。

丁寧に人間同士のお付き合いを重ねながら、再生可能エネルギーのメリットを明らかにし、疑問点・不安点を解決して、地域の皆さんに受け入れてもらいたいと考えています。これは創業当時からの私たちのこだわりです」(同)

どこまでも地域の方々の気持ちに寄り添う姿勢を徹底する。国籍は日本以外にもドイツ・トルコ・スペイン・オーストラリアと、職務経験やバックグラウンドもさまざまな20代~70代が同じチームとして団結。

社員一人ひとりが「自分たちがエネルギーの問題を変えていくのだ」という創業者3人の強く熱い思いへ共感して、そこから湧き出た使命感とともにどんな困難にも立ち向かう姿が目に浮かびます。

利用者と共にエネルギーとの付き合い方を考えていきたい

2011年の震災以降、日本ではたびたび原発の問題が取り上げられ各地で議論になっています。この現状について、古賀さんはこのように考えを話してくれました。

「弊社としては、何か特定の電源や発電所を否定しているわけではないんです。より安全・安心なエネルギー源として、再生可能エネルギーには非常に大きなポテンシャルがある。それならば利用しない手はないし、日本のエネルギーの将来をその可能性に懸けてみたい。そう考えています」(同)

同社は今後、電気の小売事業への進出も視野に入れているそう。そこには、「エネルギーとの付き合い方」について、利用者とコミュニケーションを図りたいとの意図があるようです。

「『電気の作り方』を知る、そして『電気の使い方』を考えるキッカケを皆さんに提供できればと思っています。持続可能なエネルギーシステムを保持していくには、利用者の皆さんの存在がとても大きいと考えています。

電気は毎日使うものですが、日頃は電気そのものの恩恵や発電による環境への影響を考えることは滅多にないもの。その機会を提供できることが、弊社が持つ価値のひとつかもしれません。地域の皆さんとコミュニケーションをとりながら、電気について共に考え、丹念に行動していきたいですね」(同)

いつも手軽に利用している電気。それがもし明日、使えなくなってしまったら…? 実際に事が起こらないと私たちはなかなか考えることをしません。しかし、10年後も20年後も快適で安心できる生活を送りたいならば、使い方について考えてみるべきかもしれませんね。

未来の世代に誇れる環境を、自分たちの手でつくっていこう

「より良い未来をつくるためには、自らが行動を起こし問題を解決することが最も重要」、「自分たちの未来は自分たちでつくりたい」。

自然電力の思いは全国に波及し、人や企業が社会課題解決の行動を起こす“キッカケ”を与えてくれているようです。今年の2月には、自然電力グループ初となる風力発電所に着工。東京ガスとも資本業務提携し、太陽光発電事業の開発を共同で進めています。

震災から6年。思いを行動に変えた若き3人の勇者たちの努力が土台となり、日本を支えるエネルギーの新たな柱が私たちに希望を見せています。

それでも資源に限りがあることは、誰もが認識しておかなければならない事実。難解だと思えるテーマに一歩踏み込み「自分ごと」化し、手探りであっても行動力で解決の道をつくる。それが人や地域を巻き込む大きな力に変わっていく。

そんな取り組みをしている彼らから、私たちは学ぶものがたくさんありそうです。

出典:20代の“はたらき”データベース『キャリアコンパス』- by DODA

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