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研究File.01 生物多様性

Q.花の形にも理由がある?

日本でもよく見かけるツリフネソウは、写真のような変わった形をしている。
なぜこんな形をしているのか?

答えは・・・

特定の昆虫に来てもらうため。

ツリフネソウの変わった花の形は、マルハナバチが利用しやすくできている。
ツリフネソウの蜜は花の奥深く、くるりと曲がった部分にあるため、ほとんどの昆虫は口が届かず吸うことができない。

ところがマルハナバチの口の長さは、蜜がある部分までの長さとぴったり一致していて吸うことができる。
つまり、マルハナバチだけが独占して蜜を吸うことができるわけだ。

そしてこのとき、ツリフネソウはハチの体に花粉をつけ、確実に他のツリフネソウに花粉を送り届けてもらうのだ。

花と昆虫の関係から生まれる多様性

特定の昆虫に来てもらうと、植物にはどんなメリットがあるのだろう。

植物が花を咲かせるのは、昆虫に花粉を運んでもらうため。
いつも同じ種類の昆虫が来れば、その昆虫は確実に同じ種類の花へ花粉を送り届けてくれることになり、効率が良くなる。ツリフネソウの蜜を吸って花粉をつけたマルハナバチは、次に訪れる花もツリフネソウを選択するからだ。

他にも、ツツジやユリなどの赤い花は、アゲハチョウを引き寄せる働きがあったり、ヨルガオは夜に咲くことでガを呼んで花粉を運ばせている。
こんな具合に、植物の中には、まるで契約しているかのように特定の昆虫に花粉を運んでもらっているものが多い。


植物と昆虫はなぜこんなに種類が多いの?

現在の地球上の生き物の種数の割合を見ると、昆虫の種数がなんと全生物のおよそ半分を占める。そのうち半分以上が植物を食べる昆虫で、これは植物の種数とほぼ同数だ。

では、なぜ植物と昆虫の種類はこんなにも多いのだろう。

植物は昆虫に食べられないようにいろいろな方法で身を守っている。その一つに毒を作るという方法がある。食べると中毒を起こす化学物質を作り、体に蓄積させておくことで食べられないようにする作戦だ。

しかし、昆虫の中にこの毒を食べても平気なものがあらわれると、その昆虫は、この植物を独占できるようになるんだ。

たとえば、小学校の理科でモンシロチョウの幼虫はキャベツなどのアブラナ科の葉を食べると習ったよね。
アブラナ科の植物にはカラシ油配糖体という化学物質の毒があり、ほとんどの昆虫は食べられない。

しかし、モンシロチョウは、解毒できる体の仕組みを持っているのでキャベツを食べても平気。
だからモンシロチョウはアブラナ科の植物を利用できるんだ。

モンシロチョウの他にも、アゲハチョウはミカン科、アオスジアゲハならばクスノキと昆虫は決まった種類の植物しか食べないことが多い。

このように植物の種類があるだけ、対応する昆虫もいるというわけだ。

参考資料:
鷲谷いづみ. 2007. 花はなぜ咲くのか. 山と渓谷社 
鈴井上民二.1998. 生命の宝庫・熱帯雨林. NHK出版
写真提供:石崎悦生(ツリフネソウ),埴沙萠(その他写真)

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