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研究File.01 生物多様性

Q.ラッコが減るとどんな変化が起こる?

18~19世紀、カリフォルニアにすむラッコが毛皮目的で大量に捕獲されて、その地域の海に大きな変化が起きた。いったいどんな変化が起きたのか?

答えは・・・

コンブの一種が減った。

みんなの知っている通り、ラッコは、お腹の上で貝やウニなどを割って食べる肉食動物。
ラッコが大量に捕獲され、いなくなったことで、ラッコが食べていたウニが増えて、ジャイアントケルプとよばれるコンブの一種をたくさん食べてしまった。
その結果、ケルプは数を減らし、海藻をすみかにしていた生き物や、食べ物にしていた他の生き物も数を減らしてしまったんだ。

生き物同士はつながっている

ラッコと海藻のケルプは、なんのつながりもなさそうな生き物同士だが、実はとても深くつながっている。
同じような例として、1950年代中国では農作物を食べて害を与えるとしてスズメを大量に捕獲したことがある。すると農作物を食害する昆虫が増えて、かえって農作物の被害が拡大したという。スズメは想像していた以上に害虫を食べていたのである。

このように、生き物同士は、知らないところで複雑につながっている。
でも、生き物同士はつながっているから、人の都合だけで生き物を絶滅させると、思いもよらない影響が私たちにかえってくる可能性があるんだ。

連鎖する生き物のネットワーク

動物と動物、動物と植物などが食う食われるの関係になく、全く関係がないように見える場合でも、実は深くつながっていることが最近わかってきた。

北海道の河川敷に生育しているエゾノカワヤナギは、茎から汁を吸うマエキアワフキ、葉を巻いて巣を作るハマキガの幼虫、葉を食べるヤナギルリハムシという3タイプの昆虫に利用されている。単純に食物連鎖を見るとヤナギは昆虫に食べられているにすぎない関係だ。

ところが、詳しく研究を進めると、それまでの常識とは違って、もっと複雑な関係があることがわかったんだ。

夏の終わりにアワフキがヤナギの枝の中に卵を産みこむと、枝の先端部が枯れてしまう。しかし、翌年の春に枝の元から新しい枝がたくさん伸びてきて、新しい葉がたくさん出てくる。すると新しい葉を巻いて巣を作るハマキガの幼虫が増える。夏になるとハマキガは成虫になっていなくなるので、巻いた巣は残されるが、これがヤナギクロケアブラムシの格好のすみかになる。おもしろいことにこのアブラムシは、巻き巣がないとあらわれない。

アブラムシがすみはじめると甘露をもとめてアリがやってくる。アリは他の昆虫を食べたり追い払ったりするので、葉巻の周りからハムシの幼虫がまたたくまにいなくなったんだ。

この他にも、土の中で植物の根を食べる昆虫が、地上で葉や茎を利用するガの幼虫やアブラムシの生存を左右することもわかってきた。
こんな風に、植物と昆虫は食う食われるだけの単純な関係ではなく、思いのほか相互が複雑に関係し合っていることがわかるね。

参考資料:
京都大学総合博物館・京都大学生態学研究センター編. 2010. 生物の多様性ってなんだろう?. 京都大学学術出版会
唐沢孝一. 1989. スズメのお宿は街のなか. 中公公論社
井上民二.1998. 生命の宝庫・熱帯雨林. NHK出版

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