高校生環境小論文コンクール

2018年度の課題と受賞作品

受賞作品
 

最優秀賞(副賞:表彰盾+図書カード15,000円分)

スマートグリッドを活用した省エネ・省資源化【設定した立場】経済産業大臣

巣鴨高校 1年 Y.Kさん


細田先生からのコメント

 エネルギーを総合的に一元管理するという発想が、非常に優れていると読んだ瞬間に思いました。バラバラに考えてしまいがちな問題を総合的に見ることで、省エネ、省資源に向けた行動もより考えやすくなるしコストも安くなる可能性があります。IoT(Internet of Things)を使うアイデアも十分実現性が感じられ、非常に目の付け所がいい。さらに、基本料金を下げるという省エネ、省資源への動機づけが考えられている点も秀逸です。
 文章も具体的でわかりやすくまとめられています。ただ一箇所、第2段落で「気候や地域間の不公平の是正」に触れた部分が、やや曖昧な表現となってしまったのは惜しかった点です。環境問題では「不公平さ」への対応はとても重要で、そこに触れたのはとてもよかっただけに残念でした。もう少し言葉を補うことができれば非常に説得力のある小論文となっていたでしょう。

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優秀賞(副賞:表彰盾+図書カード5,000円分)

グルメだけが食じゃない!【設定した立場】テレビ番組のプロデューサー

市川高校 1年 M.Nさん


細田先生からのコメント

 「テレビ番組のプロデューサー」という立場になりきった語り口調がいいですね。第1段落は特に読み手の共感を誘う表現が無駄なくまとまっていて、引き込まれました。また「世界の3分の1の食料が廃棄」「人口の9人に1人が栄養不足」といった数字も効果的に現実の問題を表せています。
 フードバンクを解決策として提示した点はとてもよいのですが、惜しかったのはアメリカで普及しているフードバンクが日本では影響力を持っていない現状について言及できていないことです。「知名度が高くない」という指摘だけでなく問題点を指摘し、番組によって日本でのフードバンクの影響力を高める方法について述べることができれば、非常に完成度が高い小論文となったでしょう。さらに、やや曖昧な表現で終わってしまった最後の一文を改めれば最優秀もねらえるレベルとなります。

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優秀賞(副賞:表彰盾+図書カード5,000円分)

残食を減らす給食改革【設定した立場】中学校校長

市川高校 1年 Y.Kさん


細田先生からのコメント

 第1段落で「中学生一人当たり年間7.1kg」と数字を挙げて問題を具体化している点がまず好感が持てます。さらに、第3段落では給食時間の短さという問題が、自分の中学校だけではないことを調べていますが、この「調べてみる」姿勢が説得力を高めています。そして最も評価したいのは「調理員との関係」に着目した点です。SDGs( Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)の略称)の17番目の目標が、まさに「パートナーシップ」であり、環境問題においては人とのつながりの中で問題を解決していくことが非常に有効なことだと考えられています。この点に着目したことはとてもすばらしいと思いました。
 残念だったのは、ここでは修正していますが誤字があったり、最後の段落で「成果を~成果を」と言葉の重複があったりと、やや表現の不備があったこと。細部まで注意を払って表現することで、リズムのよい文章になり、より伝わりやすくなります。

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優秀賞(副賞:表彰盾+図書カード5,000円分)

稲わらをいかす【設定した立場】青森市の職員

青森高校 2年 N.Yさん


細田先生からのコメント

 自分の住む地域で困っている身近な問題に着眼し、具体的に述べることができているため、とても読み手に訴える文章となっています。稲わら焼きのもたらす煙の問題を指摘したうえで、その解決策として地域の特産であるカシス農家への稲わらの提供を提案する話の筋も明確です。カシス農家と青森市双方のメリットもしっかり示しており、説得力があります。
 ただし、今この提案が実現されていないとすれば何らかの理由があるはずです。その理由が、例えば情報の共有方法がないためだとすれば、それをどのようにクリアするのかまで述べることができれば、さらに具体的で実現性のある提案となったでしょう。また、この作品も最後の一文が「可能性に大いに期待している」とふわっとした表現で終わってしまっているので、読み手を引きつける独自の内容が書けるとよかったですね。

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優秀賞(副賞:表彰盾+図書カード5,000円分)

サンゴ礁を守る【設定した立場】薬局の経営者

豊田大谷高校 3年 M.Fさん


細田先生からのコメント

 日焼け止めによるサンゴの死滅問題は新しい環境問題として注目されています。タイムリーなテーマに着眼できている点がまず評価できます。解決策として挙げている「NPOなどとの連携」も、1人では解決が難しい環境問題を人とつながり協力し合うことで解決していこうとするSDGs( Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)の略称)の姿勢にもつながる重要な視点です。さらに好感が持てる点として、自分の提案には課題があることを認め、その解決策も探っていることが挙げられます。高校生としてはよく考えられた内容と言えます。
 惜しいのは最後の一文の「意識を変えていく」という内容。ここまで無駄なくぎゅっと詰まった文章で展開できているので、ここもちょっと背伸びをして「予防原則にのっとって対処すべき」など、パンチのある文章で締めることができれば、より説得力ある小論文となります。

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優秀賞(副賞:表彰盾+図書カード5,000円分)

デジタル化と自然【設定した立場】教師

獨協埼玉高校 1年 M.Tさん


細田先生からのコメント

 プリントのデジタル化というアイデア自体はよくあるものですが、この作品は表現のうまさが目を引きました。冒頭の「『世界一忙しい』とまで言われる教師」という誇張表現は、先生の忙しさを読み手に訴え共感を呼ぶキラリと光るエスプリが感じられます。どれだけの紙を削減できるのかなどの数字を具体的に提示している点や、反論を予想したうえでそれにどう対応するかについて述べている点も、非常に説得力を高めています。
 ただ、「自然を守ることにもつながってほしい」という最後の一文は、どの小論文の最後にも言えるような一般論になってしまっています。書き出しの表現がとてもよかっただけに残念です。ここでこの作品ならではの具体的でパンチのある内容を述べることができればより完成度の高い作品になったでしょう。

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優秀賞(副賞:表彰盾+図書カード5,000円分)

余剰汚泥の可能性【設定した立場】食品会社社長

更級農業高校 2年 Y.Tさん


細田先生からのコメント

 冒頭で「3憶9119万トン」という数字を提示したうえで、短い文章でテンポよく汚泥に焦点を当てることを述べた書き出しが非常にうまいですね。ゴミとして廃棄するものを、肥料にすることでよいものに変えようという発想もいいですし、何よりも自らの実験に基づいて具体的に証拠づけることができている点が、非常に好感が持てます。
 ただ一つ気になるのは、この汚泥分解液を肥料に変えるという解決策のデメリットに全く言及していない点です。下水道汚泥には、重金属が混入するいわゆるコンタミネーションという問題が指摘されています。肥料とする際に、この問題をどう解決するのか。例えば、重金属を処理する方法について述べるなど、なんらかの問題への対応法について触れることができれば、さらに説得力ある作品となったでしょう。

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優秀賞(副賞:表彰盾+図書カード5,000円分)

2つの視点から「生物多様性」を守る【設定した立場】資源エネルギー庁長官

市川高校 1年 H.Sさん


細田先生からのコメント

 生物多様性の保持の必要性から、里地里山の手入れとそれをもとにしたバイオマス発電の提案、そしてその解決策の持つメリットまで、非常に流れがスムーズです。論点が的確に整理されているため、読み手にとってわかりやすい文章が展開できています。冒頭の書き出しの一文も、「確かに3年生は忙しい」と読み手がすっと共感し、内容に入り込めます。「とある大学」といった言い回しも、少しませた言い方でとてもいいですね。
 ただバイオマス発電は現在も行っているのですが、燃料となる木材が集まらない、コストがかかるなどであまりうまくいっていない現状があります。こうしたデメリットにも触れてどのように解決するのかも考えてほしかったです。また、資源エネルギー庁長官の立場から述べていますが、里山の手入れであれば、環境省か林野庁とする方が適切でしょう。こうした点にも注意を払うとより説得力が高まります。

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優秀賞(副賞:表彰盾+図書カード5,000円分)

新たな冷蔵庫で食品ロスを解決する【設定した立場】家電メーカーの開発部職員

金沢大学附属高校 1年 H.Iさん


細田先生からのコメント

 冒頭で食品廃棄物の現状についての数字を挙げるだけでなく、本来食べられるのに廃棄されている量と食糧援助量とを比較している点が光ります。食糧援助量の約2倍もの食品が廃棄されていると訴えることで、数字の説得力によって問題の深刻さがしっかりと読み手に伝わってきます。また、消費期限のない生鮮食品のための「腐敗度を感知するカメラ」というアイデアも、実現性はともかく着眼のよさは評価したいですね。
 ただ、残念だったのはここでは修正していますが「消費期限」とすべきところを「賞費期限」とした誤字があったことです。これはキーワードであり作品の評価を決定的に落としてしまいかねない致命的なミスです。提出前に入念に読み直し、誤字脱字をチェックするようにしましょう。

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