保護者が持つべき大学選びの観点とは? 前編

テクノロジーの発展やグローバル化の進行などにより、現代社会は大きく変化しています。大学を取り巻く環境、大学に期待される役割が変わる中で、進学先を検討する際に持っておきたい観点は何か?高等教育の最新事情に詳しい専門家が解説します。(前編)

(株)進研アド『Between』編集長 中村浩二

1990年(株)福武書店(現ベネッセコーポレーション)に入社。高校事業部にて高校の教育改革支援に携わった後、(株)進研アド九州支社勤務を経て現職。

問われるのは知識ではなく「知識を使いこなす力」

これまでは大学選びの基準として「入試難易度(=偏差値)」や「知名度」が重視されてきました。しかし、今後は大学が提供する「教育の内容」をしっかり吟味して進学先を選ぶべきです。

これまで偏差値や知名度が重視されてきたのは、偏差値が高い有名大学に進んだほうが社会から高く評価され、就職に有利だったからです。しかし、今は未来が予測困難な時代に突入しています。ここで求められるのは、すぐにアップデートされてしまう知識ではなく、学んだ知識を使いこなす能力、目標に自分を当てはめるのではなく、自分の「得意」や「好き」を生かして将来のビジョンを描く能力です。つまり「何ができるのか、どう生きたいか」が問われるようになるのです。

若者はこの問いに対して「大学で◯◯を学んできたから、こういうことができる」「得意な◯◯を通して、将来、□□になりたい」と明確に答えることが求められます。したがって、大学選びで「その大学で身につく力は何か」「どのような教育内容を設けて、学生を成長させようとしているのか」を確認する必要があるでしょう。

では、具体的にどのような観点で教育内容を見ていけばいいのでしょうか?3つの観点をご紹介します。

1つめとしては「課題解決型学習(PBL)を取り入れているかどうか」です。PBLは、これまで学んだ知識を活用し、実社会に即した課題の解決に取り組むものです。正解が1つではない問題に取り組む姿勢や論理的思考力、課題発見・解決力が養成され、チームで協働する力も磨かれます。

2つめは「学生の能力や成長を可視化する仕組みがあるかどうか」です。自分の強みを客観的に評価するツールがあるか、また、可視化した結果を次の成長につなげられる仕組みを設けているかも見るべきポイントです。

3つめは「グローバルな体験をする機会を設けているかどうか」です。学生時代にグローバルな体験を積んでおくことは、卒業後の活躍の場を広げることにもつながります。

受験生は狭い視野で志望校を選びがちです。保護者としては、「4年間を通した学び」や「社会に出てからの姿」などの多様な観点で大学を見ることを伝えながら、進路選択をサポートするのがいいでしょう。

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