保護者が持つべき大学選びの観点とは? 前編

テクノロジーの発展やグローバル化の進行などにより、現代社会は大きく変化しています。大学を取り巻く環境、大学に期待される役割が変わる中で、進学先を検討する際に持っておきたい観点は何か?高等教育の最新事情に詳しい専門家が解説します。(前編)

(株)進研アド『Between』編集長 中村浩二

1990年(株)福武書店(現ベネッセコーポレーション)に入社。高校事業部にて高校の教育改革支援に携わった後、(株)進研アド九州支社勤務を経て現職。

コロナ禍によって変化が加速 新しい大学教育に目を向けよう

これからの大学選びでは、「教育の内容」をしっかり吟味して進学先を選ぶことが大事です。

現代のような変化の激しい時代に求められるのは、すぐに陳腐化してしまう知識ではなく、学んだ知識を使いこなす能力になります。そのため、「その大学で身に付く力は何か」「そのために、どのような教育を行っているか」を確認する必要があります。

さらに、コロナ禍は社会状況だけでなく、大学のあり方も大きく変えました。そのため、大学選びにも新しい観点が求められます。具体的にどのような観点で考えればよいのでしょうか?ここでは3つほど紹介します。

1つ目は「ICTを活用した教育」です。コロナ禍によってオンライン授業の導入が一気に進みました。これにより、「事前に映像講義を視聴したうえで授業に臨み、授業中はオンライン上でディスカッションする」「チャット機能を活用して、教員に質問する」など、教員の説明を中心とする従来の授業から、学生の活動を中心とする授業へと変わり始めています。今後は「ICTを活用し、学生中心の教育をどう実現しているか」という観点で教育の質をチェックすることが大切です。

2つ目は「新しい就活の形態に対応したキャリア支援」です。近年は就職活動における採用面接もオンラインで行われるようになっています。対面とは異なり、意欲や熱意が伝わりづらいオンライン面接では、自分のことを相手に言葉で伝える重要性が増しています。キャリア支援として「学生時代の経験や成長を言語化する機会、しくみを設けているか」という点も確認しておきたいところです。

3つ目は「グローバルな体験の機会を、さまざまな形で設けているか」です。海外への渡航が制限される中でも、オンラインによる国際交流は続いています。現地でのリアルな体験は貴重なものですが、国内にいながら参加できるオンライン交流には、費用面や心理面での負担が少ないというメリットがあります。国際交流のバリエーションは増えています。その点にも目を向ける必要があるでしょう。

受験生はどうしても視野が狭くなりがちです。保護者としては多様な視点を持つ必要性を伝え、後悔のない進路選択をサポートしてあげましょう。

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