似て非なる学問紹介 船舶・海洋工学VS商船学

船舶・海洋工学商船学は、どちらも船にまつわる学問。ただし、船の「何を」「どのように」研究するのかは大きく異なる。それぞれの学問の研究内容を知って、特徴を理解しよう。

開発を行う船舶・海洋工学と、安全輸送のしくみを学ぶ商船学

船舶・海洋工学は、船の設計や建造の技術を学ぶ「船舶工学」と、海洋資源について研究する「海洋工学」を合わせた学問。船舶工学分野では、ハイブリッド式のエンジンを搭載した船や洋上風車の開発など、環境保全に向けたさまざまな研究も行われている。海洋工学分野では、海底油田の掘削装置、波力発電装置などのエネルギーの開発・利用の方法を研究する。

商船学は、船を安全かつ効率よく運航するための理論や方法を学ぶ学問。船の構造や操縦の方法など、工学的な内容だけでなく、積み荷の安全管理や海上の交通整理、物流の管理法などの知識も学ぶ。船を運航する立場から、安全な航行と安定した物流システムの維持に貢献できる人材の育成をめざしている。

利用できる設備、実習内容に着目

どちらの学問も、工学部や海洋学部などで学べるが、学科が異なる。船舶・海洋工学は、「海洋土木工学科」や「海洋システム工学科」などの学科で学べる。1、2年次に流体力学や構造力学、材料工学など、工学の基本的な知識や理論を学び、3年次から徐々に実践的な授業に移っていくのが一般的。小型船やロボットをつくったり、実際の船に乗り込んで走行実験をしたりして、造船技術を学ぶ。

商船学を学べる学科には「海事システム工学科」や「航海工学科」などがある。3か月間前後の乗船訓練や、シミュレーターを使った操縦訓練などにより、航海に必要な技術を実践的に身につける。

どちらの学問も乗船実習があるため、学べる学科やコースを設けている大学の多くは、海沿いにキャンパスがあるのが特徴だ。学びたい内容を明確にして、利用できる設備や取り組める実習の内容を詳しく調べておこう。

大学院進学が多数!就職は造船・海運会社以外も

どちらの学問も学部を卒業したあと、大学院に進学する人が多いものの、一般企業に就職する人も少なくない。造船会社や海運会社のほか、船舶・海洋工学を学んだ人は、航空会社や建設会社にも就職している。商船学を学んだ人のなかには、情報通信関連の会社や貿易会社、電力会社などに就職した例もある。

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