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高校生活

人気ボカロPに聞く! ボーカロイドの魅力と将来の探し方〜ryoさんの場合〜

高校生活

ボーカロイド(ボカロ)を使って楽曲を作る人・ボカロPであるryoさんに、ボーカロイドの魅力や作品作り、将来の考え方について聞いてみた。

“職業不定”を怖がらず、好きなものを突き詰める

「メルト」や「ブラック★ロックシューター」「君の知らない物語」でおなじみのryoさん。ボーカロイドの「初音ミク」が登場した初期から活動していて、ニコニコ動画を中心に楽曲を発表、コミケでの頒布活動を経てsupercellとしてメジャーデビューを果たした。

最近ではアニメのタイアップやアーティストへの楽曲提供と活動の幅を広げている。そんな彼はどんな高校時代を送っていたのだろう?

「ピアノを小学校一年生から習っていたのですが、作曲に触れたきっかけは、中3のときにシンセサイザーを買ってもらったこと。楽譜が高くてあまり多くは買えず、それなら自分で作曲したほうが早くて安くて楽しいと気づいたんです」

ryoさんは、そのように音楽を始めたきっかけを話してくれた。でも、高校時代には音楽を仕事にできるとは思っていなかったそうだ。ピアノの先生に師事しながらも将来の夢はサラリーマンで課長になることだったそうだ。

高校で軽音楽部に入部を検討したけれど、シンセサイザーは必要ないと言われて部活には入らなかったそう。校外の仲間や雑誌のメンバー募集で知り合った仲間とバンドを組んで活動していたという。

そうして好きな音楽を続けていたryoさんの転機となったのが、ボーカロイドである初音ミクとの出会いだ。

ボーカロイドは自己実現、自分を投影できる方法の一つ

「電気屋のソフトウェアコーナーに少しだけDTMコーナーというのがあって、そこに初音ミクが置いてあったんです。当時、ニコニコ動画がブームになっていて、初音ミクの動画も投稿され始めていました。なので、ちょっとやってみようと思ったのがきっかけです」

その時は既に社会人でありながらも、ちょうど音楽業界への転職を考えていた時期でもあり、効果音制作会社の募集要項にあった「あなたのオリジナル作品3曲」を初音ミクで作ろうと思ったそう。それで作った2曲目が、今でも人気のある「メルト」。それをコミケで頒布してみたら1時間もかからずに1,000枚が完売。自分がゼロから作った無価値だと思っていたものに価値が認められた。それで、仕事になるかも、と可能性を感じたという。好きなものを追い続けていたら、それが仕事になったという形だ。

そんな経験もあって、ボーカロイドの魅力は無価値なものを価値あるものに変えるところだとryoさんは言う。

「ボーカロイドは自己実現、自分を投影できる方法の一つだと思うんです。今までにないものを作ろうとした時に、ボーカロイドならそれができた。そういったところがとても好きなんです」

ボーカロイドを受け皿にして、音楽だけでもない文章や映像など、新しい価値を持った表現が生まれてくる。そういう視点を持って見てみると新しい可能性が見えてくるのではないか、とのことだ。

ボーカロイドの世界を広げて小説にしてもいいだろうし、映像を作ってもいいかもしれない。そういう新しいことをやるために仲間を集めるのも手だろう。ryoさんは雑誌の募集コーナーを活用したそうだけれど、今ならTwitterやPixivなどのSNSがあるからもっと見つけやすいかもしれない。

『GREATEST HITS 2011-2017 “ALTER EGO”』

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ryoさんがプロデューサーを務めるEGOISTの最新作。カバーイラストはredjuiceさんによるもの。supercellをはじめ、ryoさんの作品には多くのイラストレーターが参加している

メジャーデビューをしなくても作品は発表できる

ところで、ボーカロイドとの出会いを経てメジャーデビューしたryoさんだが、元々はメジャーデビューを目指していたわけではないという。

「コミケで話題になって、手に入らなかった人たちからも欲しいと言われたんです。それでCDを作りましたが、在庫を管理するのが大変で。そんなときに知人の紹介で音楽会社の方を紹介してもらい相談したんです。すると、在庫を持つにはメジャーデビューだねって話になったんです」

このように在庫管理を任せられるという理由で、メジャーデビューを決めたんだそうだ。

作品を人々の手に届けるには、CDや冊子など、形のあるモノにする必要がある。そうしたモノを作るには、今だと同人グッズ制作を支援してくれる印刷所も数多くあるし、「BOOTH」という倉庫を借りられるサービスなども登場してきている。こうしたものを活用することで、もっと手軽に創作活動が行なえるだろう。

「好き」を3つ以上集めて仕事にする

ryoさんは、進路についてどんな考えを持っているのだろうか。そのあたりを聞いてみた。

「少し考えて好きなものは、よく考えても好きなんだと思います。だから、好きなものがあるならそれを長く考える必要はないので、仕事にすると言っちゃったほうが早い。遠回りする理由は無いので。これはどんな職業にも言えると思います」

でも、その“好き”が1つだけではダメだとryoさんは言う。

「自分は音楽業界の仕事として、マスタリングエンジニア、レコーディングエンジニア、作詞、作曲、アレンジャー、プロデューサー、グッズ制作やライブの企画などと複数やってます。“職業”っていうのはジャンルのようなもので、“仕事”は具体的に何をやるかってことだと思うんですけど、自分の場合は複数の仕事をシームレス(継ぎ目なく連続的)に行き来しながらやっているので現在の職業の呼び名の中ではもはや定義するものが存在しない。ある意味“職業不定”ですね(笑)」

そして彼は考える、好きなものをたくさん持って一生懸命追い続けることで、それが仕事になり職業になるのだ、と。1万時間かければその道のプロになれるとも言われているけれど、それは1日に6時間やると4年半くらいになる。だから、その期間をかけて毎日のように死ぬ気でがんばれば、好きなもののプロになれるだろう。それが3つ以上集まれば、ryoさんのようなその人にしかできないオリジナルな職業となり、ひいてはそれがストレスフリーな新しい働き方につながる。好きなものが仕事になるとは、つまりそういうことだと言う。

「好きなことで仕事をするんだから、ストレスもなくできる。だから、みんなには“職業不定”を怖がらずに、好きなものを突き詰めていってほしいと思います。なりたい“職業”を探すのではなく、やりたい“仕事”をいくつか組み合わせる。そうすると、自分のようにそれが何かしらの職業に自然となっていきます。大丈夫です。だから、そんなふうに考え方をアップデートして欲しいと思います」

そういう人が増えれば、世の中の職業も多様化していく。そんな時代が来ればいいと考えているのだそうだ。

自分の好きなものを見つめ直そう

ryoさんの話を聞いて改めて感じたのは、自分の好きなことを突き詰めることで新しい可能性が開けるのだということ。形がなくても、複数の「好き」を集めることで新しい形が生まれるというのは、変化の激しい現代では確かに起こりやすいことだと思う。そんな新しい価値を生む手助けをしてくれるボーカロイドは、自分の世界を広げてくれる強力な武器になるのだろう。

自分が、これだと思える好きなことは何か、一度考えてみよう。

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