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DSシステム導入による
実践力の高い専門職業人の育成

関西の私立大学の中での
確固たるリーディングポジションをめざして

大阪工業大学
学長 西村泰志

出典:『Between』2016年10月-2016年11月号

全体の底上げを図り上位層を伸ばす教育へ

最近の日本の学生は、勉強をしなくなり、将来への希望を語ることが少なくなった、という話をよく聞きます。しっかり勉強している学生、しっかり勉強させている大学が存在しているのは確かですが、高等教育全体が玉石混淆の状態にあることも事実です。この状態が続けば、水が低きに流れるが如く、伸びる学生も易きへと流れていくのではないでしょうか。

小学校から高校までの教育も影響しており、大学教育だけでは決して解決できる問題ではありません。しかし、大学は社会人になる前の最後の教育機関ですから、学生一人ひとりに、主体的に勉強する姿勢や将来を切り開く力を付与する使命があります。

学問のおもしろさは、勉強しなければわかりませんし、課題も見えてきません。だからこそ、学生に一定のレベルまでしっかり学ばせることが必要です。全体の底上げを図りつつ、伸びる学生をさらに伸ばすためには、学生に主体的な学習習慣を確立させるような大学教育への改革が不可欠だと思っています。

それには初年次教育が重要な要素になると考え、本学は1年次からPBL科目などを導入して意欲的な学習を促しています。これらの実践演習科目とその他の講義・演習科目との体系化により、教育効果の最大化を図る教育改革を推し進めています。

一貫性ある3ポリシーで教育効果を最大化

現在、日本の高等教育機関には、教育の質的保証や質的転換が求められています。そのためには、一貫性のある3つのポリシーを作成・明示し、教育効果の最大化を図る教育活動を実践する必要があります。これに加えて、成績評価制度と修学指導や正課外教育などの修学支援体制の充実により、学生の質を担保できると考えています。

本学は2014年度入学生から工学部の教育課程を大幅に改革しました。翌年、その作業を率いた「教育課程検討委員会」を「教育推進委員会」に改編し、新教育課程が効果的に機能しているかどうかなど、さまざまな課題の検証を行い、各種委員会と連携しながら解決へと導いていく体制を整えました。この体制は大学全体へと広げていく計画です。

カリキュラムの充実と合わせて、ミニマム・リクワイアメント(*1)を測定可能かつ具体的なものとして提示する「適正な成績評価基準に基づく厳正な成績評価」の実施を進めています。これは、授業外学修の促進にもつなげる質的保証の取り組みです。

さらに、「ディプロマ・サプリメント・システム(DSシステム)」(*2)の導入により、在学中の達成度を定期的にフィードバックすることで、主体的な学びの促進と、達成度の可視化による大学院進学や、就職に対する支援体制を強化します。本システムは、企業等と連携し開発することで、社会のニーズにかなう卒業生の輩出につながります。これらの取り組みは、文部科学省のAP「卒業時における質保証の取組の強化」にも採択されています。

本学には、大学入学後に著しく伸びる学生が大勢います。例えば、経済産業省の「社会人基礎力育成グランプリ」では、前年は知的財産学部のチームが準大賞、本年は工学部のチームが大賞を取りました。

このような伸びる学生に機会を与えるしくみを強化しつつ、基礎を確実に修得して卒業させる形へと転換していきます。

*1 ミニマム・リクワイアメント:学ぶべき最低基準。
*2 ディプロマ・サプリメント:学位証書補足資料。学位に添付される補足資料で、取得学位・資格の内容等について説明が記載されたもの。

梅田キャンパスに先端的な新学部を開設

2017年4月には、新たに本学4つ目の学部となるロボティクス&デザイン工学部を開設します(*)。新学部は、大阪の中心地・梅田に建設する地上21階、地下2階の「OIT梅田タワー」に設置します。

少子高齢化が進む日本では、ロボットは期待される分野であり、また、その技術には、機械や電気・電子、情報、インターフェースデザインなどさまざまな学問分野の融合が必要です。こうしたロボットに関わる多様な分野に触れることで、学生の成長を促す効果もあると考えています。

このキャンパスでは、NEOD(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)と共同で、日本初の「ロボットサービス・ビジネススクール」を開講します。梅田という立地を生かして、企業との共同研究、受託事業などを活性化させ、学生の情報発信能力の向上や実践的な学びへとつなげていきます。

さらに、新学部設置に合わせて、本学の本拠地である大宮キャンパスのリニューアルも構想中です。全学部が有機的に連携できるような基盤づくりを進めていきたいと考えています。

*ロボティクス&デザイン工学部は2017年4月に開設されました。

国際PBLをはじめグローバル教育も推進

グローバル教育にも力を入れています。1年次は語学研修を行い、2・3年次には国際PBLを提供しています。これは、台湾やタイ、インドネシアなどの大学生とチームを組んで課題に取り組むもの。コミュニケーションはすべて英語で行うため、生きた英語力と専門知識を活用できる場となっています。2〜4年次には各学科の海外研修があり、大学院進学予定の学生には、1〜3か月間、海外の大学の研究室で研究するプログラムも用意しています。

本学を設置する学校法人常翔学園は、「理論に裏付けられた実践的技術をもち、現場で活躍できる専門職業人の育成」を建学の精神としています。

この精神のもと、本学は「関西の私立大学の中での確固たるリーディングポジションを確立する」を将来像として描いています。本学独自の改革でその実現に向け、社会から選ばれ続ける大学をめざします。

西村泰志にしむら・やすし
1950年生まれ。1973年大阪工業大学工学部建築学科卒。1976年同大学大学院工学研究科建築学専攻修士課程を修了し、同大学工学部助手。講師、助教授を経て1999年に教授。2013年工学部長。2015年より現職。専門は建築構造。博士(工学)。

取材・文/仲谷宏 撮影/楠本夏彦

2020年 大学入試改革特集