創立100周年に向けた改革で
「教育の大東」の実現をめざす

初年次教育改革で大東生らしさと主体性を高める

大東文化大学
学長 門脇廣文

出典:『Between』2017年7月-2017年8月号

建学の精神に基づいて独自の教育改革を

人口減少社会に突入した日本で、高等教育がさらなる発展を遂げるには、大学の独自性を高める改革と、大学進学率を高める改革の両方が必要となるでしょう。

私立大学はそれぞれ出自が異なり、独自の「建学の精神」を持っています。そのため、国立大学と私立大学では、大学改革においてめざす方向が異なります。加えて、自己点検・評価や認証評価が導入されたことで、各大学は、これまで以上に自らがどのような大学であるかを再認識せざるを得なくなっています。私立大学は、建学の精神に則った独自の方法で、それぞれが社会に貢献できる道を切り開いていくべきでしょう。

一方で、18歳人口の減少により、学生確保が以前にも増して重要な経営課題となっています。とりわけ収入の7割以上を学生納付金に頼っている私立大学にとっては死活問題です。海外から学生を集めることも一つの解決策ではありますが、国内の大学進学率を高める努力も怠るべきではありません。

ここで鍵を握るのが、高大接続改革です。高校教育と大学教育の間に横たわる溝を埋める、小学校から大学まで連続性のある教育システムを構築することが、大学進学率の向上に一定の役割を果たすでしょう。高大接続改革が進み、それぞれがオンリーワンの大学として、その教育にふさわしい学生をスムーズに接続させるシステムを構築する必要があると考えています。

初年次教育を重視し学生の主体性を培う

本学は、儒教をベースにした教育による東西文化の融合を、建学の精神として掲げています。日本に軸足を置きつつ、西洋の文化を取り入れることは一種の国際性の養成であり、日本の伝統を理解したうえで、グローバルな考え方を備えた人材を育成することは、本学の役目だと自負しています。

こうした姿勢をより明確にするため、2023年の創立100周年に向けた施策を、「DAITO VISION 2023」としてまとめました。6つのヴィジョンのもとに43のプロジェクトを発足させ、数値目標を掲げることで実効性を高めています。最も力を入れているのが教育改革です。特に初年次教育では、大東生らしい倫理意識や国際性を高めること、学生の主体性を引き出すことの2点をめざしています。

前者については、例えば「論語」や「書道」など本学の核となるような科目や英語科目などを、全学生が必ず履修するようなしくみを整備し、「大東文化大学独自の基礎学力」を養います。

後者については「大東文化を元気にする学生リーダー育成プログラム」を前年度から展開し、取り組んでいます。これは、入学式など、さまざまな学内イベントを学生主導で運営するためのリーダーを育成するプログラムです。前年度は約100名の学生が参加し、本年度は、倍の約200名の学生が参加する予定です。

本学の学生には、倫理意識は高いが、ややおとなしいという特徴がみられます。しかし、こちらからさまざまな仕掛けをしていくことで、学生が本来持っている主体性を引き出すことは可能です。こうした正課外での取り組みは、「Daito Education Plus」として体系化していきます。

スポーツ振興による大学の活性化

スポーツの振興は、本学の大きな特長の一つです。大学スポーツには、知名度を高めるための広報活動という面もありますが、最も重要な意義は、スポーツに取り組む運動部の学生とそれを応援する在学生それぞれに対しての教育効果です。現在、スポーツ強化では、41のクラブの活動を「スポーツ振興センター」が中心となってサポートしています。今後は、在学生にとって大学のスポーツがより身近な存在となるように、ファンクラブを作ることも企画しています。多くの学生をスポーツに巻き込むことで、大学を活気づけたいと考えています。

学生一人ひとりの主体性を引き出し、スポーツ振興などを通じて大学の活性化に取り組むことの先に、学生が中心となる大学づくりの将来像を見ています。

3つの学科新設と4年間一貫教育の実現

2018年度4月には、3つの新学科が誕生します。スポーツ・健康科学部に「看護学科」(設置認可申請中)、文学部に「歴史文化学科」(届出済)を設置し、環境創造学部環境創造学科を「社会学部社会学科」(届出済)に改組します。

看護学科では、豊かな人間性と幅広い教養を備えた看護師育成を行い、高齢化社会における地域医療の担い手としても活躍できる人材を養成します。歴史文化学科は、本学の原点とも言える教育研究を継承していく学科です。社会学部社会学科は、地域社会や国際社会の諸問題を調査・分析できる人材を育成する学科として発展させていくことを考えています。

本学の板橋・東松山両キャンパス周辺の地域では、高齢化が進んでいます。看護学科の新設は、そうした地域の課題に大学として向き合うことでもあるのです。さらに東松山キャンパスでは、スポーツ・健康科学部を中心に、健康をキーワードとした地域との連携が考えられます。このように地域に根差した大学づくりに取り組むことも、今後、本学がめざす方向の一つです。

初年次教育と専門教育との関わりを深め、大東文化らしい4年間一貫教育の実現化も図っていきます。そのためには、現在、学年によってキャンパスが異なる状況を解消する必要があります。板橋と東松山の両キャンパスについて、それぞれ充実を図りつつ、どの学部の学生も同じキャンパスで4年間学べるような学習環境の整備を進めます。

「教育の大東」の実現に向けて、今後も改革を推進していきます。

門脇廣文かどわき・ひろふみ
1950年生まれ。1978年慶應義塾大学大学院文学研究科修士課程修了。1981年東北大学大学院文学研究科博士後期課程単位取得。1983年大東文化大学文学部中国文学科専任講師、助教授を経て、2000年教授。文学部長、学園評議員・理事、大学院文学研究科委員長を歴任し、2017年より現職。博士(文学)。

取材・文/仲谷宏 撮影/坂井公秋

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