「大学入学共通テスト」
国語・数学で記述式問題を導入
~どのような能力を測ろうとしているのか~

2017.07.31

2020年度から実施される「大学入学共通テスト(以下、『共通テスト』)では、民間事業者による資格・検定試験を活用して英語4技能を評価する方針が出されましたが、それと並んで大きな改革と言えるのが、国語と数学における記述式問題の導入です。

全問マーク式問題の「大学入試センター試験(以下、センター試験)」に替わる、「共通テスト」の国語、数学の記述式問題では、どのような能力を測ろうとしているのでしょうか。モデル問題例(別ウィンドウで開きます) が大学入試センターのHPで公表されています。高校の先生に、公表された記述式問題のモデル問題例を分析していただきました。高校の先生は記述式問題のモデル問題例を見て何を感じたのか、見ていきましょう。

国語「考えをまとめ、表現する」

今回公表されたモデル問題例は、問題の素材が評論や小説などではなく、契約書などの非連続な文章で構成されているものや、それらについて会話している文章など、これまでの「センター試験」では見られなかった目新しいものです。複数の素材が与えられている点で難解に感じるかもしれませんが、それぞれの素材は、実際の生活の中で見られるものであり、決して難しい内容でありません。

このモデル問題例で求められているのは、与えられた素材に書かれていることをしっかりと把握した上で、解答を導く力です。そして、記述式問題ということから、読み取れたことに基づいて考えを形成し、それを相手に伝わるように表現することが、新たに求められる力と言えます。様々な媒体から、そこに含まれる情報は何かを把握・整理し、それを言葉や文章にして表現してみることを心がけるとよいでしょう。(岡山県・公立高校教諭)

数学「数学的な視点を多角的に養う」

「センター試験」の数学は、考察すべき数式が与えられるなど、誘導に従って解答を導いていく面がありましたが、公表されたモデル問題例では、自分で文字を設定して求める値を考えていくなど、多くの情報の中から必要なものを選択・判断し、見通しを立てる力、そして、日常の問題に関する解決方法を数学的に説明する力が求められています。

解法パターンを覚えるのではなく、なぜ、そのような解き方をするのか、なぜ、ここでこの公式を使うのかなど、式や図の持つ意味、定理・公式の有用性をしっかりと理解することが、これまで以上に重要になります。さらに、式の図形的な意味を考えたり、図形を式に表してみたりするなど、数学的な視点を多角的に養うことを、日頃の学習でも意識しておくことが大切です。(北海道・公立高校教諭)

記述式問題で求められる能力は
一朝一夕では身につかない

高校の先生によるモデル問題例の分析をまとめてみましょう。国語は「情報と情報の関係性を吟味・構築すること」や「情報を編集して文章にまとめること」、そして数学は「数学を活用した問題解決に向けて構想・見通しを立てること」に関わる能力を記述式問題は重視していると言えます。

また、各大学が実施する個別選抜試験においても、論理的な思考力・判断力・表現力を適切に評価するため「複数の素材を編集するなどして、自らの考えを立論し、さらにそれを表現するプロセスを評価できる記述式問題の導入・充実に取り組む」という方向性が打ち出されています(「平成33年度大学入学選抜実施要項の見直しに係る予告」より)。

保護者の方もお感じかと思いますが、記述式問題で求められる能力は、高校3年生になってから身につけようと思っても、そう簡単に身につくものではありません。また、国語や数学だけではなく、教科横断で育成すべき能力でもあります。高校は、この点について認識していますので、初めての「共通テスト」を受験する2018年度の高校1年生から英語4技能育成と合わせて授業改善を進めていくと思われます。

ご家庭でも、ニュースで見聞きする社会の事柄や日常生活で体験したことをお互いに話し合う中で、「自分の考えを整理して相手に伝える」ことを習慣づけるとよいのではないでしょうか。

「進研総合学力テスト」も
2020年度を見据えて進化していきます

進路指導と指導改善の目的で、全国の多くの高校で採択され、1年間で延べ500万人以上の高校生が受験している「進研総合学力テスト」も、「共通テスト」を含めた大学入試改革に向けて、来年度から順次改訂を進めていきます。改訂ポイントは以下の3点です。

改訂ポイント

  1. 思考・判断・表現力の新傾向出題、記述力向上のための振り返り機能強化
  2. テスト受験を機会・節目に、高校3年間の自分の成長を蓄積・振り返る仕かけ
  3. 上記2点をデジタルサービス充実によってさらに強化

大学入試改革で育成を目指している能力は、これからの社会で子どもたちが活躍するために必要とされる力です。ベネッセコーポレーションは、学校、保護者の皆さまとともに、お子さまが20年後、30年後の社会で活躍できるよう、その力の育成をご支援してまいります。

2020年 大学入試改革特集