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早稲田大学3学部2020年度実施の一般入試から
センター試験後継の「大学入学共通テスト」を必須化!

2018.07.13

2018年6月7日に、早稲田大学から2020年度実施の一般入試改革についての情報発信がありました。これまでの一般入試から何が変わり、なぜ変更するのか。記者会見の場での同大学の発言内容も踏まえ、「大学入学共通テスト」(2020年度より実施されるセンター試験の後継試験)の活用を視野に入れた早稲田大学の、新たな一般入試のねらいとポイントを、今回は解説します。

今回の発信は、政治経済学部、国際教養学部、
スポーツ科学部の3学部から

早稲田大学の一般入試が変わるといっても、すべての学部の一般入試が2020年度から大きく変わるわけではありません。今回、一般入試の改革を表明したのは、政治経済学部、国際教養学部、スポーツ科学部の3学部です。

3学部に共通するのは、
「大学入学共通テスト」の必須化

今回、一般入試の改革を表明した3学部は、いずれも「大学入学共通テスト」の受験を必須としています。社会の劇的な変化やグローバル化が予測されるこれからの時代、変化に対して受け身ではなく主体的にかかわりながら自ら問題を解決できる人材を社会に送り出していくためには、大学入試を、高校で育成される知識・技能、思考力・判断力・表現力等の「学力の3要素」(図1参照)をしっかりと評価するものに変えていかなくてはならないと、早稲田大学は考えていました。
センター試験の後継試験として2020年度より実施される「大学入学共通テスト」は、「学力の3要素」のうちの知識・技能、思考力・判断力・表現力等を評価することを目的としており、まさに早稲田大学が必要としていた試験だと言えます。そこで、3学部は「大学入学共通テスト」を必須化することにしたのです。

[ 図1] 学力の3要素

  • 十分な知識・技能
  • それらを基盤にして答えが1つに定まらない問題に自ら解を見いだしていく思考力・判断力・表現力等
  • 主体性を持って多様な人々と協働して学ぶ態度(主体性・多様性・協働性)

政治経済学部の
一般入試改革のポイントは3つ

ここからは、保護者の皆さんの関心の高い政治経済学部の一般入試改革の内容を詳しく見ていきます。2020年度に実施される一般入試の試験内容をまとめたものが図2の左側上側です。ポイントは次の3つです。

[ 図2] 政治経済学部の一般入試改革

2020年度実施の一般入試の試験内容 2019年度実施の一般入試の試験内容

学部独自試験のみ政治経済学部のオリジナル問題
以下の1)+2)+3)の合計点で選抜

1)大学入学共通テスト(計100点)
以下4科目を25点ずつに換算 ① 外国語(以下いずれか1つを選択)
(1)英語(リスニングを含む)(2)ドイツ語(3)フランス語 ② 国語 ③ 数学Ⅰ・A ④ 選択科目(以下いずれか1つを選択) (1)地理歴史「世界史B」「日本史B」「地理B」から1科目
(2)公民「現代社会」「倫理」「政治・経済」「倫理、政治・経済」から1科目
(3)数学「数学Ⅱ・B」
(4)理科「物理基礎」「化学基礎」「生物基礎」「地学基礎」から2科目
あるいは「物理」「化学」「生物」「地学」から1科目

2)英語外部検定試験(30点程度・予定)
・使用できる英語外部検定試験は、「大学入学共通テスト」で活用される試験を前提として検討中。

3)学部独自試験(70点程度・予定)
・1科目のみ90分間で実施。日英両言語による長文を読み解いた上で解答する形式。記述解答を含む。

2019年度実施の一般入試の試験内容

すべて政治経済学部のオリジナル問題
以下の1)+2)+3)の合計点で選抜

1)外国語(90点)
次のうちから1つを選択
(1)英語(2)ドイツ語(3)フランス語
(「ドイツ語」「フランス語」を選択する場合は大学入試センター試験の当該科目を受験)

2)国語(70点)
国語

3)地歴 または 数学(70点)
次のうちから1つを選択
(1)世界史(2)日本史(3)数学

ポイント1
「大学入学共通テスト」の「数学Ⅰ・A」を必須化

図2の右側下側は2019年度実施の一般入試の試験内容です。こちらの3)を見れば分かるように、これまでの政治経済学部の一般入試では、数学は選択科目でした。
しかし、2020年度実施の一般入試では、「大学入学共通テスト」の「数学Ⅰ・A」の受験が必須化されます。これには、政治学、経済学を問わず、学修と理解に必要となる基本的な数学的思考力を持った生徒に入学してほしいということと、国立大学志望者の多い地方の受験生に、出願検討の機会を持ってほしいといった同学部のメッセージが込められています。

ポイント2
民間の英語の資格・検定試験の結果を配点化

「大学入学共通テスト」の英語の受験を必須化しているのにもかかわらず、民間の英語の資格・検定試験の受験も必須化しているのは、「大学入学共通テスト」の英語では見ることのできない力を見るためです。
「大学入学共通テスト」の英語で見ることができるのは、「聞く」と「読む」の2技能ですから、GTECを始めとした民間の英語の資格・検定試験を活用することで、残りの「話す」「書く」を含む4技能を見ようとしているのです。民間の英語の資格・検定試験の結果が占める配点の割合は15%程度の予定としており、配点で示すと、200点満点中の30点となります。
決して小さくない配点割合であることから、受験生の英語4技能の学習と体得の状況をしっかり見ていこうとする同学部の姿勢がうかがえます。

ポイント3
学部独自試験は非教科型に

3つめのポイントは「学部独自試験の非教科型化」です。学部独自試験は現行の教科・科目の学力を問う試験(図2)から、「日英両言語による長文を読み解いたうえで解答する形式とし、記述解答を含む」試験に変わります。具体的には、次のような内容になるとのことです。

  • 1)英語による長文問題
    英語で書かれた文章や、図表、データから必要な情報を読み取る力を問う内容
  • 2)日本語による長文問題
    歴史総合や公共など、社会科をベースとした総合的な問題を通じて、論理的な思考力や表現力を問う内容

さらに、政治経済学部によると、提示された課題に他者と協働して取り組む方法を考えさせ、それを表現させる問題などを通じて、「学力の3要素」の「主体性」や「協働性」等を見ていきたいとのことでした。
具体的な問題イメージが分かるサンプル問題が8月のオープンキャンパスまでに公表される予定となっており、それが明らかになれば、受験生に求められる資質・能力が難化するのかどうかが分かりそうです。ただ、「政治経済学部の入試専用の準備をしなければならなかったこれまでの試験から、多くの受験生が受けやすい試験に変わる」(政治経済学部長)ことから、これまで同学部が志望大学の選択肢に入らなかった地方出身者や国立大学併願受験者の増加を期待しているとのことです。

他大学への影響は

早稲田大学はこれまでも教育や研究の改革に取り組んできていますが、今回の情報発信の場でも、中長期計画の「Waseda Vision150」で掲げるグローバルリーダーを多く輩出するために、高校教育等で育成される「学力の3要素」を重視した入学者選抜を実施する改革が急務となりつつあることを明らかにしています。実際に、全学共通の入試改革として、Web出願時に「主体性」「多様性」「協働性」に関する経験の申告を出願要件としています。
入学センターは、「単に入試制度の一部を変えるというものではなく、2021年度以降の高校と大学の教育改革の接続の実現を目指すもの」としています。
一方で、早稲田大学の動きに他大学が追随するかどうかは現段階では不透明です。ただ、早稲田大学がこれだけの大きな変革、メッセージを発信したことで、他大学の入試改革の検討や議論の活性化が促進されることは確かだと思われます。

早稲田大学の一般入試改革は、高大接続の実現を目指した教育を念頭に置いた取り組みであり、高校での学習が一層重要になることは、受験生にとっても歓迎できる改革と言えるのではないでしょうか。

次回は、「大学入学共通テスト」に関する大学入試センターの発信内容について、保護者の皆さんに分かりやすく情報発信していきます。ご期待ください。

2020年 大学入試改革特集