生活

高校生の心理と保護者のかかわり方高校生の心理と保護者のかかわり方

子どもでも大人でもない、「高校生」という時期。
保護者は子どもをどのように理解し、どう向き合えばいいのでしょうか?
そのヒントを探ります。

第2回 進路選択における保護者の役割

高校時代は、卒業後の進路について悩み、考える3年間でもあります。子どもが納得できる進路選択をするために、保護者はどのようにかかわっていけばいいのでしょうか?

身近で現実的な将来像を思い描く、現代の高校生

現代の高校生は自分自身のことをどうとらえ、将来についてどのようなイメージを抱いているのでしょうか。

2009年に実施した「第2回子ども生活実態基本調査」の結果を、その5年前の2004年の調査結果と比較してみると、興味深い結果になりました。

調査から見えてきたこと

  • (1)自分自身や人間関係、地域、社会など、「自分自身や自分を取り巻く環境」に対する満足度は向上している。
  • (2)親子間での会話の頻度が高まる傾向にある(友だち親子の増加)。
  • (3)将来については、「親を大切にしている」「幸せになっている」「子どもを育てている」「自由にのんびり暮らしている」という、身近で現実的なイメージを持っている子どもが多く、「有名になっている」「世界で活躍している」など、野心のある将来をイメージしている高校生は、全体の12~13%しかいない。

調査結果の詳細データ

「第2回子ども生活実態基本調査報告書」(2009年)(別ウィンドウで開きます)

小学4年生から高校2年生13,797名を対象とした大規模調査。第1回調査は2004年に実施。

また、この調査では、将来なりたい職業が「ある」と回答した高校生が2004年の調査よりも大幅に減少していることがわかりました。

これらの結果を総合すると、「現実的な範囲で将来像を思い描いているものの、具体的な職業イメージは持てず、現在は比較的狭い社会の中での生活に満足している」という「内向き」な現代の高校生像が見えてきます。

なりたい職業がある子どもの割合(経年比較 学年別)

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出典:「第2回子ども生活実態基本調査報告書」(2009年)

なりたい職業がある高校生は50.6%。2004年の調査結果と比較して15ポイント以上も減少していることがわかる。

「視野を広げる」という取り組み

「内向き」で「現実的な選択」をしがちな現代の高校生。納得のいく進路選択をするために、まずは視野を広げるよう働きかけてみましょう。何かを選択する際、だれもが「自分が知っている範囲」からしか選ぶことができないからです。

例えば、「日常」とは異なる環境に身を投じること。具体的には、短期留学などの異文化体験や大学の公開講座への出席、あるいは博物館や美術館に行くなど、「普段のコミュニティ」とは異なる場所で過ごす時間を持つといいでしょう。

重要なことは、「日ごろ感じていること・考えていること」とは異なる視点で物事をとらえる体験を積むことです。そのような体験を通して、子どもは視野を広げると同時に、自分自身を客観的に見る力も養うことができるのです。

保護者自身の進路選択ストーリーを語ることも、子どもにとっては「別の視点」を知るいい機会となります。「時代背景が違うから」と保護者自身が片づけてしまうのではなく、「あなたの置かれている状況と、どこが違うと思う?」と問いかけ、考えさせてみましょう。

また、保護者自身の仕事の内容ややりがいのほか、親戚や知り合いが従事している職業についても積極的に話題にするなど、世の中には幅広い職業分野があることを伝えていくことが大切です。

「時間の使い方を自分で判断する力」の重要性

視野を広げる以外に、もう一つ大切なことがあります。それは、「時間の使い方を自分で判断する力」を身につけさせる、ということです。

例えば、勉強をせずにスマートフォンを触っている子どもに対して「やめなさい」と注意をしたり、「夜10時以降のスマートフォンは禁止」などの“規制”を設けたりすることは簡単です。しかし、そのようなコミュニケーションを続けてしまうと、自分で時間の使い方を判断することができない子どもになり、「受け身の人生」を歩んでしまいかねません。

そこで、保護者から見て望ましくない時間の使い方をしている場合は、子どもに対して「あなたは、その状況でOKなの?」と問いかけ、自分で良し悪しを判断させるよう、心がけましょう。

「今、この時間の使い方でOKなのか? OKでないならば、どうすればいいのか?」を子ども自身に考えさせ、判断させることを繰り返すことは、進学、就職、転職、結婚など、人生の節目での“選択”を自分で判断するための訓練となります。そして、その“選択”の積み重ねこそが、「子どもの人生」そのものとなるのです。

進路を考え始めた子どもに対して、保護者として望ましい役割

  • 子どもが何をやりたいのか、話に耳を傾ける
    ×これはNG 保護者が「こうしなさい」と結論を出す/頭ごなしに否定する
  • 日常とは異なる環境で過ごす体験を積ませる
  • 保護者自身や、親戚・知り合いなどが従事している職業のやりがいを話す
  • 時間の使い方を子ども自身に判断させる

監修/木村治生(ベネッセ教育総合研究所・初等中等教育研究室長)