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高校生の心理と保護者のかかわり方高校生の心理と保護者のかかわり方

高校生にとって友だち関係は「宝物」であり、保護者が干渉しづらい「聖域」でもあります。しかし、食事中もスマートフォンを気にする子どもの姿に、何かと心配になることも…。高校生の子どもを持つ保護者は、子どもの友だち関係にどうかかわればいいのでしょうか。

第3回 高校生にとっての「友だち」とは

高校時代は、話が合う仲間や、同じ趣味を持つ友だちなど、同質の友だちとコミュニケーションをとるのが楽しい時期です。保護者の方にとっても、高校時代を振り返ると、「部活の仲間との青春の1ページ」「今でも付き合いのある親友との出会い」などがよみがえってくるのではないでしょうか。

保護者の方の時代との違いは、その「つながり」の広さにあります。現代の高校生は、クラスメイトや部活仲間などのリアルな場での友だちのほかに、オンライン上で共通の趣味を持った友だちとつながっていることも。

調査によると、インターネット上で趣味の情報や作品を発信するなど、オンライン上の趣味のつながりを持つ高校生は約2割にのぼり、そのうちの56.6%が「ネット上で知り合った人・友だちがいる」と答えています。

また、電話やメールだけではなく、LINEやTwitterなど、コミュニケーションを取る手段も増えています。

Twitterのフォロワー数・LINEの友だち数と「話をしたり遊んだりする友だち」の数

Twitterフォロワー数

趣味のつながり

ある

ない

平均値(人)

381.3

277.0

中央値(人)

200.0

139.0

LINEの友だちの数

趣味のつながり

ある

ない

平均値(人)

143.8

116.0

中央値(人)

110.0

100.0

話をしたり一緒に遊んだりする友だちの数

趣味のつながり

ある

ない

平均値(人)

30.8

29.1

中央値(人)

15.0

10.0

Twitterフォロワー数LINEの友だちの数話をしたり一緒に遊んだりする友だちの数

趣味のつながり

ある

ない

ある

ない

ある

ない

平均値(人)

381.3

277.0

143.8

116.0

30.8

29.1

中央値(人)

200.0

139.0

110.0

100.0

15.0

10.0

今時の高校生にとって、Twitterのフォロワー数・LINEの友だちの数は100人超えが当たり前。さらに「趣味のつながり」がある高校生のTwitterのフォロワー数・LINEの友だちの数は、趣味のつながりがない高校生に比べて多いことがわかる。一方、リアルな場で「話をしたり遊んだりする友だち」の数に大きな差はない。

出典:ベネッセ教育総合研究所「中高生のICT利用実態調査2014」

インターネット・スマートフォンがもたらした「問題」

高1でスマートフォンを所有する割合は9割近く(※1)に達しています。パソコンやスマートフォンなど、ITが友だち関係に与える影響は大変大きいものとなっています。それに伴い、浮かび上がってきた二つの問題があります。

一つは、コミュニケーションの頻度が異常に増え、「常に親密な関係を続けていなければならない」という状況に陥っている高校生がいることです。「やり取りが止められない」といったトラブルに陥ったり、狭い価値観にとらわれ、友だちの言動や行動に影響を受けすぎてしまったりすることも。

もう一つの問題は「コスト」です。コストと言ってもお金だけではありません。子どもの「時間」が奪われることも大きな問題です。

※1 総務省「平成26年度 青少年のインターネット・リテラシー指標等」より

メールやチャット(LINEなど)、 SNS(mixi、Facebookなど)、Twitterをする時間(1日あたり)

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平均すると、平日で1時間26分、休日で1時間52分の時間をメールやチャットなどに使っており、かなり長い時間を友だちなどとのやり取りに割いていることがわかる。

出典:ベネッセ教育総合研究所「中高生のICT利用実態調査2014」

片時もスマートフォンを離さない子どもに対して、保護者ができるのはどんなことでしょうか。

まずは、連載の「第1回」「第2回」でもお伝えしてきたように、子ども自身に「客観視」させることが大切です。例えば、スマートフォンを食事中も気にする子どもには「周りの人が今のあなたのことをどんなふうに思っていると思う?」「時間を有効に使えている?」と問いかけてみましょう。

子どもの「友だち関係」について、保護者ができること

「親にしかられるから勉強する」と考えている子どもには、「友だちと話が合わないと不安」「友だちとのやりとりで傷つくことが多い」などと答える傾向が強い、というデータがあります。

友だちとのかかわり(高校生、学習動機別)

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出典:「第2回子ども生活実態基本調査報告書 」(2009年)

これは何を示しているのでしょうか。
保護者から疎外されることや否定されることに敏感な子どもは、友だちに対しても気を遣っていることが推察できます。ほかのだれかが望むように生きることで、傷つかないようにしている子どもの姿が浮かび上がってくるようです。

子どもが高校生になると、直接的に友だち関係に介入することはなかなか難しいでしょう。しかしこのデータからわかるように、普段の保護者の子どもに対する向き合い方は、子どもの友だち関係の築き方に影響しています。

例えば勉強に対しても「親にしかられるから」ではなく、自分自身が必要だと感じて取り組めるよう、日ごろから子ども自身に考えさせ、判断させること。手をかけるのではなく「目をかけ、声をかける」子育てを実践していくこと。

それが、巡り巡って、子ども自身が望むような友だち関係・人間関係を築く礎になると言えます。

子どもの友だち関係への望ましいかかわり方

  • 友だち関係に口出しはしないが、子どものことが大好きだということ、興味・関心を持っていることは態度で示す
  • TwitterやLINEなど、新しいツールは保護者も使い、メリット・デメリットを理解しておく
  • インターネット上のトラブルの場合、初期対応が大事。何かあったら家庭内で抱え込まずに、学校の先生や相談機関などの第三者に相談をする
  • 保護者の普段のかかわり方が、子どもの友だち関係・人間関係の築き方に影響することを心に留めておく

監修/木村治生(ベネッセ教育総合研究所・初等中等教育研究室長)