入試

学習内容の世代間ギャップ学習内容の世代間ギャップ

教科書の内容は、実は改訂のたびに変わっていて、子ども世代と保護者世代とでは、学んでいる内容が異なる場合もあります。このコーナーでは、学習内容の世代間ギャップについて探っていきます。

第6回【社会】教科書が語る日本の人口問題

未来予測はどれくらい可能か?

「第3回【社会】昔と今で名前が異なる!?」で触れたように、教科書もある意味「生き物」という見方ができます。時代ごとに学校で学ぶ内容の変化だけでなく、特に地理や現代社会の教科書からは、その時々の日本や世界の変化を感じ取ることができます。

社会科の教科書には、さまざまな統計資料が掲載されますが、統計資料の中の「将来的な予測」に目を向けたとき、例えば「30年前の予測が、どのような結果になったか」を比較してみると、問題の深刻さや未来への新たな可能性を考えるきっかけになるかもしれません。

「人口問題」については、保護者のみなさんが高校生だったころからかなり手厚く掲載されていました。当時から「現在の問題」、そして予測から「将来の問題」をしっかり考えなさい、というメッセージが発信されていたと受け取ることができます。

保護者のみなさんが高校生だったころの地理の教科書には、人口問題について、次のような内容の記載がありました。

今後、我が国日本では少子高齢化が進行し、2010年には、年少人口と老年人口の逆転現象が起きることが予測されている。

年少人口とは「14歳以下」、老年人口とは「65歳以上」の人口を指します。いまや当たり前のものとなりつつある「少子高齢化」という言葉は、出生率が低下して年少人口が減少する「少子化」と、総人口に占める高齢者の人口比率が増大する「高齢化」の、2つがセットになっているものです。つまり、私たちが住む日本では、ずっと前から「少子化・高齢化」の2つが同時に問題となっていたことがわかります。

年少人口と老年人口の逆転現象は、約30年前には2010年ごろと予測されていましたが、実際は1997年(予測よりも約13年前)に起きています。また、総人口に占める老年人口の割合は、「2010年には約19%程度」と予測されていましたが、実際には約23%まで増大しています。23%という数字を見ると、ニュースや新聞の見出しなどでよく見る「5人に1人は高齢者」という言葉も理解しやすいと思います。

ピンチで拡大

出典:内閣府発行『少子化社会対策白書(平成25年版)』

人口問題は深刻な問題でしかないか?

しかし、老年人口比率が増大することを、悲観的な話題で終わらせるのではなく、そこから新たな課題を見つけたり、何かを生み出したりするきっかけとして考えることが大切です。実際に現在の教科書にも以下の内容が書かれています。

長寿がもたらした人口構成のバランス崩壊という課題がある一方、高齢者独自の生活・文化をつくりあげる環境整備が、新たな創造を生み出す可能性も秘めている。

つまり人口問題は、医学、文化の発展や生活水準の向上によって「出生率が高く死亡率が低い」状態となり、人口が爆発的に増加した半面、出生率が急激に低下して少子高齢化が進んだという事実を浮き彫りにしています。一方で、これらの急速な環境変化が生み出す問題を解決して、よりよい社会にしていくために何をすべきか考える機会になると読み取ることができます。

少子高齢化は、毎日どこかで話題になっています。ぜひ、昔の教科書が語っている30年後の予測を引き合いに出して、ご家庭でこれからの未来の予測と、そうなったときに各人がよりよい社会にするためになすべきことは何かを、話し合ってみていただければと思います。

「学習内容の世代間ギャップ」の連載記事一覧






「入試」についての記事一覧