
専門学校には、「未来に効く」要素がつまっています。
その理由を、
長年にわたって専門学校を研究してきた福岡大学の植上一希教授が、わかりやすく解説。
見るだけで、あなたの進路選びがワンランクアップ!!

植上 一希
福岡大学 人文学部 教育・臨床心理学科教授
東京大学で修士・博士(教育学)を取得。専門学校、職業教育訓練、青年期教育を専門とし、専修学校の質保証や職業教育の制度整備に関する実務的研究・政策提言に携わる研究者。日本職業教育学会理事、福岡市社会教育委員等を務める。
大学と専門学校の違いを
考えてみよう。
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皆さんは、専門学校にどんなイメージを持っていますか? -
専門学校は専門分野について深く学ぶところ、大学は幅広い分野について学ぶところというイメージです。
「やりたいことが決まっている人」は専門学校に、「やりたいことが決まっていない人」は大学に行く方が良いとも聞きます。 -
大学と専門学校の違いについて、よくそういう話を聞きますね。
ある意味で正しい面もありますが、誤解を招く表現だと私は思います。まずは「なぜ進学するのか」ということから考えてみましょう。
学んだことを自分の将来や
仕事で生かすために
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大学も専門学校も、進学の目的の一つは「学んだ知識や技術を将来や仕事に結びつけること」です。確かに大学は幅広い学びが用意されていますが、その内容を自分で将来に結びつけなければいけません。一方、専門学校は最初から将来や仕事に結びつけた教育を行っています。専門教育は地域や社会、現場と地続きにつながっているのが特徴です。 -
学んだことを将来や仕事に結びつける点では、大学と専門学校に違いはないんですね。でも、専門学校に進学すると学べることや将来の可能性が狭くなるイメージがあります。 -
専門教育だからといって、その分野だけを学ぶわけではありません。専門学校は、めざす将来や仕事で活躍するための多様な学びを用意しています。もちろん大学で幅広い分野から自分の将来に結びつける道を見つけるのが向いている人もいます。一方で、興味関心からはじまる専門教育を入り口として、将来の可能性を広げる道もある。自分がどちらに向いているのかを考えることが大切です。

専門学校は、
将来や仕事に結びつけた教育がスゴイ
専門学校ってどんなところ?
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自分が向いているのは大学か専門学校か。きちんと考える必要があるんですね。専門学校のこと、調べてみようと思います。特に調べておいたほうが良い点はありますか。 -
では、専門学校がどんなところか、詳しく見ていきましょう。

手厚いサポートだけじゃない、
専門学校が資格に強い理由
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専門学校は資格取得に強いイメージがあります。
でも大学でもいろいろな資格が取得できます。具体的に違いはあるのでしょうか。 -
先ほど話した通り、将来や仕事に結びつけられた教育が専門学校の特徴です。資格取得が重視され、制度や環境が整っているケースが多いです。こうした制度面に加えて、専門学校にはもうひとつ大きな強みがあります。それは教員と学生との距離が近いという点です。 -
確かに専門学校は大学に比べて学生数が少ないので、手厚いサポートが受けられそうです。 -
学生数が少ないことも専門学校の魅力の一つです。ここで注目したいのは、専門学校の教員は学生がめざす職業の経験者であることが多い点です。つまり職業上の先輩として、過去の経験を生かした寄り添った指導ができます。また、同級生と一緒に同じ資格をめざす環境も大きな励みになります。 -
サポート制度だけでなく、そうした「人」を含んだ環境こそが、専門学校が資格に強い理由なんですね。 -
理容師・美容師など、専門学校でなければ取得できない資格もあるので、その点は注意が必要です。

教員はなりたい職業の先輩!
そのアドバイスは資格取得への近道!

好きなことを切り口に、
大きく成長できる
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「自分の将来について考えなさい」と言われると困ってしまいます。どんな仕事があって自分が何に向いているか、どこから考えればいいですか。 -
そんな時は、自分の好きなことや興味のあることを考えてみましょう。「スポーツ」「ゲーム」「音楽」「旅行」など、どんなことでも構いません。自分が好きで面白いと思うことを学び、将来につなげる場所、それが専門学校です。 -
自分の好きなことが本当に学びや将来になるのでしょうか。 -
専門学校は、一人ひとりの「スキ」を育て、変化させてくれます。
例えば「ゲームが好き」なら、最初はプレイする側かもしれませんが、専門学校ではゲームを作る側=クリエイターになるための学びが用意されています。プログラミング、キャラクターデザイン、サウンド制作など、多様な役割から自分に合う道を見つけられます。最近では、インフルエンサーのように消費者の立場でプロになる道もあります。 -
興味はあるけど難しそうで自信がない場合はどうしたらいいですか。 -
専門学校では、その分野をさまざまな角度から掘り下げます。
好きなことだからこそ持続力や集中力が高まり、学び方や問い方、成功体験などの成長につながります。直接的な知識や技術だけでなく、学び方そのものを身につけられるのも専門学校の強みです。 -
自分の好きなことや興味のあることを学び、それを通して成長できる──それが専門学校なんですね。

好きなことや興味のあることを
学んで成長できる
スキを学べる専門学校

好きなことが、将来や仕事に
つながる道が見つかる
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好きや興味を、専門学校で学びにできるのはわかりました。でも本当に仕事につながるのでしょうか。 -
先に述べたように、専門学校は将来や仕事に結びつけた教育を行います。例えば美容系なら、美容師やヘアメイク、ネイリストだけでなく、サロン運営や美容メーカーの営業・商品開発など多様な仕事があります。活躍の場もサロンだけでなく、ブライダルやイベント、メディアやSNS運営など幅広いのです。好きなことをきっかけに、多様な将来につなげることができます。 -
その仕事をめざすための学びも専門学校ならではのものがあるんですね。 -
実践重視のカリキュラムで、実習が多く、現場で使う知識や技能を短期間で集中的に学べることが専門学校の特長です。
業界や企業と連携し、最新の内容が反映されています。また教員が職業上の先輩なので、自分がどんな仕事に向いているか、活躍するために何が必要かを的確にアドバイスしてくれます。 -
でも就職活動ではやはり大学卒の方が有利だという話も聞きます。 -
近年、企業が重視するポイントは変わってきました。出身校(学歴)よりも、何を学んできたか(学習歴)を重視する企業が増えています。また、働き方の多様化が進み、最初に就職した会社で定年まで勤めるのではなく、転職によってキャリアアップする例も多くなりました。こうした状況のもとで重要なのは、どの学校を出たかではなく、何を学び、それをどのように仕事に生かしてきたかです。社会が大きく変わる中で、この傾向は今後も強まるでしょう。 -
専門学校より大学のほうが就職に絶対有利というわけではないのですね。好きなことを学び、それが将来のキャリアアップにつながる専門学校も魅力的です。

重要なのは、どこの学校を出たかより、
何を学んできたか

大学編入ができる
実践力を身につけながら、
大学の学士取得をめざす
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専門学校の良さはわかってきましたが、やっぱり大卒資格も気になります。 -
専門学校に通いながら、大学の学士(学位)取得につなげる道もあります。学士は大学が授与するものですが、専門学校から無理なく学士取得に進むルートがいくつかあります。
主な方法は以下の4つです。-
専門学校から大学へ編入学:
専門学校を修了して大学の2年次または3年次に編入する方法。編入試験をサポートする専門学校もあります。
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連携・単位互換制度を活用:
専門学校と大学が協定を結び、専門学校での学びを大学の単位として認定する制度。連携校が明示されている場合はスムーズです。
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同じ法人に併設された大学へ進学:
同じ学校法人内で専門学校と大学がある場合、内部進学できるケースがあります。
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通信制大学との併修:
専門学校で学びながら通信制大学で単位を取り、学士を取得する方法。働きながらでも学べます。
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専門学校から大学へ編入学:
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いろんな方法があるんですね。単位互換制度を強く打ち出している専門学校もよく見ます。 -
学校歴と学習歴の話をしました。学習歴を重視する企業は増えていますが、専門学校卒と大学卒で採用条件が異なる企業があるのも事実です。実務で役立つ技能を身につけたうえで学士を取得すれば、学校歴と学習歴の両方を備えた人材になれます。就職活動でのアピールポイントにもなります。また、行きたい大学がある場合は、専門学校から編入での進学も選択肢の一つとして考えてみると良いでしょう。専門学校によっては、手厚い制度で合格への道を強く後押ししてくれます。目ざす大学に合格するチャンスが大きく広がります。

専門性を高めて大卒資格も取得。
編入併修制度は、
大学と専門学校のいいとこどり
大学編入ができる専門学校

高度専門士と学士の違い
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専門学校は2年制もしくは3年制のイメージがありますが、4年制コースがあるんですね。どういった特徴があるのでしょうか。 -
専門学校ではもともと実践的な教育が行われていますが、企業からはさらに高度で専門的な力を求める声が高まっています。専門学校の4年制コースは、そうした声にこたえるものです。インターンシップなどの現場実習を長い時間組むことができ、より専門性の高い教育が受けられます。また、卒業後には「高度専門士」の称号が与えられます。 -
学士(大学の学位)と高度専門士は同じ4年制でもどう違いますか。 -
高度専門士は、専門的な知識・技能を4年間深めてきたことを示す称号です。大卒資格(学士)とは制度上異なりますが、実践力をもった人材として評価される場面が増えています。 -
高度専門士として就職した後のキャリアはどうなりますか。 -
高度専門士は専門分野を実践重視で学ぶため、入社後すぐに即戦力として期待されます。実践に加えてマネジメントや経営などの理論も学んでいるため、将来マネージャーや幹部候補として採用されることがあります。また、大学院へ進学できる場合もあります。希望する分野でさらに高いレベルを目ざしたい人に適した進路といえるでしょう。

専門分野のスペシャリストとして
活躍。
大学院への進学もできる

時間を
左右する選択です。
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自分が専門学校のことをあまり知らなかったことに驚きました。正直、大学に行けなかった人が進学するところというイメージもありました。 -
大学と専門学校はそれぞれ特徴があり、どちらが優れているとは一概に言えません。18歳人口の減少で大学に入りやすくなっている一方、どの学校を卒業したかではなく「何を学んできたか」が重視される傾向が強まっています。専門学校でも大学でも、自分の成長につながる進路を選ぶことが大切です。 -
大切な進路だから、安易に決めてはいけないということですね。 -
10代後半から20代前半の時間はとても大切です。価値観が近い仲間と一緒に好きなことに打ち込むこと自体が、成長につながります。学校の成績や学校名だけで進路を決めるのではなく、まず「やりたいことは何か」を考え、それを学ぶのに適した学校はどれかをしっかり調べて、後悔のない進路を選んでください。