「農学」は「理系」だけじゃない!幅広い学問領域。「農学」は、農作物の生産から食品加工、流通のほか、生物や化学の知識を人間の健康や環境、経済に生かすテクノロジー の研究まで、私たちの社会に密接に関わる学問です。
農学
私たちの日々の食事の素材となる、お米や野菜、果物といった、作物を生産する「農業」。この農業について、生産技術を向上させるために総合的に研究する学問を「農学」といいます。消費者の間では、「安全・安心」で高品質な食品を求める声も多く、農作物のさらなる品質向上と、国産農作物の需要の高まりに応える生産の効率化が重要視されるようになりました。
有機栽培(オーガニック)という言葉も一般的となり、化学物質に頼らない生産方法や、収穫時に影響が残りにくい農薬などの開発も、今後ますます需要が高まるテーマだといえるでしょう。
この学問の必要性は?
大学での学びは?
どんな人に
向いている?
農業工学
「工学」を基盤に、農業の生産技術・生産環境の改良の研究や、農業の現場に機械を導入することによって、農業の効率化を支援する「農業工学」という学問があります。
農業は、土や水、天候など、作物の生育に必要な条件をすべて自然に頼るだけでは、農作物の質や量は安定しません。「環境学」の要素が強く、常に自然との関係を考えることが求められます。栽培施設などで安定的に作物を育てる仕組みや、トラクターやコンバインなどの農機具も農業工学の研究成果です。
この学問の必要性は?
大学での学びは?
どんな人に
向いている?
生物学/化学
農芸化学
農産物の生産のために、科学的な知識と技術が使われていることはみなさんもご存じですね。その研究は生産面だけにとどまらず、安全な廃棄や再生サイクルの確立、農業以外にも健康、環境、エネルギーなど、多様な領域に広がります。
そうした学問分野を「農芸化学」と呼びますが、この研究の根底には生物学の知識が欠かせません。そのため「理学」の分野との関連もありますが、生物学と科学に基づいた「応用科学」と呼ばれることもあります。
この学問の必要性は?
大学での学びは?
どんな人に
向いている?
生物学/化学
生物工学
農芸化学
生物の仕組みや遺伝子の機能を解明して、農作物や医薬品を開発したり、医療技術に応用するなど、生物学を中心に多分野を横断して学ぶ学問のことを総合して「生命科学」と呼びます。バイオ技術を駆使して、遺伝子の働きを解き明かし、遺伝子の力を最大限に引き出す「遺伝子工学」や、細胞を操作して人間に役立つ技術を開発する「細胞工学」も含まれる分野です。
農学分野では、植物の遺伝子を解明し、害虫や、環境条件の悪影響などに対応した、より高品質の作物をつくることをめざします。
この学問の必要性は?
大学での学びは?
どんな人に
向いている?
食物・栄養学
農芸化学
私たちが普段食べているものの多くは、加工・調味され、一定の保存性を確保されたうえで販売されています。収穫後の加工から貯蔵、人間の身体の中に入るまでの学びも「農芸化学」分野で扱います。
近年の消費者の健康志向から、食品が果たす役割はますます注目され、生活スタイルが多様化する中では、冷凍食品やレトルトパウチ食品など、おいしさだけでなく、安全性を確保するための技術、長期保存できる食品技術の開発も広く進められています。
この学問の必要性は?
大学での学びは?
どんな人に
向いている?
経済学/経営・商学/経営情報学
国際関係学
農業経済学
日々の暮らしの中ではモノやサービスが絶え間なく売買されています。このような流れを理解し、生産や流通、消費などひとつひとつの活動について研究する学問が「経済学」ですが、経済学の中でも農業によって生み出される野菜や穀物、果物や畜産物といった農産物の価値や動きに関する学びを「農業経済学」といいます。
この学問には、食料自給率を高め、国内農業を保護・育成する政策といったテーマも含まれます。農業に起因する社会問題に対して、経済学を中心とした視点で解決策を探っていきます。
この学問の必要性は?
大学での学びは?
どんな人に
向いている?
建築・土木・環境工学/工業デザイン
森林科学/ 造園学
植物や樹木の学問として最も代表的なものは「森林科学」と「造園学」です。森林科学は、木材資源の有効活用や、森林環境の保全について追究する学問です。それに対し造園学は、公園、街路樹、庭園など人間の生活環境において、植物のある空間を構成するための学問です。
いずれも植物に関する知識は不可欠ですが、同時に森林の保護や、造園の管理・施工の技術、それらを利用する人間社会まで学びます。
この学問の必要性は?
大学での学びは?
どんな人に
向いている?
心理学
獣医学/畜産学
動物を学ぶ学問の代表として、「獣医学」と「畜産学」の2つがあげられます。
獣医学は、「獣医師」を養成する学問分野です。対象は牛、馬や豚などの家畜のほかペットとなる犬や猫、鳥類、爬虫類。また自然環境で暮らす野生動物を見守り、傷ついた動物を保護し、生態系の維持についての研究と実践を行うことも獣医学の役割です。一方畜産学は、家畜などの動物を飼育し、衛生管理・健康管理を行いながら、資源としての利用方法を研究していきます。
この学問の必要性は?
大学での学びは?
どんな人に
向いている?
生物工学
水産学
魚介類や海藻などの水産資源を研究対象とする学問分野の「水産学」。効率的かつ適正に生産し、有効利用していくための方法論を学びます。漁獲や増殖、加工、流通方法と水産業の経営手法、さらには海洋環境の保護、貴重な資源としての新たな利用方法について、科学的視点で研究していきます。
水圏に生息するほ乳類や爬虫類、クラゲやプランクトンなどの浮遊生物も研究の対象になります。また、海だけでなく、河川や湖、沼など、淡水で暮らす生き物も水産学で扱います。
この学問の必要性は?
大学での学びは?
どんな人に
向いている?