立正大学/私のイチオシ
視覚を超えて内なる感性に触れる「触覚芸術」の奥深い学び
※掲載内容は取材時のものです
コレ知ってる?
映画監督の宮崎駿さんが創り出す作品における最大の特色は、「触覚的想像力」を読み取ることにある、という研究があります。人間の触覚は他者やモノとの触れ合いを通じて存在の実感を得るための感覚器官であり、触れた経験の記憶が蓄積することによって、対象のあらゆる性質を把握することができます。私が制作・研究をしている彫刻芸術は「触覚芸術」と呼ばれ、視覚を超えて内なる何かに触れる感触と特有の存在感があります。だからこそ、古代文明における仏像や神像は、超越的存在の像、すなわち「神々や仏たちの像」として成立したのです。
この学問のココがおもしろい
現代は視覚に偏向しており、触覚の持つ意味合いを自覚することが難しくなっています。しかし、GUI(グラフィカルユーザーインターフェース)を初めて実現した計算機科学者のアラン・ケイは「ユーザーインターフェースを通してわれわれはコンピューターの“粘土”に触れることができる」と述べ、コンピューター開発において触覚性を重視していたことを表しています。「触覚芸術」と呼ばれる彫刻の特質からの学びは、人間の創造性の基盤にある触覚的感性を再認識し、取り戻す機会になる可能性があります。
キャンパスのお気に入りスポット
オープンキャンパス時に設けられる仏教学部の「学部ブース」では、卒業制作の作品を展示しています。ここでは仏像作品の特異な存在感を体験でき、作品を制作した学生から造る側の感触について話を聞くことができます。また、サンスクリット語やチベット語の「経典」などの実物資料を見ながら解説を聞くこともできます。ほかにも、国内・海外研修旅行時の写真や記録も展示されており、学生たちの体験や発見に触れることができます。
*2025年4月から「文化遺産・芸術コース」に名称変更予定
※コース名等、記載の内容は変更になる場合があります。