高校生環境小論文コンクール

2021年度の課題と受賞作品

受賞作品
 

最優秀賞(副賞:表彰状+図書カード15,000円分)

都市と自然を結び付けた発電プランの提案【設定した立場】経済産業省資源エネルギー庁職員

学習院女子高等科 2年生 K.Rさん

細田先生からのコメント

 エネルギー問題、地球温暖化問題を木質バイオマスの活用で解決しようという王道とも言えるアイデアですが、筋道の通った論が展開できており説得力のある提案です。特に素晴らしいのは都市と地方のつながりに着目した点です。SDGsにおいても17番目に挙げられているように連携協力は環境問題を考えるうえで重要な視点です。市民の節電意識への波及効果、地域活性化についても細やかに考えられていることに加え、文章も単調にならないよう工夫できており、非常に高く評価できる作品です。
 ただ、1つ惜しかったのは定量的にどの程度効果が出るかに触れていない点です。ざっくりでよいので、どの程度カーボンニュートラルに貢献できるか言及できるとさらに素晴らしい論となるでしょう。

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優秀賞(副賞:表彰状+図書カード5,000円分)

機内食から考える食品ロス【設定した立場】航空会社社長

成城学園高校 2年生 T.Yさん

細田先生からのコメント

 高校生にとってあまり身近とは言えないにもかかわらず、航空会社にとって頭の痛い問題である機内食の食品ロスに着眼できている点がまず素晴らしいですね。チケットの購入段階で食事の有無を確認するという提案も実現可能性が高く、大いに評価できます。また、最終段落でSDGsに触れるとともに「いかに廃棄を出さないか」に焦点を当てるという論の原則を鮮明に打ち出すことで、主張の説得力を高めることにも成功しています。文章技術の面でもテンポよくしっかりと構成されています。
 ただ、機内食の食品ロスがより深刻なのは、ビジネスクラス以上の和食と洋食などを選択できる機内食です。食事の有無だけではなく食事の種類まで選択させるという提案ができなかったのは残念でした。

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優秀賞(副賞:表彰状+図書カード5,000円分)

学生服を変える「クールエド」【設定した立場】学生服製造工場の社長

倉敷青陵高校 2年生 S.Kさん

細田先生からのコメント

 見た目と素材の両方に気を遣った学生服を提供して環境対策を行うというのはよいアイデアですね。自分にとって身近な問題に着目してそこから論を適切に膨らませることができており、全体のストーリーもとてもおもしろく読めました。「クールエド」というネーミングも秀逸です。段落もバランスよくかつ読みやすくまとめられています。
 ただ「クールエド」で環境にどのようなよい効果があるのかについてあまり言及できていないのは残念でした。例えば最後の一文「環境問題について少しでも考える人が増える」という部分を、どのような教育効果があるのか、どのように人々の意識変革が期待できるのかといった形でより具体的に述べるとより発展性のある論となります。
 *クールビズの期間は2021年度から全国一律の期間設定はしないことになっています。

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優秀賞(副賞:表彰状+図書カード5,000円分)

生ゴミリサイクルの提案【設定した立場】区長

学習院女子高等科 2年生 S.Rさん

細田先生からのコメント

 冒頭で世界と日本を比較することで生ゴミの比率が多い日本の現状がわかりやすく提示できており、とてもよい導入です。ここからコンポストの運用を提案するまでの流れも論理的で説得力があります。区長という立場も、生ゴミの処理は地域単位で行っていることを考えると非常に理に適った選択です。文章も軽快にわかりやすくまとめられており素直に読めます。
 一方、コンポストには異物や有害物質の混入をどう防ぐかという課題もあるため、その点には触れてほしかったところです。また、現在は生ゴミのリサイクルはメタン発酵の方向にシフトしつつあるのでその点も踏まえたうえで、例えばどの領域であればコンポストが有効なのかと考えられるとより現実的な提案となるでしょう。

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優秀賞(副賞:表彰状+図書カード5,000円分)

畜産業における輸入飼料に係る環境問題【設定した立場】総理大臣

久住高原農業高校 3年生 K.Kさん

細田先生からのコメント

 畜産分野で近年ホットな話題となっているエコフィードを取り上げたのは鋭い着眼であり大いに評価できます。森林伐採の現状や日本の飼料自給率の低さを数字を挙げて説明し、エコフィードの提唱へとつなげる流れも非常に論理的です。中長期的なロードマップの重要性を述べるなど現場の理解を得るための注意点も考えられており、高校生としては立派な提案と言えます。
 ただ、エコフィードは既に多くの地域で実践されているので、具体例を紹介できればさらに説得力ある論となったでしょう。また、最後の一文も一般論となったのは残念です。第3段落が長すぎるなど段落のバランスも悪いので、適宜段落を分け最終段落でエコフィードの重要性を強調すると、よりまとまりのある論となります。また、第1段落の「相容れるかのように」という表現は一般的ではありません。違和感のある表現は推敲で防ぎましょう。

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優秀賞(副賞:表彰状+図書カード5,000円分)

『再配達件数の減少』による『地球温暖化』の防止策【設定した立場】宅配企業の企画担当者

成城学園高校 2年生 M.Mさん

細田先生からのコメント

 私たちにも身近な問題であると同時に、大きな課題となっている宅配業界の再配達問題を取り上げたのはよい着眼と言えます。「ポイント付与」という人々の経済的インセンティブを使って問題解決につなげようという姿勢もいいですね。文章技術の面でも、冒頭で運輸事業による二酸化炭素の排出量が5分の1を占めることを提示して、問題にぐっと引き込む構成は見事です。
 ただ、最終段落は「ポイント付与」のサービス内容とメリットを述べるだけで終わってしまったのは残念です。最終段落をもう少し短く切り上げたうえで、再配達を減らすことで、二酸化炭素の排出をどの程度削減できる見込みがあるかといった定量的な効果を述べる段落を1つ付け加えることができれば、より説得力ある論となります。

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優秀賞(副賞:表彰状+図書カード5,000円分)

虫を食べることで食い止める地球温暖化【設定した立場】食品会社の社長

桜丘高校 1年生 S.Sさん

細田先生からのコメント

 昆虫食は現在かなり現実味を帯びてきており、この話題を敏感にキャッチして環境問題と結び付けたアイデアは素晴らしいですね。温室効果ガスの排出量や必要な農地の面積を牛肉と比較するなど、定量的な検討がしっかりできている点や、第3段落で安全性や見た目の問題など自分の論のデメリットを挙げたうえでそれへの反論を行っている点も論の説得力を高めています。文章も極めてテンポがよく非常に論理的にまとめられています。
 惜しいのは昆虫食への需要をいかに作り出すかという点に言及がないことです。いかにアイデアがよくても需要を無視しては実現性がありません。昆虫食をどう売るかという工夫を考えられればより現実的な提案となるでしょう。

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優秀賞(副賞:表彰状+図書カード5,000円分)

苦しむ海洋生物のために漁業の面から対策を【設定した立場】漁師

倉敷青陵高校 2年生 A.Sさん

細田先生からのコメント

 海洋ゴミの問題と言えばプラスチック製品の削減を主張する論が多い中、海洋ゴミの多くの割合を占めなおかつ使うことを止めるわけにはいかない漁業網の問題を取り上げた点は独自性があり高く評価できます。紛失しにくい漁業網の開発はコストが高くなるというデメリットを提示したうえで、処分にかかる費用を考えれば経済的であると切り返すことで説得力を高めている点も見事です。短い文章でまとめている点も文章のうまさが感じられます。
 残念だったのは、最後の一文が「私たちにできることを考えていきたい」という非常に月並みな内容で終わってしまっていることです。積み重ねてきた論を踏まえた印象的な言葉で最後の一文を締めることができれば、より読み手に印象付けられる論となります。

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優秀賞(副賞:表彰状+図書カード5,000円分)

「ウニ」で食品ロス削減計画【設定した立場】漁師

三田国際学園高校 2年生 I.Kさん

細田先生からのコメント

 高級食材であるウニの雑食性という特性と食品ロスとを結び付けた発想はとてもおもしろいですね。冒頭の一文目で体言止めを使って強い印象を付け、さらに「国民1人に対し毎日お茶碗一杯分ほどの食品が捨てられている」というレトリックを効果的に使用しており、文章のうまさも論のおもしろさを引き立てています。
 ただ、実現可能性という面から見ると、捨てられた食品をどう運ぶのか、ウニの食べるものをどう分別するのか、といった疑問が湧いてしまいます。例えば海鮮市場で出た食品ロスをウニに食べさせるなど範囲を限定することで実現性を高める工夫をすればより説得力ある主張となったでしょう。また、最後の一文も少し弱い印象になっているので、「可能性がある」とはっきりと言い切るとよいでしょう。

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優秀賞(副賞:表彰状+図書カード5,000円分)

貯めて使える環境貢献バッグ【設定した立場】事業家

筑波大学附属坂戸高校 3年生 A.Hさん

細田先生からのコメント

 環境貢献エコバッグを作ろうという直球勝負の主張ですが、現実の問題に対する自分の違和感を起点に素直に考えられている文章に好感が持てます。従来のエコバッグと異なるメリットを1つ目、2つ目と挙げ論点を整理している点も論の論理性を高めています。事業の資本的メリットについても十分検討できており、実現性の高い説得力ある提案となっています。
 しかし、最後の一文が“「当事者意識」を持たせる”で終わっているのは、やや肩透かしの印象です。需要を獲得した先に現実のどのような問題とつなげることができるのか、もう一工夫できるとさらに説得力ある論となります。また「性分解性」「エコバック」といった誤字も目立ちました(掲載文は編集部にて修正しています)。誤字は内容の説得力を損ないますので気を付けましょう。

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