
めぐる文房具【設定した立場】生徒会長
広島高校2年生 Y.Tさん
- 山本先生からのコメント
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文房具を学校の中で循環させるという提案は、ありそうでなかった発想です。「少しエコ」と謙遜していますが、これは経済産業省が提唱する「CEコマース」=サーキュラーエコノミー(循環経済)を促進するビジネスに直結する考え方です。効果そのものは小さくとも気持ちの醸成につながる点、そして身近な文房具に着眼し実現性の高いアイデアを出せた点は高く評価できます。新規購入が減って文房具店が困るかもしれませんが、生徒会長の提案としては適切な内容でしょう。
文章も読みやすくまとめられていますが、第2段落はやや長いので段落分けをすればより論理の流れがはっきりとします。また、一人一台端末によるシステム利用の説明部分もやや冗長でわかりづらくなってしまいました。これらの点を改められればさらに魅力的な作品となります。
ステッカーで地球を救おう【設定した立場】環境大臣
成城学園高校3年生 E.Kさん
- 山本先生からのコメント
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この小論文の最もよい点は、ステッカーによって消費者に環境によい行動を促すことを狙っていることです。出てしまったごみをどう解決するかではなく、ごみそのものを減らすための消費者の行動を考えるというのは、ごみ問題を考える上でとても大切です。そこに着目した点はとてもよいと思います。
ただ、この作品では温暖化につながるためプラスチック利用を抑制すべきとしていますが、プラスチックは海洋汚染や石油資源の枯渇がより深刻な問題とされています。環境への提案としては資源循環の観点からプラスチック利用を問題としたほうが説得力があるでしょう。また、プラスチック容器の代わりにカップを使っても洗い方によってはより多くのCO2を排出する場合もあります。全体としてどの程度環境負荷がかかるかという点も考慮できるとよかったでしょう。
富士山が生むコミュニティ【設定した立場】富士御師
成城学園高校3年生 Y.Mさん
- 山本先生からのコメント
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富士山に見張り役として「強力」を導入しようというのはおもしろい提案です。ヒマラヤの案内人・シェルパのような存在が富士山にもいればよい、というのは大人ではなかなか考えつかない斬新な発想です。確かに教育し監視する強力がいれば、富士山への理解が進み、環境を守ろうとする観光客も増えると十分期待できます。
ただ、きつい肉体労働従事者である強力を「やりがい」に頼って集めたり、元受刑者に働かせたりというのは現代的ではありません。例えば山梨県側では登山料を徴収しているので、静岡県側でも登山料を導入し、高待遇で迎える、という案であれば実現性の高い提案となったでしょう。また、タイトルがやや曖昧なので「古い事例を生かし富士山を守る新しい方法」という内容に合致したものだとさらによかったでしょう。
「合わせるメニュー」でロスを削減【設定した立場】ファミリーレストランの店長
広島高校2年生 H.Nさん
- 山本先生からのコメント
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飲食店でのタブレット端末や二次元コードによる注文は定着し始めており、この新しい文化に着眼した点をまず評価したいですね。デジタル化が進んだ現在であれば、注文をパーソナライズすることは十分可能であり、実現性の高い提案と言えます。タイトルの「合わせるメニュー」もとてもわかりやすく、提案の魅力をしっかり伝えるものとなっています。
ただ、消費者の「食べ残し」は減っても、メニューを多様化すると店側は色々な注文に備えて多くの食材を用意しておかなくてはいけないため、在庫ロスは高まるでしょう。そうすると、トータルとしては食品ロスが増えてしまいます。これを防ぐためのメニュー数を減らすなどの店側の方策や、売り切れが出ても許容するなどの客側の対応を考えることができれば素晴らしい提案となったでしょう。
訳あり食堂【設定した立場】スーパーの経営者
京都先端科学大附高校1年生 R.Tさん
- 山本先生からのコメント
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まず「訳あり食堂」というタイトルがとてもユニークでいいですね。一見して興味を引かれます。そして莫大な食品ロスと貧困という現代社会の矛盾に着眼し、環境問題だけではなく別の社会問題の解決を図ろうとする問題意識の高さも評価できます。構成の面でも、問題の現状、提案、そしてメリットとデメリットときれいにまとめられています。
ただ、規格外野菜はそれを狙って作っているわけではないので出荷は安定しにくく、「栄養バランスの取れた食事」の安定提供は難しいと言えます。またスーパーで買物をしていた客が食堂に行けば売り上げが減ることも考えられます。援助が必要な人だけに食堂を利用してもらうためには場所や利用方法も工夫が必要でしょう。そういった実行したときの影響やうまくいかない部分への想像までできるとレベルアップした論になるでしょう。
ロスフラワーの秘めたる可能性【設定した立場】花屋の社長
市岡高校1年生 K.Nさん
- 山本先生からのコメント
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生花の販売の華やかさを維持するために、どうしても生まれてしまうロスフラワーという負の側面に着目し、可能性を見いだそうとした点は、新鮮でありおもしろいと感じました。カーネーションの再生紙作りは既に実現していますが、その情報をもとに布を作ることを提案し、木の消費量の削減について言及するなど、着想をもとにアイデアを自分なりに広げることができています。
ただ、ロスフラワーから布と紙を作るリサイクルもよいのですが、ロスフラワーが生まれる原因・背景を探り、ロスになる花そのものを減らす工夫に取り組むことも大事ではないでしょうか。そうした問題の根本的解決を検討したうえで、減らし切れないロスの活用法、という形での提案であれば、より説得力ある論となります。
人間と緑の共存【設定した立場】伊勢崎市長
伊勢崎興陽高校3年生 K.Oさん
- 山本先生からのコメント
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人間の経済活動が活発化することによって豊かな自然が減少していく典型的な例を身近なところから見出し、問題意識を持った観察力をまず評価したいですね。宅地の緑化に補助金を出すという提案からは、自分の住む町を大事にしたいという思いと、緑化に向けた熱意が切実に伝わりとても好感が持てます。
ただ、木を植えると庭に一定の面積を割くことが必要になるので、その分住居の床面積は減ることになります。提案にある1万円程度の補助金ではその動機付けとしては弱いのではないでしょうか。例えば容積率の緩和や補助金の金額を増やすなどより効果の高い方策を考えたいところです。また、市長の立場を生かして公共事業による緑化なども考えればより実効性の高い提案となります。
乾燥野菜で隠れ食品ロスの削減【設定した立場】管理栄養士
筑波大学附属坂戸高校3年生 K.Mさん
- 山本先生からのコメント
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廃棄する規格外野菜を活用し乾燥野菜を作るというアイデアは、特に大きな設備投資や難しい技術も必要なく、手間やコストもかからず、失敗してもダメージがありません。今すぐにでも農家が実現可能な地に足の付いた良い提案と言えます。捨てられてしまう規格外野菜でも役に立つはずだという強い思いが感じられる点も好感が持てます。
ただ乾燥機を使ってしまうとCO2を排出し環境に負荷をかけてしまうので、ここは天日干しに絞ったほうが良いでしょう。また、せっかく管理栄養士という立場で述べるのであれば、乾燥野菜を使った具体的なレシピを併せて提案するなど、立場を生かした提案にしてほしかったところです。そうすれば、乾燥野菜がある程度の価格をつけても商品として販売できることをより説得力を持って述べることができるでしょう。