日本女子大学/私のイチオシ
フードシステムの観点から食品ロスを考える

※掲載内容は取材時のものです
コレ知ってる?

皆さんは誰かに贈り物をしたことがあると思います。日本では贈答にお菓子などの食品が用いられることが多いですが、世界的にみると比較的珍しい文化だといわれています。しかし、もし自分がもらった贈り物が余りものだと分かったらどう思いますか?失礼だと思ったり、悲しくなったり、それでもうれしいと思う人もいるかもしれません。
世界のフードシステムで少しずつ対策が進んでいる食品ロス問題ですが、特に日本の場合、見知らぬ人に対する「寄贈」や「おすそ分け」を通じて食品ロスを削減する取り組みは、諸外国に比べて著しく遅れています。今、少子高齢化が加速するなかで、所得水準の停滞と物価高が重なり、貧富の差が大きな社会問題となっています。そこで余った食品を福祉などに活用するフードバンクや子ども食堂の活動支援が注目を集めています。日本のフードシステムは、お金を持っている人にしか食品が渡らない歪な構造を是正するためにも、そのような取り組みを通じて食料配分を適正化するシステムへの再構築が求められています。
この学問のココがおもしろい!
フードシステム論は、個人や企業単体の問題を扱うだけでなく、それらの関係性から生まれるパフォーマンスである「システム」に注目しながら分析する応用科学の分野です。経済学、経営学、社会学、心理学などのフレームワークを生かし、フィールドワークによる質的調査から、企業や官公庁への取材、モデル分析、アンケートを通じた定量的な仮説検証を進めるスタイルへ発展をみせています。また近年ではAIの発展もあり、ビッグデータを用いた探索的な統計分析にチャレンジする人も増えてきました。
研究のフィールドは学内の講義や文献だけでなく、東京近郊はもちろん、国内外に広がっています。そこにいる人々は社会で活躍するプロフェッショナルです。このような方々に直接お会いできることも本研究室の特徴です。調査の過程では、名刺を作ったりメールや電話でアポを取ったりするため、就職活動や社会人になってからも使えるスキルが身につくことも期待できます。
キャンパスのお気に入りスポット
一番のお薦めは文京区目白台という閑静な立地と、地域の方々との繋がりでしょう。落ち着いた場所での冷静なディスカッションや執筆をする空気感があります。一方で、近隣には新宿、池袋、韓国料理店などが集まる新大久保など、世界最大の飲食店が立地するエリアには魅力的な活気があります。文京区内に限定すると、行政や大学間ネットワークを生かした社会問題の解決に積極的なカルチャーがあり、知的好奇心を満たしてくれると同時に大変住みやすく、都内でも人気のエリアのひとつです。
先日文京区長は、「文京区の最大の産業は大学である」とおっしゃっていました。学内で学んだことを学外で生かして、そこで学んだことを学内に持ち寄って新しいイノベーションを生む。このような好循環が作れれば、学生の皆さんの学習効果も最大化されることでしょう。具体的なお薦めスポットは、たくさんあるので書ききれません。もし皆さんとご縁があれば、先輩たち同様にいろいろな場所へお連れしたいと思います。
※2027年4月、家政学部家政経済学科を基に、経済学部経済学科〈仮称〉の設置を構想中。
(本計画は構想中であり、内容が変更となる場合がある)