きょうとげいじゅつ

京都芸術大学

私立大学 京都府

※2020年4月1日、「京都造形芸術大学」より名称変更

京都芸術大学/志望理由

教員や学生と密に関わりながら制作を重ね、3年生で作家デビュー

顔写真
芸術学部 文芸表現学科 4年 上村裕香さん 佐賀県立佐賀北高校 卒業

※掲載内容は取材時のものです

興味をもったきっかけ

小学4年生で小説にであって、すぐに自分でも書くようになった。ともだちのお母さん、国語の先生、文芸部の顧問……と読者は変わっていったが、小説を書く理由はわからなかった。進学校にはいって疲弊し、受験期のすこし前、高校を辞めた。転学先は時間が自由になる学校だった。小説はもう書いていなかった。
小説を書くという行為は、いっしゅ、小説を書く自分と、小説を書かない自分の境界を曖昧にしていく取り組みで、書くことがケアになることも、書かないことが治療になることもある。高校を辞めても人生は終わらなかったし、小説が書けなくなっても、また書きはじめられた。
文学部か教育学部の国語科に進もうと考えていたが、受験直前に「文芸表現」を学ぶことができる学科があると知って進路変更を決めた。文学部では文学研究はできるが、小説を書く方法は学べない。
「作家になりたい」と、18歳にもなって言っている自分がはずかしかった。けれどわたしは作家になりたかったし、この学科にはいらなければ、もうこの先の人生わたしの「読者」になってくれるひとはあらわれないのではないかと思っていた。

この大学を選んだ理由

文芸表現を学ぶことができる大学は限られていた。学費も生活費も自分でまかなわなければいけない状況だったわたしにとって、金銭的問題はおおきなウェイトを占めた。いくつかの候補の中から、ひとり暮らしをしながらでも、奨学金を利用すれば無理なく通える大学を探した。
次に規模を考えた。学科の人数の多いところで切磋琢磨するのもいいが、小規模な学科で教員・学生と密に関わりながら作品をつくっていくほうが自分にはあっていると思った。両親を説得するときには就職率も重要なデータだった。新聞社やテレビ制作会社に就職している先輩もいるという実績は両親をおおいに安心させた。
京都芸術大学はひんぱんにオープンキャンパスをしており、入試の種類も豊富で、入学後のイメージが湧きやすかった。とくに体験授業型選抜はいい判断材料になった。入試は自分が審査される場であり、大学を審査する場でもある。現役の作家や編集者として活躍する教員に小説を読んでもらい、感想をもらうことができる経験を通して、ここでならすくなくとも4年間は「読者」を得られるのではないかと希望がもてた。

社会との関わり

小説を書きたくて大学にはいり、3年生の春に作家としてデビューした。 
社会に結びつくこと、という設問に答えるならば、社会で仕事をしていくなかで必要になる客観性を獲得した、とか、文章を書く・書籍編集をする技能を学んだことで取材ライティングの仕事ができるようになり収入につながっている、とか、そういったことを書くべきなのかもしれない。
でもわたしが語ることのできることは、結局、小説でどう社会に関わるかということでしかない。編集者と打ち合わせし、原稿を書く。そのやりとりは、そのまま大学で学んできたことの延長線上にある。学生同士で作品を講評しあい、教員からフィードバックをもらってきた経験の先に「編集者との仕事」がある。
作家が小説でどう社会との結びつきをつくるかといえば、「小説に読者を獲得させてあげる」こと以外にない。
だから、結局は大学で勉強した一番のことは「おもしろい小説を書く」ことなのだろう。おもしろい小説を書く。読者を獲得する。読者の先にある社会を見つめる。それはたぶん連関のなかにあり、どれも欠くことのできないことだから。

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