看護師として生きる道

どんなに経験豊富な看護のプロだって、最初は不安や迷いを抱える新人看護師でした。それでも一人ひとりの患者とその家族を支え、誰かの人生に寄り添い続けて今のキャリアがあります。ともに喜び、ともに笑い、ともに悲しみ、涙する…。それぞれの「生きる」と向き合った現場の数だけ、強く、優しく、成長を積み重ねる看護師たち。そのひとりだった看護学部の先生たちの、素敵な成長物語を届けます。

看護のプロが語る、発見と成長のエピソード

自分らしい活躍が可能な看護師は、成長のきっかけも出合った感動も人それぞれ。看護の現場を知る3人の先生が、自分の転機となったエピソードを語ってくれました。

Case.01 何より大切なもの看護のあり方を見つめ、
研究活動を続けるO先生

以前の看護現場には、インフォームドコンセントの概念が無かった。その中で上顎がんを患い、何度も入退院を繰り返す40代の男性を担当した。お話好きで、大変な治療に対しても常に前向き。でも最後の入院では、一向に改善しない病状と明かされない病名にイラ立ちが募り、ケアの拒否が始まる。時にはベッド周辺の物を投げつけることもあった。怒りと不信に満ちたままの目で永眠したお顔を、私はずっと忘れられない。「こんな状態で最期を迎えていいのか?」。患者さんのために何もできない無力感から、見つめ直した看護のあり方。当時の悔しさが『がん患者のストレスと苦痛緩和ケア』の研究に長く取り組んできた、私の看護人生の礎になっている。

Case.02 自分の輝ける場所臨床看護師から、
保健師へ転身したN先生

新人看護師として、初めての職場は子どもたちが課外活動をする宿泊施設だった。ケガや発熱、衛生管理はしても、病院看護師と日々の仕事は異なる環境。注射一つとってみても、看護師としての技術の衰えは否めなかった。上司の看護師から医療機関の診療現場で実務経験を積むことを提案され、卒業後3年が経って、私は病棟看護師になった。点滴が一番の難関だった。私より年上の患者さんたちは、若い看護師のおぼつかない手つきを見守りながら、嫌がらずに腕を差し出してくれる。「この若手看護師を育てるぞ」そんな温かい気持ちが伝わってきた。患者さんが新人看護師をやり直す私の指導者のようだった。
患者さんとの関わりが、自分の看護職としての生き方を考え直すきっかけになった。注射技術に自信はないけど、コミュニケーション能力には長けた看護職だったと思う。「注射の上手な看護師が有能な看護師」という時代に、自分の強みを見つけられたのは患者さんや先輩看護師のおかげだ。背中をおされるように、私は保健師としての道を選ぶことを決めた。赤ちゃんから高齢者まで、幅広い年齢層、予防から疾病管理まで幅広い健康状態の人々に関わる保健師業務は多角的な視野と資源活用ができなければ、健康課題は解決できない。家庭訪問は保健師としての私の得意分野となった。新人時代は、自分に合った職種、職場を見つけることが大切だ。でも、患者さんや同僚との関わりを通して、新たな自分を見出し、時には進路変更も恐れず、次のステップへと成長し続けることができるのも看護職だと思う。忘れられない転機は2回目の新人看護師時代、全ての道はローマに通じるように、今の私につながっている。

Case.03 理想の看護への挑戦米国留学を通して、
看護観を広げたI先生

看護師として働き始めたのは700床規模の大病院。慌ただしい毎日の中でミスをしないことが最優先だった。新卒の2年を乗り切り、自分の将来を考えていた頃、米国で看護の博士号を取得した大先輩の講演を聴いた。「日本の看護師は患者に目が向いていない。患者の声に耳を傾けていない」。彼女の言葉に感銘を受けた私は、翌日から積極的傾聴を心掛け、患者さんが話す仕草や表情にも注意を払った。さまざまな想いを理解できたことで、逆に痛感したのはその声に応えられない自分の未熟さ。看護を学び直すつもりで海外留学を決意し、夜勤を続けながら昼間は英語の学習に打ち込んだ。あの出会いと挑戦がなければ、自分らしいキャリアは築けなかっただろう。

知っていますか?看護師の役割と働き方

看護師免許を取得することが、新たな夢のスタートになる

少子高齢化社会や長引くコロナ禍により、医療従事者のニーズがさらに広がっている現代。活躍の場が安定していることから、看護師をはじめとする医療系資格は人気を集めています。だからこそ大切なのは、資格取得がゴールではなく、そこが始まりという意識。なぜならば時代のニーズとともに、看護師の働き方や役割も広がっているからです。自分自身が描いている“看護師の活躍”を実現できるよう、医療の道をめざす人は資格取得後の未来もしっかり描いておきましょう。

看護師の活躍フィールドは、想像する以上に広い!

医療や福祉の現場はもちろん、企業や教育機関、研究機関、災害派遣、さらに海外での支援活動など…。現代の看護師の活躍の場は想像以上に多様。しかも「病院」という括りであっても、総合病院か個人医院か? 診療科は何か? などで役割や働き方が大きく異なります。日勤・準夜勤・夜勤といった交替制の職場ならば、変則的な生活に対応できる体調管理の意識も大切ですし、他の現場でも職場に応じた専門知識は不可欠です。選択肢の数だけ必要な“+α”の力も変化してくるのですね。

どんな活躍の場を選んでも、大きな喜びに出合える仕事

上記のように看護師は決して簡単な仕事ではありません。それでも看護師が人気を集めるのは、さまざまな感動とやりがいに出合える、“患者さんに近い医療職”だからと言えるでしょう。例えば、看護師の小さな気づきが治療の進退に関わり、大切な命を救うケースも数多くあります。また、日々の患者さんとの触れ合いから、感謝の言葉を直接いただけることも喜びのひとつです。キャリアアップや結婚・出産後の職場復帰も行いやすい職種なので、自分らしいライフスタイルを楽しみたい人にも最適です。

医療人の夢に応える、看護学部が誕生します

人との関わりを通して成長できる、
ヒューマンケアリングを基盤に

患者だけではなく、その家族や医療チームのメンバーもつなぐ看護師。言わばその役割は、安全・安心な治療と温かいケアの実現に不可欠な要(かなめ)のような存在です。大阪歯科大学に2024年4月に開設する看護学部看護学科は、この「ヒューマンケアリング」を学びの柱に設置。人々の命を守り、その人らしい暮らしを支える看護実践力と、健やかな地域づくりやチーム医療に貢献できる探究心・行動力を備えた、次代の看護師・保健師を育てます。

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ー 大阪歯科大学 看護学部 ー