早急な対応が求められるDX化に向けた課題に迫るとともに、DXを生かした先進的なまちづくりを行う前橋市の事例を紹介します。
このままでは社会にさまざまな障害が!?
いま私たちが直面するDX推進を担う人材不足の問題
IT人材の不足が
多額の経済損失につながる
IT業界の市場が急速に成長するのに比例して、その担い手となる人材の不足も加速しています。
経済産業省の「DXレポート ~ITシステム「2025年の崖」の克服とDXの本格的な展開~」によると、人材不足に起因するDX化の遅れによる日本の予測経済損失は、最大で年間12兆円とされています。
損失の回避には早急な対応が必須
具体的に不足するIT人材の規模は、経済産業省委託調査による最も悪いシナリオで、2030年までに79万人といわれています。もちろん、情報通信技術がこれまでにないほどのスピードで進化していることが大きな原因なのですが、DXを推進する人材を確保するための対応の遅れも状況を深刻化させる一因になっています。
企業等が人材拡充を
実現するための
5つのポイント
DXを推進する人材を
拡充するためのポイントには、
次の5つがあげられます。
(出典:独立行政法人情報処理推進機構(IPA)「DX白書2023」)
POINT1
人材像の設定・周知
DX 推進を担う人材を拡充するためには、まずその人材像を明確化し、社内に周知させる必要があります。
POINT2
人材の獲得・確保
設定した人材像に該当する人材を確保するためには、採用、社内教育、外部の専門家との契約などを推進する必要があります。
POINT3
キャリア形成・学び
DXを推進する人材を育成するためのキャリア形成やキャリアサポートの施策を明確にし、会社を挙げて取り組むことも重要です。
POINT4
評価・定着化
デジタル技術に関する能力に加え、業務変革やビジネスモデルの変革への貢献などを反映した評価基準を確立し、フィードバックすることが、人材の定着につながります。
POINT5
企業文化・風土
DXを企業に根づかせるためには、めざす在り方に向けて柔軟に対応できる企業の文化・風土が土壌としてあることも、大切な要素となります。
Column
ITを活用し、
新たな枠組みの構築をめざす
デジタル田園都市国家構想
地方の過疎化、地域産業の空洞化といった課題を解決し、地域活性化を図る取り組みとして、政府は「デジタル田園都市国家構想」を推進しています。デジタルの力によって地域のブレイクスルーを実現し、「全国どこでも誰もが便利に暮らせる社会」をめざしています。
デジタルを活用した都市創生を推進する
前橋市の
先端的な取り組みとは!?
前橋市は、デジタル技術を活用した地方創生の分野において、全国から注目を集める先進的な取り組みを行っています。国の「デジタル田園都市国家構想推進事業」で、Type1・2はもちろん最高度のType3まで全ての事業タイプの拠点に選ばれた(令和4年度)全国唯一の都市が前橋です。
前橋は、全国のモデルとなる先駆的取り組みにより、市民によって育まれる共助型未来都市=デジタルグリーンシティを創生し、リアルとデジタルが融合することで、技術が人に寄り添い、誰一人取り残されることなく、新たな価値を芽吹かせ続けるまち、一人ひとりがWell-beingでいられるまちをめざしているのです。この最先端の取り組みは、アクセンチュアやデロイト・トーマツといったグローバルで最先端な企業が前橋に拠点を構えるといった事例のように、人や企業の集積、新しいビジネスの芽吹きを誘発しています。
デジタルグリーンシティを
めざすいくつかの
ポイントを見てみましょう。
もちろん、ここに掲げる以外にも
多くの取り組みが展開されています。
POINT1
めぶくID
マイナンバーカードをトラストアンカーにスマートフォン上に電子署名法の認定証明書を発行した、法的根拠のあるスマートフォン搭載可能な現在”唯一の“ IDを開発。いつでもどこでも、安心して、意思に基づいて、自分のデータの連携を許可したり、連携を解除したりできるダイナミックオプトインを搭載し、DFFT(Data Free Flow with Trust)の実装を現実にしたことで、様々なサービスが展開されており、他の自治体でも採用が進んでいます。
POINT2
官民共創
「めぶくグラウンド」
前橋ビジョン「めぶく。」を社名に冠し、官民共創の街づくりという前橋のアイデンティティを継承して設立されたのが、「めぶくグラウンド(株)」。前橋市と地域企業・大学が出資して設立、「めぶくID」とデータ連携基盤の運用やWell-beingを目指す様々なサービスを展開し、デジタルグリーンシティを形にする取り組みをしています。
POINT3
まえばし暮らしテック
「めぶくID」でログインする「めぶくアプリ」からは、デジタル母子手帳、イベントや学びの情報、助け合いコミュニティなどの暮らしを豊かにするサービスにアクセスできます。例えば、「メブクラスまえばし」では市内5大学の教授の授業や各公民館のオンライン講座などで学ぶことができます。また、アレルギー情報をこども園の給食献立に連携する実証実験などにも取り組んでいます。
POINT4
めぶくPAYと
めぶくコミュニティ
「めぶくPAY」は既存の決済システムに頼らない「めぶくID」を活用した前橋独自の地域通貨。たくさんの加盟店で買い物ができ、行政からの給付金も素早く届きます。様々なデータも地域に残り地域活性に生かされます。「めぶくコミュニティ」は「めぶくID」で参加する安心な地域活性コミュニケーションプラットフォーム。今、「めぶくPAY」と「めぶくコミュニティ」を融合し、地域活動をさらにバージョンアップする取り組みも進められています。
POINT5
MaaSや自動運転
前橋が開発したMaeMaaSは、県域へと広がり「GunMaas」に発展しました。鉄道・路線バス・デマンドバス・シェアサイクルに対応した経路検索機能を利用でき、最適に移動できます。また、オープンデータを活用することで、乗りたいバスのリアルタイムの運行情報をバス位置情報にて案内してくれます。さらにデマンド交通の予約も可能です。前橋では自動運転への取り組みも盛んで、これまで何度も行動を用いた実証実験が成功しており、実装実現が期待されています。
Pick Up
令和4年度
「夏のDigi田甲子園」
アイディア部門で
前橋市が優勝!
実装部門では準優勝
地方公共団体、民間企業・団体などが実施する、地域の課題解決に向けたデジタルを活用した取リ組みを表彰する「夏のDigi田甲子園」において、前橋市は令和4年度のアイディア部門で優勝、実装部門で準優勝となりました。優勝の対象となったのは「めぶくEYE」、準優勝は「マイタク」です。
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めぶくEYE視覚障がい者歩行サポートシステム
視覚障がい者のスマホがカメラによるAI画像認識で障害物情報を音声発信するシステムと、市民が参加する共助プラットフォームをつなぎ、視覚障がい者が自身の体験データを提供することで、障がい者本人が参加・貢献できる仕組みとなっています。現在、「めぶくEYE」は実装が開始されています。
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マイタクでまんど相乗りタクシー
マイナンバーカードを活用したタクシーの運賃補助による移動支援事業「マイタク」は、高齢者など移動困難者の通院や買い物等の新たな外出機会の創出を進めています。
早急な対応が求められる
DX化推進を支える新たな学びが
前橋市を拠点に始動します!
※内容は構想中のものがあり、変更になる場合があります
DX化の課題に
正面から挑む新学部が
デジタル先進都市・前橋に誕生!
デジタル共創学部(仮称・設置構想中)では、デジタル技術を活用して、他者と共にWell-Beingな社会を創造できる人材の育成をめざします。他者と協働して価値を創造していく「共創」と、「情報通信技術(ICT)」を両軸に、人々をより良い方向に変化させる「デジタル・トランスフォーメーション(DX)」の担い手に求められる知識や態度を育みます。
デジタル技術を
Well-Beingな
社会の創造に活かす
3領域で育成をめざす人材像
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ICT 領域デジタル技術を発展・
シン化(進化/深化)させる人 -
マネジメント
領域デジタルで
さまざまな問題を解決する人 -
Well-Being
領域食や健康を
テクノロジーで支える人
KYOAI
STYLE
次世代のデジタル社会を志向する
共愛スタイル1
産官民と連携した実践的な学び
社会で本当に求められる実践力を重視する共愛学園前橋国際大学では、地域の企業や自治体等との連携によって、実社会を舞台に学生が学ぶ機会を豊富に用意しています。企業に向けて新商品の提案を行ったり、地方創生に向けた施策について市議会議員とディスカッションしたりなど、そのスタイルも多様です。デジタル共創学部(仮称・設置構想中)の開設に向け、そうした学びの場をさらに拡充していく予定です。
連携予定企業(一例)
アクセンチュア株式会社
世界有数のプロフェッショナルサービスを提供する企業です。世界をリードする企業や行政機関をはじめとしたさまざまなクライアントに対し、デジタル技術を実装することで、組織運営の最適化、収益の拡大、市民サービスの向上といった価値の創出に貢献しています。
KYOAI
STYLE
次世代のデジタル社会を志向する
共愛スタイル2
最先端のモジュールカリキュラム
専門科目は学びの専門ごとに複数のモジュール( Discipline Module)で構成し、興味関心やめざす方向に合わせてモジュールを選択することによって専門性を深める、最先端のカリキュラムを採用します。 共通分野となる「DXモジュール」は全員が修得。それに加えて、ビジネス領域のDXを学ぶ「マネジメントモジュール」、食や環境、地域社会のDXを学ぶ「Well-Beingモジュール」、DXのためのICTの専門性を高める「ICTモジュール」からいずれかを選択し、専門性を追究します。こうした学びを土台に、「Issue-Based Research Project(卒業研究)」で自ら設定したテーマを深く探究し、価値の共創に必要な素養を身につけます。
学部概要
名称 | デジタル共創学部 デジタル共創学科 (仮称・設置構想中) |
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開設時期 | 2026(令和8)年4月 |
入学定員 | 100人(収容定員 400人) |
取得学位 | 学士(デジタル共創) |
修業年限 | 4年 |
設置場所 | 群馬県前橋市小屋原町1154-4 |