社会で要請されている力とは
高校生の子どもを持つご家庭において、将来希望する職業や、高校卒業後の進学先の選択について、「子どもがどうしたいのか」ということをベースに、親子で考えたり、話し合ったりする機会は、それなりにあることでしょう。 一方で、「今後、社会ではどのような力を持っている人材が求められていくのか」という「社会の変化」という観点から、「我が子が身につけておくべき力」について考える機会は少ないのではないでしょうか。 子育ての最終目標ともいえる「子どもの自立」。精神面、経済面における自立は、「社会に出る」ということをもって成し遂げられる部分が多いでしょう。 高校生の今のうちから、将来「我が子が社会人となる日」を意識し、遅かれ早かれ「社会に出る」までに、どのような力を身につければいいのかを考えておきたいものです。
「社会人基礎力」に見る社会で求められている力
「子どもが社会に出るときに、どのような力を身につけておけばいいか?」。そのヒントになる視点の一つが、経済産業省が提唱している「社会人基礎力」です。社会人基礎力とは「職場や地域社会で多様な人々と仕事をしていくために必要な基礎的な力」のことで、以下の3つの能力・12の能力要素から構成されています。
「社会人基礎力」3つの能力・12の能力要素
また、「社会人基礎力」と、ほかの能力との関係をまとめたのが次の図です。これからの社会では、「基礎学力」「専門知識」に加え、それらをうまく活用していくための「社会人基礎力」を意識的に育てていくことが求められているということが表されています。
「社会人基礎力」とほかの能力の関係
図を読み解くと、「基礎学力」とは主に小学校から中学校までの義務教育と高校で身につける力、「専門知識」は主に実社会のほか、専門学校や大学で身につける力、ベースとなる「人間性、基本的な生活習慣」は主に家庭や地域社会で身につける力、ということもできるでしょう。
学校教育や大学入試も変化していく
これからの社会を生き抜く力を身につけていくために、学校教育や大学入試も大きく変化していきます。
「学力の3要素」という言葉を耳にしますが、「学力の3要素」とは何なのでしょうか。「学力の3要素」とは、学校教育基本法の第30条で規定されているもので、「基礎的・基本的な知識・技能」「知識・技能を活用して課題を解決するために必要な思考力・判断力・表現力等」「主体的に学習に取り組む態度」を指します。
多くの学校が知識・技能の習得に加えて、思考力・判断力・表現力の育成をめざし、低学年段階から「アクティブ・ラーニング」と呼ばれる、生徒同士での主体的、対話的な学びを授業の中に組み入れ、より深い思考や理解の実現をめざす授業改革が進むと考えられます。実際に、アクティブ・ラーニングを実践している高校も増えています。保護者の皆さんが高校生だったころの授業とは、先生の教え方も生徒の学び方も変わっていくはずです。
次に「英語」です。これからの英語教育のキーワードは「4技能の育成と評価」と言えます。大学入試で求められる英語の力が4技能になることで、高校の英語教育も「話す」技能も含めた、4技能での指導と評価がさらに活発になると思われます。
今後、高校での教科の学習成果だけではなく、学校行事や部活動への取り組み、そのほかのさまざまなチャレンジを大学が評価指標の一つにしていきます。保護者の皆さんは、子どもが積極的な高校生活を送れるよう、ぜひ後押しをしてあげてください。