「入学前教育プログラム」で大学の学びへつなぐ!

学校推薦型選抜や総合型選抜で早い時期に合格が決まる高校生にとって、大学入学までの長い期間をどのように過ごすかは重要です。この間に学習意欲を落とすことなく、進学後の学びにつなげてもらおうと、大学が行っている支援「入学前教育」について紹介します。
なぜ入学前教育が行われるの?
18歳人口の減少や進学率の上昇で「大学全入時代」と言われるなか、大学に入学する学生の質は変化しています。さらに近年は、大学入学者の約半数が総合型選抜や学校推薦型選抜で合格しており、一般選抜入学者との学力差も指摘されています。
早ければ11月に合格が決まる総合型選抜の場合は、入学の4か月前に受験が終わることに。この合格から入学までの長い空白期間で、勉強の習慣や学力が落ちてしまうと、大学に入学してから授業についていけなくなったりするケースもあります。入学後の学びにスムーズに移行できるよう、国も「12月以前の入学手続き者に対しては、入学前教育を積極的に講ずること」を呼びかけており、入学前教育を取り入れる大学が増えています。
入学前教育プログラムにはどんなものがあるの?
入学前教育は学部・学科のカリキュラムなどにより内容もさまざまです。大学が求める人物像も踏まえ、工夫をこらしたプログラムをそれぞれの大学が用意しています。
入学後の授業についていけるよう、基礎的な内容をオンライン講義で事前学習することを求める大学もあれば、数日間実際にキャンパスに通うスクーリング形式で、学習に関するガイダンスや先輩と交流する場を設ける大学もあります。ほかにも、専門を学ぶうえで必要となる教科(例えば、看護系や薬学系などでは化学や生物など理系教科)の履修範囲の復習、課題図書を読んで小論文形式のレポート提出、英語の長文読解や論述の添削課題などプログラムは多様で、なかには入学前研修として、海外の大学に希望者を派遣している大学もあります。
進路検討の1つの観点に
総合型選抜や学校推薦型選抜のように、年内に大学合格が決定するいわゆる「年内入試」の割合は、今後も大きくなると予想されいます。この状況を踏まえて、入学前教育の重要性はますます高まることでしょう。晴れて4月、大学のスタートラインに立とうとしたときに、すでにほかの学生と差がついている…という状況を生み出さないためには、大学合格から入学までのこの準備期間をいかに充実させるかがカギとなってきます。
大学を選ぶ際の観点の1つに「学生へのサポート態勢」が挙げられますが、大学情報を調べる際には、入学前教育の取り組みや内容もぜひチェックしてみてください。