意外に身近な経済学~卒論テーマから垣間見る~

経済学は単にお金の流れを学ぶだけではなく、身近なテーマを題材に学ぶことも多い。経済学の基本的な考え方と、どんなテーマが卒業論文の題材として取り扱われているのかを見てみよう。

経済学なら今年のサンマの値段から今年の漁獲量がわかる!?

秋の味覚といえばサンマだが、毎年サンマの値段は上下する。実は経済学なら、この値段から今年の漁獲量を考えることができる。

そもそも、モノの値段は需要量と供給量によって決まる。モノを必要とする人が増えれば値段は上がり、モノがたくさんあれば値段は下がる。

つまり、店頭でのサンマの値段が上がったことから逆算すると、漁獲量が減ったと考えられ、反対に値段が下がった場合は、漁獲量が増えたと推測できるというわけだ。

お金と社会の本質を探る経済学

人の行動とお金の動きをつなぎ合わせて考えるのも、経済学の1つの特徴だ。大学の経済学系統の卒業論文をのぞいてみると、次のようなテーマで研究されている。

イベントが与える経済効果

例えば、国際博覧会などの大規模なイベントが行われる場合、どのくらいのお金が使われるのだろうか?経済学ではこのようなテーマに着目することがある。

人が動けば移動費が発生し、滞在すれば宿泊費や飲食費などが発生する。2025年には大阪・関西万博が開催される予定だが、各国の関係者や報道陣、観光客などが来日すれば、渡航や滞在に必要な費用が、大阪をはじめ近隣の県で使われるだろう。

この場合、訪日外国人の数なども考慮して、どれくらいの経済効果があるのかを考えることができる。これも経済学の重要なテーマだ。

観光施設の持続可能性

経済の活性化という観点では、ある地域に一時的に人を呼び込むだけではなく、継続して人を呼び込み続けるしかけを考えることも重要だ。この場合、経済学では、一度訪れてくれた人が再度訪れてくれるのはどれくらいの頻度なのか?再度訪れてくれた場合は、どのくらいお金を使ってくれるのかを考えることになる。

例えば、巨額の投資を用いて、観光施設を建設するとしよう。その場合、投資したお金を回収するために、観光客には継続的にお金を使ってもらう必要がある。このとき、どのようなしかけを考えて、観光客にはどのくらい来てもらい、どのくらいのお金を使ってもらわなければならないかを考えるのも経済学の特徴の1つだ。

賃金と就業状況の関係性

生活するうえで、不可欠なものが「お金」だ。「お金」は、例えば「働くこと」などの対価として得ることができるのだが、人はより多くのお金を得ることができる職場を求めることがある。その際に、人の行動を決定づける要因の1つが「賃金設定」だ。

会社にとって有望な人材を長く雇用するためには、その人材に支払う賃金を高く設定することが考えられる。このようなとき、個人の能力に対し、どのような賃金設定が最適なのかを見極めるのも、経済学の領域だ。

実地活動を伴う学び方も

経済学は数字の試算など、机上で学ぶ学問というイメージも多いが、大学によっては、実際にその地域の人と協同してマーケティング活動をしたり、商品開発を担当したりする場合もある。

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