大同大学/私のイチオシ
建築やインテリアの設計とは
人々の活動をデザインすること
※掲載内容は取材時のものです
コレ知ってる?
日本において建築学という学問は、工学分野に位置づけられることがほとんどですが、実際には芸術学や法学、哲学、心理学、文学、歴史学など、さまざまな学問の融合によって成立しています。それゆえに「建築は総合芸術である」という表現をされることもあり、建築・空間デザイン分野は、日々変化する社会の中で領域横断的にさまざまな分野と結びつきながら発展を遂げてきました。
それでは、これからの社会で求められるニーズに対し、私たちが建築やデザインの力で応答していくために、どのような力を養ったらよいのでしょうか。そのためには、常に「想像力」を働かせることが重要です。想像力とは、何も感性や知性が優れていることを指す言葉ではありません。感性や知性は物事を知覚することから始まります。私たちをとりまくさまざまな事象に対して常にアンテナを張り、多様な価値観に触れ、想像力を養うことが優れたデザインへの第一歩となります。考えてみれば、想像力はどのようなシーンでも役に立つもので、他者と人間関係を構築したり、ビジネスを円滑に進めるなど、社会生活において非常に有効な能力だと言えます。
この学問のココがおもしろい
建築設計や空間デザインには、長年人々が積み上げてきたセオリーのようなものが存在します。それらを学ぶことはもちろん大切ですが、その枠組みにとらわれすぎてしまうと、新しい発想や思考が生まれづらくなります。そこで大切になるのが、感性と理論のバランスです。自身が生み出した提案やデザインに責任をもち、他者にその魅力を伝え、共感を得る。そこまでできて、はじめてデザインと言えます。実務においては、仕事の依頼主がいるため、新たな空間的価値を創出することはもちろん、彼らの要望に応え、共感と信頼を得ることが求められます。
結果として、デザイナーとしての感性や構想力に加え、コンセプトを言語化して他者とアイデアを共有するための論理的思考も必要になります。感性と理論の両立をめざし、ひとりよがりではなく、他者の共感を得ることのできる設計・デザインを探求していく姿勢が、何より大切なのです。自己の感覚と他者の感覚を理解し、「共有できる感覚」を身に付けることは、建築やデザインだけでなく、あらゆるものごとの基本であり魅力であると考えます。
キャンパスのお気に入りスポット
2020年春、大同大学X棟が竣工しました。中でもお勧めしたいのは「ラーニングコモンズ(以下LC)」と呼ばれるアクティブラーニングスペースです。LCはさまざまな位置に計画されており、形やサイズがそれぞれ異なります。1人で集中する場として、6人でグループワークを行う場として、ゼミ仲間と大勢で研究活動をする場としてなど、状況に応じて、学生たちのさまざまな活動の受け皿となってくれる居場所です。
事実、旧校舎で見られた諸活動とは明らかに異なる活動を目にする機会も増えました。実際にそのようなシーンを目にすることにより、建築やインテリアの設計は、空間のカタチを生み出すことだけではなく、その場に生まれる人々の活動そのものをデザインすることと同義であることを実感できるのではないかと思います。ぜひ自分なりの使い方や活動の可能性を発見し、体験してみてください。