自分の天職を探してみよう 業界&職業研究<映画業界編>

今回は、映画の制作や上映にかかわる業界と仕事について紹介する。テレビやインターネットなど、大きなライバルがいる映画業界。マーケットの現状や、どんな仕事があるのかを理解して、進路に役立てよう。

「制作」「配給」「興行」が仕事のキーワード

映画業界には、大きく分けて「制作」「配給」「興行」の3つの業種がある。制作は文字の通り、映画作品をつくること。企画の立案、撮影、編集と、映画ができ上がるまでに必要な作業のすべてが含まれる。配給は、映画を映画館に売り込んだり、宣伝したりすること。興行とは、映画館を運営すること。どんな映画を上映するか決めたり、販売するグッズの企画を立てたりして、入場者数のアップをねらう。よく宣伝されている「興行収入○億円!」とは、映画館のチケットがどれだけ売れたのかを示したものだ。

大手の映画会社は、配給と興行の両方を行っていることが多い。制作は、企画の立案を映画会社が行い、撮影や美術などの専門的な作業は「プロダクション」や「制作会社」と呼ばれる企業に任せることが多いようだ。

活況が続いた映画業界、今後の行方は…?

映画館の入場者数は、1990年の終わりまでずっと減少傾向にあった。この危機を脱する機会となったのが、「シネマコンプレックス」と呼ばれる大型映画館の登場だ。シネマコンプレックスとは、たくさんのスクリーンを備えた、郊外のショッピングモールによくあるタイプの映画館。好きな映画を選びやすく、人気の映画は複数のスクリーンで上映されるため、映画館に足を運びやすくなったようだ。

2019年には過去最高の入場者数と興行収入をたたき出したが、その後はコロナ禍の影響で映画業界も大きな打撃を受けてしまった。ここ最近は邦画の健闘もあって、少しずつ回復を見せている。
この業界で働きたいと思う人は、今の業界にどんな課題があるのか、今後はどんな方向になりそうなのか、時間がある時に調べてみるといいだろう。

映画の制作に携わる、さまざまな職業

映画監督だけいても、映画はつくれない。撮影をする人、セットをつくる人、俳優にメイクを施す人、映像を編集する人…。さまざまなプロが協力し合って完成するものだ。ここでは特に人気のある、制作に携わる代表的な職業を紹介しよう。

撮影技師

映像を撮影する、制作の花形。映画業界では現在、フィルム撮影からデジタル撮影へと移行している。ただ、フィルム撮影が持つ独特の雰囲気はいまだに好まれているため、両方に対応できると活躍の幅が広がるだろう。

照明技師

照明機器を専門に扱うプロ。照明の当て方によって映像の印象は大きく変わるので、撮影の重要なポジションを占める。

編集技師

映画の撮影は、「カット」と呼ばれる場面ごとに進められる。たくさんのカットを不自然なくつなぎ合わせ、映画として見られるようにするのが編集技師の仕事だ。

美術スタッフ

映画に登場する道具をつくる職業。セット、衣装、小物など、プロダクションごとに得意とする分野が細かく分かれている点が特徴だ。

CGデザイナー

CG(コンピュータグラフィックス)のみでつくられた映画があるように、今やCGは映画に欠かせない技術。専門学校のほか、工学系・芸術系の大学でも技術を学べる。

ここで紹介したどの職業も、専門学校で学んでから就職するのがスタンダード。使える機材や実習の頻度に注目して、実践的な学習ができそうか考えながら学校を選ぶといいだろう。

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