奨学金制度の基礎知識 高3のうちに申し込む期限があるものも!

大学に入学すると、授業料、交通費、場合によっては住居費など、何かとお金がかかるもの。こうしたお金の心配を解消するために検討したいのが「奨学金制度」だ。高3のうちに申し込める奨学金制度もあるので、早めにチェックしておこう!
奨学金制度の種類をチェック!
奨学金は国や地方自治体、民間の育英団体が実施しているもののほか、大学が独自に設けている制度や、新聞社による新聞奨学生制度など、種類はさまざまだ。
受給区分は大きく分けて、返還義務のない「給付型」と、卒業後に返還義務のある「貸与型」の2つ。それぞれの奨学金によって受給条件は異なっており、地方自治体の奨学金の場合は、その自治体の住民でなければならなかったり、新聞社の奨学金であれば、新聞配達の業務が必須となっていたりする。給付型奨学金は募集人員が少ない、学業成績による条件が厳しいこともあるので、受給金額と条件を見比べながら、自分に適したものを探そう。
主な奨学金制度
日本学生支援機構(JASSO)の奨学金制度
最もポピュラーな国の奨学金制度で、貸与型と給付型がある。
●貸与奨学金
利息のつかない「第一種奨学金」と、利息のつく「第二種奨学金」(在学中は無利子)があり、どちらも卒業後に返還の必要がある。奨学金制度のなかで最も利用者数が多く、2023年度の利用者数は約111万人。そのうち約46.2万人が「第一種奨学金」、約64.4万人が「第二種奨学金」を利用している。申し込みにはどちらも学力・家計基準があり、第一種の方が厳しい条件となっている。
●給付奨学金
経済的理由で大学や専門学校への進学をあきらめないようにと設けられた、返還不要の奨学金制度。世帯収入などの条件を満たし、学業成績やレポート・面談で“学ぶ意欲”が認められれば、申請できる。
また給付奨学金対象者は、進学先の授業料や入学金も減免される「授業料等減免制度」もあるので、あわせてチェックしよう。2024年度から私立理工農系の学部に通う中間所得層など対象が広がり、さらに2025年度からは、子どもが多い世帯は所得額に関係なく減免の対象に。たとえば私立大に通うことになったキミに、ほかに扶養されている兄弟が在学中に2人以上いる場合、入学金26万円と授業料70万円×4年間の総額306万円が支援される。条件についてしっかり確認しておこう。
大学独自の奨学金制度
入学試験や在学中の成績が優秀な学生に、授業料の一部、あるいは全額を免除(給付)する制度が代表的。入学後に家計が急変したり、地震など自然災害で被災したりして、学費の支払いが困難になった場合に利用できる奨学金などもある。また最近は、高校在学中に申請できる予約型奨学金も増えているので、早めに志望校の奨学金制度をチェックしておこう。
地方自治体の奨学金制度
一般的な受給資格条件は、本人または保護者がその自治体の住民であること。貸与型の場合が多く、ほかの奨学金と併用できない場合もある。
各種団体・そのほかの奨学金制度
「あしなが育英会」などの各種団体の奨学金制度や、新聞配達員として働きながら奨学金を受け取る新聞奨学生制度などがある。
申し込む前に資金計画をシミュレーションしよう
奨学金を利用する際に大切なのは資金計画だ。保護者とも相談しながら、どれくらい奨学金が必要になるのかを見積もってみよう。
日本学生支援機構の奨学金を検討する場合、貸与型(第一種、第二種)・給付型といろいろなタイプがあるが、申し込みには学力や家計基準がある。ほかにも国公私立の区分や通学形態(自宅/自宅外)などにより、借りたりもらえたりする金額は異なるので、一度日本学生支援機構ホームページにある「進学資金シミュレーター」で調べてみるといいだろう。
また貸与奨学金は、卒業後に始まる返還についても考えておかなくてはならない。貸与総額はいくらになるのか、どれくらいの期間をかけて返還することになるのか、同じく「奨学金貸与・返還シミュレーション」を使って、申し込む前によく考えておこう。
日本学生支援機構の奨学金貸与月額
種類 | 区分・通学方法 | 貸与月額 | |
---|---|---|---|
第一種奨学金(無利子) | 国公立大 | 自宅 | 45,000円 |
30,000円 | |||
20,000円 | |||
自宅外 | 51,000円 | ||
40,000円 | |||
30,000円 | |||
20,000円 | |||
私立大 | 自宅 | 54,000円 | |
40,000円 | |||
30,000円 | |||
20,000円 | |||
自宅外 | 64,000円 | ||
50,000円 | |||
40,000円 | |||
30,000円 | |||
20,000円 | |||
第二種奨学金(有利子) | 国公立・私立大共通 | 20,000円~120,000円(10,000円単位) |
※2025年4月現在
※第一種奨学金については、奨学金申込時の家計支持者の収入が一定額以上の場合、各区分の最高月額は利用できません。
※給付奨学金とあわせて第一種奨学金を利用する場合は、第一種奨学金の貸与月額が調整されます。
予約採用は申し込み期間に注意
日本学生支援機構に奨学金を申し込む方法は2つある。高3のうちに通っている高校を通じて申し込む「予約採用」と、進学後に大学を通じて申し込む「在学採用」だ。予約採用は入学後早い時期から奨学金を受けられることが特徴で、進学先が決まっていなくても申し込める。興味がある人は、日本学生支援機構のホームページで詳細を確認しよう。
「予約採用」で奨学金を申し込もうと考えている人は、申し込みの時期に注意。進学する前年の春に募集があり、申込期限は学校で定められている。早めに学校の先生に相談しておこう。