奨学金を返さなくていいってホント⁉ 広がる給付型奨学金

今や大学生の約半数が利用していると言われる奨学金。借りると卒業後の返済が大変…というイメージもあるが、最近は返済不要の奨学金も増えているのを知っているかな?お金のことで進学を迷っているなら、「返さなくていい」奨学金についてもチェックしてほしい。

給付型奨学金って?何が違うの?

奨学金には、貸与型と給付型の2種類がある。貸与型は「借りる」奨学金で、卒業したら毎月返済しなければならない。一方、給付型は「もらえる」奨学金なので、返済する必要はない。奨学金というと貸与型が多いが、最近は「経済的理由で進学をあきらめさせてはならない」という国の方針もあって、給付型が拡充されてきているのだ。

奨学金がもらえると、在学中の学費や生活費の負担が減るので、学業に専念しやすくなる。さらに、給付型なら返済の心配がないので、卒業後の生活設計やキャリアプランが立てやすくなるのもメリットだろう。

拡充される国の給付型奨学金

2020年からスタートした「高等教育の修学支援新制度」は、「給付型奨学金」と「授業料などの免除・減額」をセットで行う国の支援。以来、日本学生支援機構(JASSO)が運営する国の給付型奨学金を受給できる対象者は広がっている。さらに2024年度からは、扶養する子どもが3人以上の多子世帯等を対象に、家計基準が緩和された。

給付型奨学金は、家計や学力(成績や学修意欲)が基準を満たしていればだれでも受けられる。自分が対象になるかどうかは、JASSOのWEBサイトにシミュレーターもあるので確認してみよう。

学力基準

評定平均値(5段階評価)で3.5以上。該当しない場合は、レポートか面談によって学修意欲や進学目的が認められること。

家計基準

住民税非課税世帯とそれに準ずる世帯。めやすとして、4人世帯の場合なら世帯収入約380万円以下。多子世帯(扶養する子が3人以上の世帯)等の場合は、約600万円以下。

給付額

世帯収入や国公私立の区分、通学形態などで変わる。例えば、住民税非課税世帯の給付上限月額は、国公立で自宅29,200円(自宅外66,700円)、私立で自宅38,300円(自宅外75,800円)。

授業料等減免制度

給付型奨学金の受給者は、授業料と入学金の減額や免除も一緒に受けることができる。世帯収入等により異なるが、入学金は約26~28万円を上限に、年間の授業料は国立大で約54万円、私立大で約70万円を上限に、いずれも国が支援してくれる制度だ。2024年度から私立理工農系に通う中間所得層なども対象に加わった。さらに2025年度からは、扶養されている子どもが3人以上の多子世帯は、所得額にかかわらず全額が支援されるように。給付型奨学金とセットで、人によっては年間最大約160万円の「返さなくていい」支援が受けられるので、こちらも忘れずに申請しよう。

※私立大に自宅以外から通う場合、給付型奨学金約91万円と授業料減免約70万円を合わせた年間の最大支援額

志望校の給付型奨学金は早めに調べておこう

大学・短大・専門学校がそれぞれ独自に設けている奨学金もあり、特に私立大では、多様な奨学金や授業料の減免制度を用意しているようだ。返済不要の給付型であることが多く、申し込み資格は家計や学力、入試の結果、居住地など、学校によりさまざま。

また、大学独自の奨学金のなかには「入学前予約型」というものもある。これは大学入学前に奨学金の採用が決まるので、安心して受験に臨めるのがメリットだ。出願前(高3の2学期頃)に申し込み、通れば採用候補者になる。その後、選抜試験で合格したら奨学金も受給できるので、入学手続時にかかる多額のお金の心配をしなくてすむ。申し込み期間を逃さないように、気になる大学の奨学金制度は早めに確認しておこう。

予約型奨学金の例(2025年3月現在)

近畿大「世耕弘一奨学金」
入学後の経済支援を目的とする、入学前予約採用型給付奨学金制度。申し込みには家計や学力(医学部以外は評定平均値3.8以上)の基準がある。年額30万円を支給。

明治学院大「白金の丘奨学金」
首都圏以外の受験生が対象。自宅を離れても勉強を続けられるように設けられた入学前予約型給付奨学金(授業料・施設費と相殺による減免)で、年額40万円を支給。

民間団体や自治体の奨学金もチェック!

企業や財団、NPOなど民間団体が提供する「返さなくていい」奨学金もたくさんある。申し込み資格は各団体で異なり、例えば、社会的な課題解決に取り組む学生や、特定の学部生をサポートするものなどさまざま。なかには所得制限のない奨学金もあるぞ。

また、地方自治体も積極的に奨学金制度を拡充する動きがある。自治体の場合、本人や保護者が居住していることや、家計・学力基準のあることが多い。貸与型の奨学金が多いが、なかにはUターンして地元で就業すると返還が免除されるものや、その自治体で看護師や保育士など特定の職種として働けば返さなくてもいいものなど、実質的には給付型に近いものもある。

「返さなくていい」給付型奨学金は魅力的だが、在学中の成績や学修態度が定期的にチェックされるので、欠席が多いと支援を打ち切られることも。まじめに勉強を続けたいけど、お金が心配…という人は、進学をあきらめないで、いろいろな道を模索してみよう!

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