うつのみや

宇都宮大学

国立大学 栃木県

宇都宮大学/私のイチオシ

微生物が私たちの生活に深く関わっていることを科学的に解き明かす

顔写真
工学部 基盤工学科 奈須野恵理先生

※掲載内容は取材時のものです

コレ知ってる?

身近な発酵食品であるヨーグルトや納豆は、目に見えない微生物の“チームプレー”で作られています。私の専門の微生物生態学では、微生物が環境中で何を食べ、どんな物質を作り、周囲とどう関わりながら増えるかを調べます。おもしろいのは、微生物が特定の化学物質をシグナル分子として互いにやり取りし、仲間や敵の数をモニタリングしていることです。シグナル分子の濃度が一定以上になると「仲間が十分増えた」と判断し、色素や毒素、水回りのぬるぬる(バイオフィルム)などを一斉に作り始めます。このしくみはクオラムセンシングと呼ばれ、発酵だけでなく免疫力が低下したときに起こる日和見(ひよりみ)感染症とも関係します。まるで部活の掛け声で動きがそろうように、微生物も“合図”で集団行動しているのです。

この学問のココがおもしろい!

微生物が起こした変化を観察し次の実験条件を考える

微生物生態学の魅力は、目には見えない微生物が地球規模の物質循環を担い、私たちの健康や食、医療にも深く関わっていることを科学的に解き明かせる点です。発酵食品の主役は細菌や酵母ですが、微生物の世界はそれだけではありません。細菌ともカビ・酵母とも異なる「古細菌」もいて、温泉や深海のような極限環境だけでなく、私たちヒトや動物の腸内にも存在します。腸内の古細菌は、他の微生物が分解した食物の残り(二酸化炭素や水素など)を利用してメタンを作り、腸内環境に影響を与えている可能性が指摘されています。
さらに、“合図”で集団行動が切り替わるクオラムセンシングは、細菌同士に限らず古細菌や植物、動物、カビなどとの間でも交わされる“生物の垣根を超えた会話”だとわかってきました。私は古細菌特有のシグナル分子を解析し、細菌と古細菌がどんな“会話”をしているのか、細菌由来のシグナル分子でメタン生成古細菌が「仲間が増えた」と誤認してメタン生成を開始するのかを解明しようとしています。微生物の社会性を化学で読み解くところが、この研究の醍醐味です。

キャンパスのお気に入りスポット

満開の桜が彩るキャンパス。地域の方々もお花見に

教科書や問題集と向き合う勉強は、正直、楽しくないかもしれません。でも「探究」は、疑問や知りたい気持ちを出発点に、自分で調べ、考え、手と足を動かして確かめる作業です。疑問→行動→発見→考察(新たな疑問)を繰り返すことで「研究」につながります。工学部が学ぶ陽東キャンパスはどんな所で、どんな先生がいて何を学べるのか。気になった人は、オープンキャンパスだけでなく工学部独自のイベントにも参加して、自分の見つけた「おもしろい」を勉強の原動力にしてください。

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