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高2・高3秋から大学へ飛び入学「めざそう科学者への道」
本学では、物理学、化学、生物学、工学、情報・データサイエンス、植物生命科学、人間科学の分野で科学者・研究者をめざしている高校2年生および高校3年生(秋入学)を対象に、飛び級による大学入学制度を設けています。入学後は「先進科学プログラム」という、飛び入学生のために設置されたカリキュラムに基づいて勉強し、さらにクラスによっては早期卒業して大学院進学することも可能です。
詳しくは、千葉大学先進科学センターのホームページ https://www.cfs.chiba-u.ac.jp や紹介動画をご覧ください。
飛び入学「先進科学プログラム」とは?
先進科学プログラムは、世界に貢献する独創的な研究を担うことができ、広い視野と柔軟な思考力を備えた個性的な人材を育成するための制度です。高校2年生修了で春入学、または高校3年生の9月に秋入学が可能です。少人数制を取り入れた大学教育が受けられます。
飛び入学のメリット
飛び入学プログラムには、
「専門的な勉強をすぐに始めることができる」
「早く博士号をとって研究の世界に飛び込み、若い力で活躍できる」
「少人数教育を通じて教科書だけでは学べない実力を培える」
「研究者に必須の英語コミュニケーション能力を、充実したカリキュラムで高められる」
「入学料免除、海外研修の経費など経済的サポートが受けられる」など、将来研究者をめざす皆さんにとってさまざまなメリットがあります。なお、高校を卒業せずに大学に入学しますが、所定の単位を取得すると申請して高校卒業の認定を受けることができます。
高校2年から大学へ!先進科学プログラム(飛び入学)説明会の詳細はこちら
説明会・相談会 | 入試 | 国立大学法人 千葉大学 先進科学センター
国立大学法人 千葉大学 先進科学センターの公式サイト
25年の実績:活躍する卒業生
1998(平成10)年から始まった先進科学プログラムからは2023年3月までに84名が卒業し、多くの学生が社会に出て活躍しています。研究分野では、大学教員(筑波大1名、インディアナ大1名、京大1名、名大1名、清華大〈中国〉1名)、公的研究機関研究員(2名)、民間研究機関研究員(4名)が最先端の研究分野で活躍しています(2023年5月26日現在)。また、多様な民間企業(43名)や官公庁等(7名)に就職したり、ベンチャービジネスを起業するなど、さまざまな職種で活躍しています。さらに、卒業生の中には、マサチューセッツ工科大学(MIT)、ラトガース大学、ハワイ大学など海外の大学院に進学したり、海外の会社に就職するなど、グローバルに活躍する者も多くいます。
先進科学プログラムの手厚い教育環境
皆さんが将来研究者として活躍できるように、先進科学プログラムではさまざまな教育プログラムを準備しています。
●少人数制セミナー (先進科学セミナー)
通常の学科の講義とは別に、本プログラム在籍者だけの少人数によるセミナー形式の授業を1年次から行います。教員と直接向き合い、各自の学力に合わせて学べるほか、研究者をめざすうえで重要なものの考え方などを学びます。
●先進オムニバスセミナー
最先端の研究分野で活躍する学内外の研究者を招いて、幅広い分野からユニークなテーマを選んで講義。研究スタイルや研究への思い、若者へのメッセージなども聞ける貴重な機会です。
●無償海外研修
カナダの大学で約1か月間の海外研修を実施。授業や外国人学生との寮生活やホームステイを通して、国際人として必要な英語力を身に付けます(旅費、受講料、寮費免除)。3・4年次には研究目的の短期留学制度もあり、旅費・滞在費などのサポートがあります。
●入学料の免除
先進科学プログラムの入学者は、入学料が全額免除されます。またプログラム独自の奨学金制度がある他、授業料については、選考の上、全額ないし半額が免除される制度があります。
5つの入試方式で受験できます
先進科学プログラムには以下のような独自の入試方式があり、それぞれの入試の特徴を生かした選抜をしています。詳しくはweb(https://www.cfs.chiba-u.ac.jp)をご覧ください。
【春飛び入学】
・方式I:「考える力」を問う計5時間に及ぶ課題論述および提出書類+数学+二次面接(理学部物理学科、工学部総合工学科〈物質科学コース〉)、「数理情報学の力」を問う3時間の課題論述、数学および提出書類+二次面接(情報・データサイエンス学部)(12月下旬実施)
・方式II:千葉大学「個別学力検査(前期日程)」(2月下旬実施)と提出書類+二次面接(3月中旬実施)
(理学部物理学科、理学部化学科、理学部生物学科、工学部総合工学科〈建築学コース、都市工学コース、機械工学コース、医工学コース、電気電子工学コース、物質科学コース、共生応用化学コース〉、情報・データサイエンス学部、文学部人文学科行動科学コース、園芸学部応用生命化学科)
・総合型選抜方式:提出書類+専門適性検査(総合型選抜、10月)+面接(10月)+個別学力検査(前期日程)
(工学部総合工学科〈デザインコース〉)
・研究活動発表型選抜:提出書類+課題論述(数学)+研究発表+面接(12月下旬)
【秋飛び入学】
・方式III:自己推薦書等の提出書類並びに面接(3月中旬実施、国際物理オリンピック・化学オリンピックの日本代表候補に選抜された人を対象)
(理学部物理学科、工学部総合工学科〈物質科学コース〉)
研究活動発表型選抜
2025(令和7)年度入学者選抜から工学関連分野[工学部 総合工学科 物質科学コース]において、従前の選抜に加えて、新たに「研究活動発表型選抜」を実施します。選抜方法は次のとおりです。
・提出された書類および課題論述(数学)ならびに研究活動発表により、 第1次判定合格者を決定します。
・さらに、第 1次判定合格者に対して面接を行い、総合判定のうえ最終合格者を決定します。
・課題論述(数学)では、数学の基礎力を問います。
・研究活動発表では、これまでに行った研究活動の発表(発表時間15分、質疑応答15分程度)を行います(発表形式は、プロジェクタを使った口頭発表またはポスター発表とします)。また、出願書類として提出する研究活動に関する論文・レポートも評価します。
・面接では、課題論述、研究活動発表、自己推薦書及び物理学、化学、数学に関して口頭試問を行います。また、志望する分野に関しても試問します。
※詳細は、2024(令和6)年7月下旬に発表予定の先進科学プログラム(飛び入学)学生募集要項(方式 I、方式 II、方式 III)でご確認ください
1年生から研究に取り組むコースもあります
大学では多くの場合4年生から研究室に所属して研究活動を始めますが、先進科学プログラムではいくつかのコース(化学先進クラス、生物学先進クラス、物質科学先進クラス、植物生命科学先進クラスなど)で、低学年のうちから研究室に出入りしたり、実際に研究活動に携わることができます。これまでに、3年生までに学会発表、論文発表を行うなど、研究活動で活躍するケースもあります。
「先進科学プログラム」で学ぶ7つの分野
物理学関連分野[理学部物理学科]http://physics.s.chiba-u.ac.jp/phys.html
自然現象の奥にある普遍的法則を探る学問である物理学をより深く学び、物理学関連分野の研究者をめざします。理学部に所属し、物理や数学は物理学科の学生と同じクラスで受講します。
※「物理学コース」の入学者選抜方法(方式I)において、「国際物理オリンピック」の国内第1次予選通過者(=「全国物理コンテスト物理チャレンジ」の第1チャレンジ合格者)は課題論述が免除となっています。また、物理学コースの秋入学(方式III)は、第2チャレンジに出場し、国際物理オリンピックの日本代表選手候補者に選抜されたことのある者のみ出願できます。
●学べることは?
まず、物理学の基本である力学、電磁気学、量子力学、熱・統計力学、および自然を理解するための言葉である数学を修得します。2・3年次には専門的な講義や実験が始まり、卒業する年には研究室に所属し、卒業研究の指導を受けます。理論計算による自然現象の理解と探究、新しい原理に基づく実験装置の開発やそれを用いた最先端の実験など、学んだことを生かして自然現象を探求します。特に1〜3年生の3年間続く少人数の先進科学セミナーでは、普段の講義では触れられない物理の深いところを学び、研究者になるための能力を高めます。
化学関連分野[理学部化学科]http://www.chem.s.chiba-u.ac.jp/
化学は、日常生活で目にする物質から自然の中の生命体に至るまで、物質や生命の成り立ちや働きを理解する学問です。化学科を構成する「物理化学」、「無機・分析・環境化学」「有機化学」「生命化学」の全ての分野において飛び入学を受け入れています。
●学べることは?
1年次から3年次の間に、化学科の講義、演習、実験を通して化学の基礎を学ぶとともに、複数の研究室に所属します。研究室のゼミに参加し、研究の「現場」を体験することによって、早期に高度な学術の基礎を深く学び、化学の研究法や考え方を修得することができます。通常は4年次から卒業研究を行いますが、本コースでは学習の状況により、3年次から卒業研究を始める場合もあります。
生物学関連分野[理学部生物学科]http://www.bio.s.chiba-u.ac.jp/
生物学は生物および生命現象を研究する学問で、その研究対象は分子から生物集団までと様々な階層があります。千葉大学理学部生物学科は、生物学の多様な階層をカバーする以下の6つの分野から構成されています。遺伝子レベルを通して多様な生命現象を研究する分子生物学、タンパク質の構造と機能を研究する生理化学、細胞の構造と機能を研究する細胞生物学、動物の発生と形態形成を研究する発生生物学、生物の個体や集団から構成される生態系を研究する生態学、多様な生物の系統と種の分化、進化を研究する進化系統学。千葉大学理学部 生物学科では6つの研究分野を通して、分子から生物集団までの生物学の様々な階層を学び、生命の不思議を研究することができます。
●学べることは?
生物学先進クラスにおいては “生物学が好き! という才能” を重視しています。一般入試で入学した生物学科学生のカリキュラムでは,研究室へ配属され,最新研究をおこなうのは4年次(21歳以上)からになりますが、生物学先進クラスでは関連分野の研究者を目指せるように1年次(17歳)から最新の研究に触れるプログラムを組んでいます。まず、1年次と2年次に6~8つの研究室を順番にまわり教員の指導のもと幅広い分野の研究の最前線を経験します。そして,3年次と4年次には1, 2年次にまわった中から研究室を1つ選び,担当教員や大学院生の指導を仰ぎ,議論しながら最新の研究をおこないます。
工学関連分野[工学部総合工学科(全コース)]https://www.f-eng.chiba-u.jp/
工学部総合工学科の8つのコース(建築学、都市工学、デザイン、機械工学、医工学、電気電子工学、物質科学、共生応用化学)のいずれかで学ぶことができます。希望するコースに応じて5つの入試方式(方式I、方式II、方式III、総合型選抜方式、研究活動発表型選抜)が用意されています。
●学べることは?
ナノテクノロジー、ロボット、建築・都市計画、デザイン、医療機器・診断技術、コンピュータ・人工知能、新奇材料、情報通信など、広範な分野の先端工学を学ぶことができます。物理や化学などのサイエンスと各コースの最先端テクノロジーを両輪としたものづくりを追求し、基礎から応用まで俯瞰できる科学者や技術者を育てます。
情報・データサイエンス関連分野[情報・データサイエンス学部情報・データサイエンス学科]https://informatics.chiba-u.jp/
データサイエンスを中心に、人工知能やIoT(Internet of Things)などのデジタル技術といったデータサイエンスの応用・展開力から実現技術までを幅広く学び、データサイエンスによる社会的問題の解決を幅広く担えるデータサイエンス技術者としての資質を身につけることができます。
●学べることは?
情報・データサイエンス分野に入学した学生は、情報・データサイエンス学部に所属し、情報・データサイエンス学部の学生と一緒に授業を受けます。専門科目としては、1・2年生では数学、物理学及び基礎的なプログラミングを中心に学び、3年生からデータサイエンスコースと情報工学コースのどちらかを選択し、「医療・看護」、「環境・園芸」及び「人間・感性」に対応する「データサイエンス系専門科目群」とデータサイエンスの基幹的技術に対応する「情報工学系専門科目群」等から構成される実践的カリキュラムを横断的に学びます。
植物生命科学関連分野[園芸学部応用生命化学科]https://www.h.chiba-u.jp/academics/faculty/department/life_chemistry.html
植物生命科学は、植物やそれを取り巻く多様な生物における生命現象のメカニズム、生体を構成する分子の機能を化学的・生物学的手法を用いて探求する学問です。その研究対象は、遺伝子やタンパク質、糖質などの分子や、植物や微生物、動物などの生物資源など多岐にわたり、生物および化学を深く学びながら植物生命科学分野の研究者としての資質を身につけることができます。
●学べることは?
植物生命科学分野に入学した学生は、園芸学部応用生命化学科に所属し、応用生命化学科の学生と一緒に専門分野の授業を受けます。先進科学プログラム独自の科目として、少人数で専門分野をさらに深く学ぶ先進科学セミナーが開講されます。また、研究室に所属しながら先進研究の基礎を学ぶことで、応用生命化学科の学生に先駆けて植物生命科学の方法論や考え方を修得、研究に対する興味や関心を高めることができます。
人間科学関連分野[文学部人文学科行動科学コース]https://www.l.chiba-u.jp/applicants/course/behavioral/index.html
21世紀の中心的課題である、人間の心や社会・文化に関する科学を、従来の文系・理系の枠にとらわれずに多角的に研究します。文学部人文学科(行動科学コース)に所属し、文学部の学生として卒業します。
●学べることは?
例えば「自分はなぜ自分なのかという哲学的な問題を、脳の情報処理という観点から理解する」といった課題を考えるのは、従来の文系・理系の枠に分類できない新しい科学の役割です。本分野の母体である行動科学コースには、哲学、認知情報科学、心理学、社会学、文化人類学の5専修があり、科学における永遠のテーマである「人間」について、さまざまな視点から学ぶことができます。
自由に学べる環境で、先進科学にいち早くアプローチ!
ベンチャーを起業して世界に対抗できる高性能な手術支援ロボットを開発中
安藤岳洋さん/2003年、千葉大学 工学部 電子機械工学科 FTコース入学。2007年、千葉大卒業後、東京大学大学院 工学系研究科に入学し、博士号を取得。医学系研究科を経て、工学系研究科で助教を務める。2015年、(株)A-Traction(現:朝日サージカルロボティクス(株))を立ち上げ、新しい医療機器の開発に取り組んでいる。
博士号を取得後、東京大学の工学系研究室で助教を務めながら、医療ロボットの開発に取り組んでいました。大腸の専門医と共同開発していた腹腔鏡手術の支援ロボットの研究が出資会社に認められて、2015年に起業。世界に対抗できる高品質な手術支援ロボットの開発に専念しています。
小さいころからモノつくりが大好きだったのですが、高校2年のときに物理の先生から“飛び入学”のことを聞き、「少しでも早く専門研究に入りたい」と入学を決めました。印象的だったのは、大学1年次の「先進科学セミナー」。担当教授から「物理や工学の分野で活躍したいなら、このくらいの問題は解けなきゃダメだぞ!」とお尻を叩かれながら、厳しく高等数学を教えていただきました。その時は、「先生についていくのがやっと」でしたが、今思うと、あのセミナーが医療機器の開発面でも、自分の精神的な面でも、基礎になっているような気がします。
「飛び入学」に興味のある高校生には、「とにかく受験してみたら?」と伝えたいです。なぜなら、「より難関の大学に入学する」ことより「その後、どの研究室に進むか」が重要だから。将来の目標が明確なら、一足早く専門研究を楽しむことをお勧めします。
自主的に勉強する人にとって、先進は最適な環境
上野康平さん/2006年春、理学部 物理学コース入学。2年次、『天才プログラマー/スーパークリエータ』に最年少(当時)認定される。修了後、東京大学大学院情報理工学系研究科 創造情報学専攻に進む。修士課程を修了後、(株)ドワンゴを経て、現在はGoogle(株)で活躍中。
情報科学の世界が好きで、高校時代は関連する論文などを読み、自分でプログラムを書いていました。最先端のことを学ぶために、受験勉強に時間を費やすことを選択せず、飛び入学を利用しました。特に、研究者から直接話が聞ける“オムニバスセミナー”は、将来の自分がイメージできる授業だったので印象に残っています。
現在、ソフトウェアエンジニアとして、ウェブブラウザ「Chrome」などの開発に携わっています。特に、プログラムの高速化を主な仕事にしています。自分で思いついた高速化手法の有効性を説得するには、数学的な裏付けを取ったり、実験で定量的なデータを示していく必要があります。仕事は世界中のエンジニアとチームを組んで行うので、共通言語としての数学・物理の知識は大変重要です。こういう場面に対応できる基礎力が、“先進”で養われたと感じています。ここは、研究者になるための修業の場として最適だと思いますよ。