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北海学園大学

私立大学 北海道

北海学園大学/私のイチオシ

「ランダムレーザー」の実用化をめざした研究

顔写真
工学部 電子情報工学科 藤原 英樹先生

※掲載内容は取材時のものです

コレ知ってる?

何気なくみている青空や夕焼けは大気中の埃や水滴などの微粒子による光散乱によって説明されます。光散乱は散乱体である微粒子のサイズや屈折率によって強く散乱する色(波長)が変化し、小さい微粒子ほど波長の短い青色の光を散乱します。このため、上空を見ると太陽の光(白色)が大気中の微粒子により散乱され、目に青色の光が入ってきます。一方、夕焼けは、地平線間際にある太陽を見るため、太陽から目までの間の微粒子により青色の光が散乱されて散るため、目には赤色の光が入ってくることになります。
現代社会では、このような光の特徴を活用した技術がさまざまな分野で応用が行われています。例えば、界面で100%の反射を起こす現象(全反射)を利用することにより、光をファイバー内に閉じ込め、膨大なデータの高速かつ長距離の伝送を可能としています。また、ウイルス検査キットでは、金ナノ粒子を結合した標識抗体が抗原と結合・凝集することで、光と金属の相互作用(プラズモン共鳴)が増大し、光の散乱が強くなることで発色します(検査キットのテストラインが赤く見える)。このようなさまざまな光技術は、上記の例だけでなく、光通信、ディスプレイ、光診断・光殺菌、レーザー加工などの今日の社会を支えるさまざまな分野で利用されています。

この学問のココが面白い!

レーザーは、光を閉じ込めるための共振器と呼ばれる構造内に、光を増幅する利得媒質を配置することで、純粋な光を発生させます。この装置により、直進する(指向性)、色純度が高い(単色性)、干渉を起こす(可干渉性)など、レーザーは通常の光とは異なるユニークな特性を持ちます。この特性は、研究の分野だけでなく、光通信・計測や加工・溶接、イメージング・センサー、医療など、さまざまな場所で利用されています。
私の研究では、このレーザーと蛍光灯の両方の特性を持つユニークなレーザーである「ランダムレーザー」の実用化をめざした研究を行っています。一般的なレーザーでは、2枚のミラーを精密に配置することで光を閉じ込めるため、乱雑さはレーザー発振を妨げる要因となりますが、このランダムレーザーでは粒子の凝集体などの乱雑で汚い構造で簡単に作製できるだけでなく、乱雑さにより光が何度も散乱される間に増幅され、レーザー発振が誘起されます。このため、たくさんの光の通り道を必然的に含むため、ほぼ単色のレーザー光が蛍光灯のようにさまざまな方向に満遍なく放射されます。
このことによりランダムレーザーは、センサーやイメージング用の照明光やウイルスなどの光殺菌用の光源としての利用が期待されています。しかし、産業応用に向けては未だ克服すべき課題が数多く存在し、この解決に向けた新しいタイプのランダムレーザーや作製方法の提案を行っています。

キャンパスのお気に入りスポット

光学実験室内には、作製した試料の光学的な特性を調べるために、2台のレーザー励起の顕微分光装置があります。研究に使用する顕微鏡は、中学校や高校の理科の授業で使用するものとはまったく異なり、レーザーを導入するために高い透過率を持つ大型の研究用の生物顕微鏡を使用します。
また、微弱な発光をも測定するため、実験室全体が暗室となっており、高感度な検出装置との組み合わせにより、分子1つからの発光も確認できるだけでなく、さまざまな材料や微細構造からの発光を測定するため、紫外から近赤外までの色とりどりのレーザーを励起光源として用いることにより、より効率よくレーザー発振を起こすための構造の設計・作製・計測を行っています。
現在は、ランダムレーザーの実用化に向けた第一歩として、電気で光る素子の試作も行い、その特性評価にも顕微分光装置を使用しています。

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