自分の天職を探してみよう 業界&職業研究<冠婚葬祭業界>

今回は「冠婚葬祭」を支えるブライダル業界と葬祭(葬儀)業界を紹介する。どちらも人生の節目にかかわるだけあって、少子化や高齢化という社会の変化に影響されやすい。どんな変化があって、どんな職業があるのか、一緒に見ていこう。
サービスの多様化が進むブライダル業界
婚姻件数は年々減り続けており、特に2020年以降は激減、年間50万組を切っている。コロナ禍で結婚の先延ばしや出会いの機会が減ったことなどが影響したようだが、最近、ようやく下げ止まりを見せ始めた。
ブライダル業界にとっても影響は大きい。以前は、ホテルや結婚式場で大勢の人を招待し、盛大に行われる結婚式が多かったが、最近は縮小する傾向も見られる。経済的に余裕のない若者を中心に結婚式や披露宴をしない「ナシ婚」や、写真撮影のみで済ます「フォトウェディング」、家族や親しい友人など少人数で開く結婚式といったスタイルも珍しくない。価値観が多様化している現代、ブライダル業界も多様なニーズにこたえ、さまざまな結婚式を企画・提案していく努力が必要だろう。
時代の変化に応じた葬儀を展開する葬祭業界
2023年9月時点で、日本の人口に占める65歳以上の高齢者の割合は約29%。年々増加していて、2040年には35%台に近づく見通しだ。高齢者の増加に伴い右肩あがりの成長が見込まれていた葬祭業界だが、感染症流行をきっかけに人々の葬儀に対する考え方が変化し、成長のペースはゆるやかになっている。
葬儀の形が多様化していることにも注目したい。手間もお金もかかる葬儀の負担を減らすために、通夜や告別式を省いて火葬だけを行う「直葬」や親族だけが参列する「家族葬」など、小規模な葬儀を選ぶ人が増えている。また、存命中に葬儀を済ませる「生前葬」や故人の好きな音楽をかけながら式を進める「音楽葬」など、ライフスタイルの変化に合わせてさまざまな葬儀が行われるようになった。「オンライン葬儀」なども出てきているように、葬祭業界も今後、時代の変化にあわせて多様なサービスが求められるだろう。
ブライダル業界・葬祭業界の職業を紹介!
ブライダルコーディネーター(ウェディングプランナー)
結婚式から披露宴にいたるまで、式全体の演出を決める職業。カップルやその家族と事前に何度も打ち合わせを重ね、相手の要望にこたえられるよう配慮しながら、細かな内容を決めていく。
ドレスコーディネーター
ウェディングドレスをはじめとした、新郎・新婦の衣装のコーディネートを担当する。式場の雰囲気や装飾、ヘアメイクとのバランスを総合的に考えられるセンスが求められる。
フラワーコーディネーター
花の専門家として、演出に合った品種を選んだり、アレンジメントをしたりする。よく新婦が投げている「ブーケ」をつくるのも、仕事の1つだ。
葬祭ディレクター
葬儀には、祭壇・仕出しの準備、火葬場の手配など、たくさんの手続きが欠かせない。遺族に代わってこうした手続きを代行し、式全体を滞りなく進行させるのが葬祭ディレクターの仕事だ。
納棺師
遺体に着付けをしたり、顔に化粧を施したり、亡くなった人を棺(ひつぎ)に入れる儀式を行う人。故人や親族への気配りはもちろん、重い遺体を扱う体力も求められる。
どの職業も、資格や学歴を求められることはあまりないが、式のマナーをはじめ、それぞれ専門的な知識が必要だ。興味があれば、ホテル・ブライダル系の専門学校に進んで、学んでおくと就職しやすいだろう。