似て非なる学問紹介 歴史学VS考古学・文化財学

今回は、歴史学考古学・文化財学の違いについて紹介しよう。どちらも歴史を探究する学問であり、考古学は歴史学の一部とされることもある。ただ、学ぶ時代や研究方法など、学問としての特徴は別物。「歴史が好きだから」となんとなく決めずに、どんな違いがあるのか理解したうえで、より学びたい学問を選ぼう。

文献に基づく研究か、遺跡や遺物に基づく研究か

歴史学は、いつ・どこで・何が起きたのか、主に「文献」から考察する学問。過去に書かれた本、公文書、手紙、日記などから、歴史的な出来事の実態を解明したり、ある時代の出来事同士をつなぎ合わせたりして「歴史」を形づくる。歴史学における歴史は不変ではなく、研究者の解釈によって変わるもの。新たな文献が発見され、学会での議論が深まった結果、定説が覆されることもある。実は、キミが使っている教科書の用語や年号も、学ぶ世代によって異なっている場合もあるのだ。

一方、考古学・文化財学は、「遺跡」や「遺物」から歴史を研究する学問だ。発掘した建物や土器がいつの時代の、どのような物なのかを特定し、その時代の生活や文化を解き明かす。また、遺跡や遺物の修復法、長期間にわたって保存する方法など、調査や保全の技術についても学ぶ。文字が発明されていない、古代や、先史時代の研究に強みを持つ点が特徴だ。

学びたい国や時代から進路を絞り込むのが◯

「歴史学部」のような名前を冠する学部はほとんどなく、歴史学も考古学・文化財学も、文学部をはじめ、人文科学系の学部に、学科やコースが設置されていることが多い。

同じ歴史学科でも、古代ギリシアに強いのか、鎌倉時代に強いのか、研究実績のある分野は大学によって異なる。考古学も同様の傾向があるので、学科選びの際は、どの国や時代、どんなテーマの歴史を学びたいのか決めておくのがオススメだ。考古学・文化財学を学びたい場合は、発掘調査の実習で訪れる遺跡などもチェックしておこう。

専門性を発揮できる職業は欠員時の採用が多い

歴史学や考古学・文化財学の専門知識を生かせる代表的な職業として、研究者と学芸員が挙げられる。ただ、どちらの仕事も欠員が出たときなどでしか採用が行われず、かつ人気も高いため、就職するのは非常に難しい。学部を卒業したのち、一般企業に就職するか、学校の先生、地方公務員として働く人が多いようだ。

専門職に就けないからといって、学びが無駄になることはないし、過度に就職の心配をする必要はない。歴史学も考古学・文化財学も、膨大な史料や遺物の調査、分析を通して論理的な思考力を、また考古学・文化財学は、発掘調査で根気強さや体力を、身につけることもできるだろう。こうした力は、社会に出てから必ず役立つもの。今はまず、歴史を学びたいと思う気持ちを大切にして、どちらの学問が合っているか考えてみてほしい。

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