大学研究知ろう!
大学の研究って一体何を学ぶんだろう?
大学の研究室にインタビュー!

社会が抱える課題を
人工知能で解消し、
人々の暮らしを豊かにする

工学系統/情報工学
北海道大学 調和系工学研究室

進化する人工知能が社会のニーズに応える

人工知能(AI=Artificial Intelligence)とは、コンピュータに自ら学び、判断する能力を身につけさせる技術や研究のこと。近年の人工知能の発展の背景には、技術の一つ“深層学習” の存在があると川村秀憲教授は説明する。「コンピュータの能力が向上したこと、インターネットを通じて学習させるためのデータを大量に集積できるようになったことで、学習精度が飛躍的に向上しました。当研究室では深層学習に重点を置き、どのように学習させれば、求められる役割を果たせる人工知能をつくれるかを研究しています」。

企業との共同研究も盛んに行われ、現在15社と人工知能を活用した課題解決に取り組んでいる。その一つに、自動運転における譲り合い技術の開発がある。環状交差点を再現した実験コースでラジオコントロールカーを走らせ、速度や距離など走行ログを収集。そのデータから衝突回数を軽減させる運転制御の学習システムを構築した。将来的には、自動運転技術で難しいとされる合流場面でも、他車の行動を察知し、道を譲ることが可能になる。

新たなモノ・コトを創造し、不可能を可能にする

調和系工学研究室では人間の心に響く言葉を生成することを目標に、俳句AI「一茶くん」の開発に取り組んでいる。プログラムに小林一茶らの俳句4万句を学習させて、写真に合った俳句を生成する。現在は子どもレベルだが、精度を上げていき、将来的には研究結果を応用し、キャッチコピーの生成も夢ではないと川村教授は話す。

研究を進めるうえでモノをつくる場面もあり、開発中の屋内用バルーンロボットは学生が基盤からつくっている。バルーンは搭載されたマイコンで位置や速度などを推定しながら、気流の影響を受けずに飛行する。新たな演出ツールとしてコンサート会場などでの活用が期待される。

「人工知能は急速なスピードで世界を変えていくでしょう。人工知能は様々な課題を解決し、社会や人々の暮らしをよりよいものにする可能性を持っています」。

研究に必要な文理の力

この研究につながる科目・教科

数学はシステムを構築するうえで欠かせない。パソコンの基礎知識は高校生のうちに身につけよう。ロボット系の研究では電気の知識も必要。物理を学ぶと研究の幅が広がる。論文を読む、書くためには外国語と国語も必須だ。

学生の研究テーマ

個々の学生の興味・関心を優先しつつ、研究の価値や社会的インパクトを考慮してテーマを決定している。深層学習の応用が主流になっており、扱う分野はスポーツ、ロボットなど多岐にわたる。

学問の手引き

情報工学は、コンピュータについてのあらゆる研究を行う。ハードウェアとソフトウェアの理論と技術を人間社会に役立て、問題解決を図る学問だ。AI、プログラミング、ネットワークなどがキーワードだ。