大学研究知ろう!
大学の研究って一体何を学ぶんだろう?
大学の研究室にインタビュー!

実践的な問題解決を通じて、
聞く力、考える力、伝える力を鍛え、実社会で活躍する人材を育成

経営・経済・商学系統/経営・商学
京都産業大学 伊吹ゼミ

「聞く」「考える」「伝える」すべての力を鍛えるゼミ活動

京都産業大学経営学部の伊吹勇亮准教授の専門である広報や広告は、依頼主が求めていることを的確につかみ取り、プランや商品を提案しなければならない。そのため、知識も大切だが、それ以上にコミュニケーション能力が重視される。

伊吹ゼミでは「聞く・調べる力」「考える力」「話す・伝える力」の育成に力を入れている。それらの力を実社会で役立つレベルに引き上げるため、学年が上がるごとに難しくなる問題に挑み、「物事の本質をとらえる力」を身につけていく。培った能力を多様な場面で活用する、いわゆる「能力の横展開」ができる人材の育成も伊吹ゼミの特徴だ。

2年生は自分たちで見いだした課題
3年生は学外機関提供の問題解決に挑む

ゼミがスタートするのは2年生から。グループに分かれて自分たちが解決したい問題をプレゼンテーションし、最も多く支持を得たグループのテーマに、ゼミ生全員で取り組む。2021年度の2年生は世界の食糧問題と関連の深い昆虫食を普及させようと、「昆虫食カフェ」の開催に向けて準備を進めている。

「問題解決に関する基礎的な知識や技法は伝えますが、その本質は机上で学べるものではありません」と伊吹准教授は話す。大切なのは、大学で学んだことを実際に生かすこと。つまり、「能力の横展開」だ。

「どうすれば昆虫食カフェへの来店者を増やすことができるのか、2年生は悩んでいますが、まず学生だけで考え、解決策を見つけてほしいと思います。これまでに学んだ経営学の理論や各種調査の事実を踏まえて検討することが重要であり、それらを体験して学んでほしいからです」(伊吹准教授)

3年生は、学外機関が提供する課題に挑む。現在は、京都市内に本社を置くIT企業に提供いただいた「ITエンジニアを女性の人気職に」というテーマに対し、複数の調査活動を通じて課題の本質を見極めた上で、「音楽」を通じた課題解決を提案し、具現化しようとしている。

「実際に課題に取り組み、その経験が抽象化され、学生は自分なりの理論を獲得していきます。次の課題では、教科書で学んだ理論に加え、自分が獲得した理論も応用することで、より高度な問題解決に取り組むことができます。それを繰り返し、得たスキルを社会で生かしてほしいと思います」(伊吹准教授)

獲得した能力を柔軟に横展開しハッピーに生きられる人に

このように、伊吹ゼミでは自ら考えて行動し、学ぶ姿勢が求められる。置かれた環境に依存せず、自分の能力で道を切り開けるようになった学生は、社会でも活躍できるだろう。実際、ゼミの卒業生は多様な業界で活躍中で、伊吹准教授の言葉を借りれば「ハッピーに生きていけるようになる」。

「能力の横展開」ができ、柔軟な生き方の素地を身につけ、社会で活躍する人材を伊吹ゼミは育て続けている。

研究に必要な文理の力

この研究につながる科目・教科

どんな知識も教養として役に立つ。得意・不得意、入試科目の有無にかかわらず、高校で学ぶ知識は身につけよう。数学で知った統計の知識が公民で使えるなど、知識は横展開するので、幅広く学ぶことが将来の武器になる。

学生の研究テーマ

学生が普段から興味・関心を抱き疑問に思っていることを調査する。テーマに対し課題を設定し、仮説を立て、アンケート等で検証し、結果を導き出す。コミュニケーションに関するテーマを選ぶ学生が多い。

学問の手引き

経営・商学は事業体の内外に生じる問題を分析し、解決法を探る学問だ。企業や行政機関などの運営を研究する経営学、会計学、取引制度や金融、証券、流通、マーケティングなどを学ぶ商学に分かれる。