大学の研究室にインタビュー!
工学から文化まで幅広い知識で
開発途上国に衛生的な
水を供給し生活環境を改善する
東洋大学 北脇研究室
生活環境の改善活動を通して
国際的に広い視野を持つ人材を育成
東洋大学に国際地域学の課程が誕生したのが1997年。日本はもとより世界に存在する国際地域学部に先駆けたスタートに当初からかかわってきたのが、国際学部の北脇秀敏教授だ。国際地域学を「開発途上国への国際協力と地域開発」であるととらえて研究・活動している。
もともと、上下水道の設計や廃棄物の専門家として、JICA(国際協力機構)のプロジェクトをはじめ、様々な形で開発途上国の生活環境の改善に取り組んできた。地下の水質調査や井戸掘りのために30回以上は訪れているというバングラデシュや、インドネシア、ミャンマーなどのアジアの国々、アフリカのモザンビークなどでの水供給活動、
北脇教授が率いる研究室では、安全な飲料水の供給、トイレの設置・使用などによる環境衛生の向上、廃棄物処理にかかわる分野、さらにJICAの委託を受けて民間企業と連携したBOPビジネス(開発途上国の生活水準の向上に貢献しつつ企業としても発展するビジネス)に取り組んでいる。
世界中で活躍するゼミ生や卒業生に刺激を受けながら
国際協力の重要性を学んで、青年海外協力隊に参加する卒業生、近年では学部を休学して参加し帰ってくる学生が北脇研究室には多い。現場で得たデータは、研究室で共有・分析され、次の活動に生かされていく。
さらに国際地域学科では、5週間の海外英語実習を実施しており、1年次からマレーシアやフィリピンの大学で学び、生活を体験できるプログラムがある。英語の上達はもちろん、マレーシアでのイスラム文化との触れ合いや、日本と同じようには水が飲めないフィリピンの環境を体験し、将来を見据えるチャンスが増えた。
大学の研究室にいながら、国際協力の最前線に常に触れ、刺激を受ける。この研究室ならではの実践的な学びの環境だ。
研究に必要な文理の力
この研究につながる科目・教科
現地でのコミュニケーションに語学は重要なので、外国語はしっかり学ぼう。社会の問題をとらえ、分析してどう解決するかを考える地歴や公民は重要だ。健康や環境を学ぶ保健体育や家庭科も大切。
学生の研究テーマ
北脇研究室は現地調査を行ってきたバングラデシュ、ミャンマーの水供給や衛生に関わる論文が多い。また海外での活動だけでなく、東日本大震災後の福島など、国内の環境をテーマにした論文も見受けられる。
学問の手引き
国際関係学は、国家間の関係改善や様々な問題の解決、紛争を回避するための方法論を研究する。国と国との架け橋になるという強い使命感とともに、豊かな教養や広い視野が求められる。