2025年度大学入学共通テストの仕組み

※本ページの内容は2024年7月時点の情報です。

大学入学共通テストとは?

大学入学共通テスト(以下、共通テスト)は、独立行政法人「大学入試センター」とこの試験を利用する各大学が協力し、同一日程、同一問題で実施・運営を行う「大学入試センター試験」の後継となる試験だ。
毎年1月中下旬の土・日曜の2日間にわたって実施され、2024年度入試(2024年度入学者向けの入試)では志願者数が約49万人、そのうち現役生が約85%を占めていた。

国公立大の一般選抜受験者は、原則共通テストの受験が求められる。また、多くの私立大も共通テストの結果を利用する「共通テスト利用入試」を実施しているため、一般選抜受験生にとっては重要な入試と言える。

2025年度より新しい学習指導要領に対応した入試へ移行することを踏まえ、共通テストにもさまざまな変更点がある(詳細は「新課程入試の仕組み」を参照)。大学入試センターから発表された「大学入学共通テスト実施要項」なども確認しておこう。

共通テストの形式は全問マークシート方式

共通テストは、全教科・科目のすべての問題がマークシート方式で出題されるので、マークミスには十分注意が必要だ。また、問題用紙に自分の解答を正確に記録しておくことも大切になる。なぜなら共通テストの成績通知は、4月以降に希望者のみに送付されるため、各大学への出願時には正確な成績はわからないからだ。受験後は問題冊子を持ち帰ることができるので、発表された解答を見て自己採点を行い、その自己採点結果をもとに出願する大学を決めることになる。ただし、私立大の「共通テスト利用入試」では、共通テスト実施日より前の出願期間となるケースの場合、手ごたえや自己採点結果も確認できずに出願しなくてはならないことも覚えておこう。

共通テストの概要(例年)

出題形式 マークシート方式
出願時期 9月下旬~10月上旬
出願方法 現役生は高校経由で出願
受験料 18,000円(3教科以上)
12,000円(2教科以下)
※成績通知を希望する場合は、プラス800円
成績通知 希望者へ4月上旬以降に成績通知書を送付

共通テストの日程・時間割は?

■共通テスト受験までの流れと試験日程
共通テストの受験案内は9月上旬から発表・配布される。出願期間は例年9月下旬~10月上旬で、現役生の場合は在学している高校を通じて出願することになる。そして試験は翌年1月中旬の土・日曜に2日間にわたって行われ、1~2週間後の土・日曜に追試験がある。
2025年度の試験実施日は2025年1月18日(土)・19日(日)。詳細なスケジュールは「国公立大入試スケジュール」「私立大入試スケジュール」で確認しよう。

■共通テスト時間割
2025年度入試より、共通テストの時間割も従来のものから変更となっているので注意が必要だ。新設教科の情報が60分、国語と数学②で試験時間が10分ずつ増加しているので、全体で80分も試験時間が増えることに。これまで以上に、集中力や体力を要する持久戦となりそうだ。
一方で、私立大の「共通テスト利用入試」などで文系科目のみ受験が必要な場合は、1日目の受験だけで終了となる。

教科 科目 時間 配点
1日目 地理歴史

公民
『地理総合、地理探究』『歴史総合、日本史探究』『歴史総合、世界史探究』『公共、倫理』『公共、政治・経済』『地理総合/歴史総合/公共』 2科目選択
9:30~11:40

1科目選択
10:40~11:40
2科目選択
200点

1科目選択
100点
国語 『国語』 13:00~14:30 200点
外国語 『英語』『ドイツ語』『フランス語』『中国語』『韓国語』 『英語』
リーディング
15:20~16:40
リスニング
17:20~18:20

『英語』以外
筆記
15:20~16:40
『英語』
リーディング
100点
リスニング
100点

『英語』以外
筆記
200点
2日目 理科 『物理基礎/化学基礎/生物基礎/ 地学基礎』
『物理』『化学』『生物』『地学』
2科目選択
9:30~11:40

1科目選択
10:40~11:40
2科目選択
200点

1科目選択
100点
数学① 『数学Ⅰ、数学A』『数学Ⅰ』 13:00~14:10 100点
数学② 『数学Ⅱ、数学B、数学C』 15:00~16:10 100点
情報 『情報Ⅰ』 17:00~18:00 100点

地理歴史・公民、数学、情報の各教科では、記載の科目以外に、旧課程の科目で受験できる経過措置科目もあります。

受験すべき教科・科目は?

2025年度共通テストから新たな教科「情報」が加わり、7教科(国語、地理歴史、公民、数学、理科、外国語、情報)21科目に再編される。既存の科目でも、出題範囲や解答時間などに変更があるので注意が必要だ。

それぞれの大学が共通テストで課す教科・科目を設定しているため、受験生は志望する大学・学部・学科に合わせて、共通テストの受験教科・科目を選択する。国公立大では多くの大学が6教科以上を課し、私立大の「共通テスト利用入試」では、3教科を課すことが多い。
また、各教科の出題範囲や科目選択について注意したい点は下表の通りだ。特に科目選択で制約のある場合は気をつけたい。

出題科目の範囲など

出題科目の範囲など

注1 地理歴史・公民の科目の組み合わせについて
地理歴史・公民で2科目選択して受験する場合、『地理総合/歴史総合/公共』ともう1科目で不可となる組み合わせがある。次の選択パターン表で「×」の組み合わせは選べないので注意が必要だ。
また、旧帝大や早慶など難関大を中心に『地理総合、歴史総合、公共』を選択不可としている大学もあるので、志望校のホームページなどで確認しておこう。

地理歴史・公民の2科目選択パターン

地理歴史・公民の2科目選択パターン

注2 理科の科目選択について
理科はこれまで理科①(基礎科目)と理科②(専門科目)に分かれていたが、上の時間割にあるように、2025年度から理科として1つの試験時間帯にまとまり、最大2科目を選択・受験することになる。
科目選択のパターンは、下表のように4つに分けられる。国公立大の文系学部ではAのパターン、国公立大の理系学部ではDのパターンを課す大学が多い。志望校はもちろん、併願の可能性がある大学は、漏らさず受験科目を確認しておこう。

共通テスト「理科」の出題科目の選択方法(2025年度)

科目選択パターン
A 基礎1科目受験 『物理基礎/化学基礎/生物基礎/地学基礎』の1科目受験(4分野から2つを選択)
B 専門1科目受験 『物理』『化学』『生物』『地学』の4科目から1科目を選択
C 基礎1科目+
専門1科目受験
『物理基礎/化学基礎/生物基礎/地学基礎』の1科目(4分野から2つを選択)、並びに『物理』『化学』『生物』『地学』の4科目から1科目を選択
D 専門2科目受験 『物理』『化学』『生物』『地学』の4科目から2科目を選択

一般選抜との違いは?

共通テストは全問マークシート方式だ。対して一般選抜、特に国公立大の個別試験は記述式が多い。私立大の一般選抜は選択式であることが多いが、マークシート方式とは限らない。
また、国公立大志望者は2025年度入試から、共通テストで基本的に6教科8科目を受験する。国公立大の個別試験や私立大の一般選抜は2~4科目しか課されないことがほとんどなので、大きな違いの1つと言える。

共通テスト利用入試のメリット・デメリットは?

■共通テスト利用入試(単独型)について
私立大の共通テスト利用入試には「単独型」と「併用型」がある。多くが単独型で、共通テストの成績のみで合否が決まる。ほかに試験を受ける必要がないので、時間・体力を温存でき、かつ受験校も増やしやすいのがメリットだ。ただし、手軽に受験できる分、倍率も高くなりやすいため、この入試方式のみで併願大を確保しようとするのは危険。あくまで受験のチャンスを広げる方法の1つと考えよう。

■共通テスト利用入試(併用型)について
共通テスト利用入試の併用型は、共通テストの成績と、大学が独自に実施する個別試験の成績を合わせて合否を判定する入試方式だ。
単独型と違って共通テストの得点だけで合否を判定されないため、個別試験の結果次第で逆転合格するチャンスがある。ただし、当然個別試験の対策もしなければならないので、負担感から受験者に敬遠されることもある。

共通テスト利用入試の注意点は?

共通テスト利用入試は、志望大や併願大の一般選抜とは出題内容・出題方式が大きく異なることもある。「とりあえず出願しておこう」と考えずに、しっかり対策したうえで試験に臨もう。実際に、共通テスト利用入試は倍率が高く、簡単には合格できない。私立大志望者であっても、共通テストの予想問題や過去問題で出題形式に慣れておくことが大切だ。
また、出願時期や合格発表、入学手続などのスケジュールにも注意しよう。それぞれ大学ごとに異なるが、共通テストの実施日よりも前に出願しなければならない場合や、第一志望の一般選抜の合格発表以前に入学手続をしなければならない場合もある。

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