2025年度学校推薦型選抜の仕組み
学校推薦型選抜とは?
■学校推薦型選抜とは、旧推薦入試のこと
学校推薦型選抜(旧推薦入試)は高校の推薦を受けることで出願できる入試方式だ。選考は書類審査や小論文、面接が中心だが、一部の国公立大は大学入学共通テスト(以下、共通テスト)や独自の学科試験を課すこともある。
■指定校制と公募制について
学校推薦型選抜には「指定校制」と「公募制」という2つの種類がある。指定校制は大学が指定した高校からしか出願できない。出願枠は各高校に数名ずつしか割り振られず、人気の大学の場合は高校内で選考して推薦者を決める。指定校制は主に私立大で行われ、大学がその高校を信頼して出願枠を設ける試験なので、高校内の選考さえ勝ち抜けば、入試での合格率はかなり高い。
一方の公募制は指定校制と異なり、大学の求める条件を満たしていれば、どの高校の生徒も出願できる制度で、多くの大学で行われている。ただし、全国の受験生がライバルになるので、指定校制に比べると合格の難度はやや高めだ。
指定校制と公募制の仕組み
指定校制推薦 |
大学が特定の高校を指定して実施する入試方式。勉強や部活の成績などを評価して、校内選考が行われる。募集人数が少なく狭き門だが、出願できれば合格率は高い。 |
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公募制一般推薦 |
大学ごとの出願資格を満たして、出身学校の校長から推薦された生徒が受験可能。評定平均値に基準があることが多い。 |
公募制特別推薦 |
スポーツや文化活動における実績などが評価される。評定平均値に基準があることは少ない。 |
学校推薦型選抜の選考方法は?
学校推薦型選抜では、一般選抜と違って、高校の学習状況や課外活動など日頃の努力を評価する。 また、小論文や面接によって受験生の思考力や表現力、個性や人柄などを見るケースが多い。
入試改革により、高校の学習成績の状況を記した調査書・推薦書等の出願書類だけではなく「小論文、プレゼンテーション、口頭試問、実技、各教科・科目に係るテスト、資格・検定試験の成績など、または共通テストのうち少なくともいずれか1つ」を必ず活用するよう求める方針が文部科学省から示されたため、これらの選考方法が今後増えることが予想される。
1 |
書類審査 |
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2 |
書類審査 |
面接 |
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3 |
書類審査 |
小論文 |
面接 |
4 |
書類審査 |
学科試験 |
面接 |
5 |
書類審査 |
実技 |
面接 |
一般選抜との違いは?
学校推薦型選抜では、高校の学習成績(評定平均値)が出願条件となっている場合が多い。また、部活やボランティアなどの課外活動の実績、取得した資格なども、書類審査(調査書など)で重要な評価対象になる。このように、高校3年間の努力を評価してもらえる入試方式であることが、学力検査(筆記試験)中心の入試結果で合否が決まる一般選抜と大きく異なる点だ。
総合型選抜との違いは?
学校推薦型選抜の選考は、書類審査・小論文・面接を中心に行われることが多い。一方で総合型選抜は、受験生が大学の「アドミッション・ポリシー(大学が求める人物像)」に合っているかを測る入試のため、選抜方法に大学ごとの特徴が現れやすい。筆記試験を重視する大学もあれば、時間をかけて論文を書かせるような大学もある。
また、学校推薦型選抜は前述の通り高校からの推薦が必須だが、総合型選抜は基本的に高校の推薦を必要とせず、入学志願者自らの意志で出願できる公募制だ。
スケジュールの面でも総合型選抜と学校推薦型選抜には違いが見られる。学校推薦型選抜は、11~12月(共通テストを課す場合は1月まで)に選考が集中するが、総合型選抜の場合は9月に出願、9~10月に選考が行われる場合が多い。学校推薦型選抜より早く選考が進む印象があるが、詳細なスケジュールは大学・学部学科によって異なるので注意したい。
出願条件、評価基準は?
学校推薦型選抜は、出願条件に「評定平均値」を定めていることがほとんどだ。評定平均値は高校の成績の平均値のことで、高校 3 年間(高1から高3の1学期まで)のすべての教科・科目の成績(1~5の5段階)の合計値を、すべての科目数で割った数値(小数点以下第2位で四捨五入)で求めることができる。「評定平均値4.2以上」などと、大学から出願条件が指定されるので、今キミが高1・高2生で学校推薦型選抜の受験を考えているなら、普段のテスト勉強にしっかり取り組むようにしよう。
そのほかの合否を決める評価基準として、資格取得の有無、課外活動の経歴、共通テストの成績、独自の学科試験の成績、面接の結果などが挙げられる。
学校推薦型選抜の注意点は?
まずは各大学が定める出願条件、特に評定平均値に注意しよう。評定平均値が一定以上でないと、出願できないことがほとんどだからだ。出願したい大学があるなら高1生のころから早めに出願条件を確認し、高校の勉強にしっかり力を注ごう。
また学校推薦型選抜には「専願」「併願」があり、「専願」で合格した場合は入学を辞退できないとされている。とくに指定校制の場合は、入学を辞退すると翌年から推薦依頼がなくなり、後輩が受験できなくなることも。出願する前に、本当にその大学に入学したいのかしっかり考えよう。
併願大検討を忘れずに! 学校推薦型選抜のスケジュールは?
学校推薦型選抜は例年、出願が11月1日以降、合格発表が12月1日以降となっている。なお、共通テストを選考に利用する学校推薦型選抜は、合格発表が2月頃になるので注意しよう。
指定校制は校内選考を経て出願することになる。校内選考のスケジュールが気になる人は高校の先生に質問しよう。
一般選抜に比べて早く合否がわかるが、不合格だった場合、時間をおかずに一般選抜の試験シーズンに入ってしまう。学校推薦型選抜一本に絞るのは避け、併願大をしっかり考えたうえで受験スケジュールを立てよう。
国公立大 | 私立大 | |||
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共通テストを課す | 共通テストを課さない | 公募制推薦 | 指定校制推薦 | |
9月 | 校内選考 ※高校によって異なる |
校内選考 ※高校によって異なる |
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10月 | 共通テスト出願 | |||
11月 | 出願・ 入学試験 ※日程は大学によって大きく異なる |
出願・ 入学試験 ※日程は大学によって大きく異なる |
出願・ 入学試験 |
出願・ 入学試験 |
12月 | 合格発表 ※共通テストを課す場合は2月以降 |
合格発表 ※共通テストを課す場合は2月以降 |
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1月 | 合格発表 | |||
共通テスト | ||||
2月 | 合格発表 | |||
国公立大の学校推薦型選抜では、共通テストを課す場合も
国公立大の学校推薦型選抜には、共通テストを課す場合と課さない場合がある。共通テストを課す場合、一般選抜のように6教科8科目を課す大学・学部が多い。今のうちに、入試科目をチェックしておこう!
共通テストを課す予定の学校推薦型選抜の例
大学名 | 学部-学科名 | 選考方法 |
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大阪大 | 基礎工 | 共通テスト(6教科8科目)のほか、面接(口頭試問)、調査書、推薦書、自己推薦書 |
山口大 |
人文-人文 [学校推薦型選抜II] |
共通テスト(4教科4科目)のほか、面接、調査書、推薦書、志望理由書 |
長崎大 |
薬-薬 [学校推薦型選抜II] |
共通テスト(4教科6科目)のほか、面接、調査書、推薦書、志望理由書 |
※2025年度入試