ITと統計学を使いこなす「データサイエンティスト」のオシゴト
SNSを見ていると、「あなたにオススメの●●」を紹介されることがある。不思議と趣味の合うモノやイベントが見つかるのは、キミやほかのユーザーの投稿、プロフィールを大量に分析しているから。そのデータ分析を担っているのが、今回紹介する「データサイエンティスト」だ。
大量のデータを分析し、ビジネスに役立てる
インターネットの普及とITの進歩により、世界中にあるデータの総量は爆発的に増えている。検索履歴やSNSのコメント一つひとつが保存されていると考えれば、どれだけたくさんのデータがあるのかが想像できるだろう。
データが増えるにつれて、企業のデータベースは大規模かつ複雑になり、扱いが難しくなってきている。データサイエンティストの仕事は、この巨大なデータベースを整理・分析し、企業の商品開発や販売などに役立つ提案をすることだ。
IT・統計・コンサルティングのプロとして働く
データサイエンティストの主な仕事は以下の3つだ。
1つ目は、データを分析すること。統計処理と呼ばれる操作をデータに対して行い、意味のある結果を導き出す。分析方法も解釈の方法もさまざまなので、データの性質を見極めたうえで、どんな分析方法をとるべきか考える統計学のセンスが必要になる。
2つ目は、データから読み取った結果を企業に伝えること。例えば顧客情報のデータを分析したなら、「お客様にはこんな人が多いです」と伝えるのではなく、「こんなお客様が多かったので、もっとこんな商品を増やしたらどうでしょうか」と、事業戦略そのものを提案することもある。技術的なスキルだけでなく、ビジネスセンスも問われる職業だ。
3つ目は、データを収集するためのシステムをつくること。高いプログラミングスキルが求められるため、システムエンジニアの仕事に近いと言える。集めたデータの変換・整理やシステムのメンテナンスも仕事のうちだ。
統計とITスキルの強さは必要不可欠
データサイエンティストはIT業界を中心に、企業内の一部署で働くことが多い。仕事の専門性が高いため、これまではITエンジニア、アナリスト、経営コンサルタントなどから転職する人が多かったようだが、仕事への注目度が高まるにつれて、徐々に新卒採用の枠も広がっている。
必要な資格があるわけではないが、統計学と情報処理技術はなるべく深く理解しておきたい。いずれかの分野を学べる大学に進学するといいだろう。
2017年度に滋賀大が国内初となる「データサイエンス学部」を創設した。その後、横浜市立大や武蔵野大など続々と設置され、データサイエンティストに必要なスキルを総合的に学べる大学は年々増えている。