似て非なる学問紹介 人間科学VS総合科学の違い
「人間科学」と「総合科学」、どちらも名前が似ていて、実際どんなことを学ぶのかわかりにくい学問ではないだろうか。今回は、大学のカリキュラムや卒業後の進路について、両方を比較しながら、どこがどのように違うのか理解しよう。
どちらも複数の学問を横断する「学際的」な学問なのは同じ
人間科学はその名の通り、「人間」を研究する学問。心理、身体能力、文化など、さまざまな「人間らしさ」について探究する。研究領域は主に、心理学、教育学、社会学の3つが主流で、それらを組み合わせたテーマを設定することも多い。近年は、スポーツ科学や医療福祉の分野についての研究も盛んに行われている。
一方、総合科学は「1つの学問では解決できない問題を、複数の視点から考える学問」。例えば環境問題の解決であれば、森林科学から、法学から、経済学からと、解決に向けて学問分野によってさまざまな考え方や視点がある。総合科学はこうした複数の専門領域の考え方を1つにまとめて、ほかの学問にはないアプローチをする。
人間科学も総合科学も、複数の学問を横断する「学際的」な学問。それぞれ扱うテーマは異なるが、研究の仕方は似ている。
大学ではコースや学科が、細かく分かれている場合が多い
人間科学は「人間科学科」のほかに、「人間関係学科」や「人文社会学科」、「人間行動学科」などで学ぶことができる。学科によっては、心理学、社会学、社会福祉学、教育学系のコースに分かれることも。人間のどのような点を深く学びたいのかを具体的に考えると、大学選びがはかどりそうだ。
一方、総合科学は「総合科学部」「総合政策学部」などで学ぶことができる。もともと学際的な性格の強い学問であるため、大学によって学べる内容にかなりの幅がある。設置されているコースの数や内容、科目などを見て、興味のあることが学べるかどうか、よく確認しよう。
学べる内容が幅広いだけに、進路の傾向はバラバラ
既に述べた通り、人間科学も総合科学も学べる内容が幅広く、一概に「この業界での就職に有利」とは言えない。もし進路選びに迷うことがあれば、その学部・学科の卒業生がどんなところに就職しているのか、参考にするといいだろう。