人に、そして環境に優しい材料を研究する
材料工学とは、天然の原料を精製・加工して、必要な性質と機能を持った材料を開発することを目的とした学問です。
材料には、鉄やアルミニウム、合成繊維や合成樹脂などの高分子素材、セラミックス、そしてそれらを組み合わせて、それぞれの長所を生かす複合材料などがあります。材料工学では、それらの素材を作り出す過程や特性を調べたり、加工技術や材料の機能・信頼性を研究していきます。
これまでの研究の成果では、海水から真水と塩を分離する“逆浸透膜”の開発や、人工骨や人工歯根といった治療に用いられるバイオセラミックスの開発が他分野からも注目されている研究です。また、新しい鉄鋼の製造法として、設備コストが低く環境への影響も少ない方法も注目されています。
今後の開発では、環境に優しい素材「エコマテリアル」の概念が欠かせません。材料にも、リサイクル性、安全性、省資源性などがより求められているのです。
物理や化学を基礎として学ぶ
1・2年次に、数学、物理学、化学などとあわせて金属、有機・無機材料についての知識を身につけ、材料化学と物理化学の基礎を固めていきます。専門科目としては、材料の根本と制御に関する科目として材料物理、材料化学、結晶塑性、材料組織形成論などの科目があります。
材料工学は、材料の特性を知ったり新材料の開発などをする学問ですから、講義内容として、例えば繊維素材やその製品の特性を把握する授業、高分子材料を扱う講義などがあり、実験を通じて材料の性質を知っていきます。
実際にこの学問を学んでいる先輩の時間割例です。
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Mon |
Tue |
Wed |
Thu |
Fri |
Sat |
1 |
物理化学演習I |
科学倫理 |
有機化学演習 |
無機化学II |
有機化学II |
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2 |
化学英語II |
生物化学II |
有機化学実験 |
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物理化学II |
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3 |
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機械工学概論 |
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英語III |
地学I |
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4 |
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分析化学II |
企業と経済発展 |
安全化学 |
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5 |
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フランス語 |
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製品の開発には材料が不可欠ということもあり、卒業生に対する社会的ニーズはかなり高い。金属・材料工学系を学んだ多くの人は、鉄鋼・非鉄金属などの金属関係の企業をはじめ、機械、電気機器、プラスチック・ゴムなどの化学メーカーなど、多様な分野へ就職する。繊維・高分子工学系の場合は繊維、化学、機械などのメーカーへの就職が中心となる。また、大学院へ進学する人が多く、進学率が半数を超える大学も珍しくない。
金属・材料工学はほとんどの場合、工学部に設置された学科で学べる。近年、この分野には産業界から期待が寄せられているため、1大学に複数の材料工学系学科が設けられているケースもある。
各大学の学科でさまざまな新素材の研究開発が行われているので、大学によって、力を入れている素材が異なる場合がある。自分が将来どういった産業で活躍したいのか、それにはどんな材料が必要なのかなどを考えて大学を選ぼう。また、実験施設の充実度も大きなチェックポイントだ。
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